投稿者 佐藤雅彦 日時 2001 年 3 月 08 日 20:42:08:
ミール落下がもたらすアンドロメダ病原体の悪夢
●『アンドロメダ病原体』というのはジュラシック・パークで有名な
米国の(ハーヴァード大学医学部出身の)SF作家マイケル・クライトン
の出世作で、映画にもなっているのでビデオで見れると思いますが、
要するに、米軍が打ち上げた地球周辺の超高空から生物兵器用の
微生物収集衛星がニューメキシコ(だったかな)に落下して、衛星に
付着していた未知のウイルス――空気感染によってとりついた人間
の血液を瞬時に砂状に凝固させるという致死性病原体なのです――
が世界中に広がってしまう、さあどうしよう、というスリルとサスペンス
の物語なのでした。 (私はP4施設というのを、この映画で知ったの
でした。)
●ミールに強力なカビが居着いているというのは、かなり知られた話
でした。たしか船内だけでなく、窓の外にもカビが繁殖し、特殊ガラスを
腐蝕しているということだったと思います。真空にも宇宙線にも強い
カビ、という“微生物の旺盛な適応力”を象徴する事例でした。
●ミールが地上激突前に完全に分解して燃えてしまえば、こうした
生物の脅威を心配する必要はないのでしょうが、そうなるとは限らない
模様。生きた微生物が海中に落下しても、たいていは圧倒的に微量
なので死滅するわけでしょうが、万々が一にも生存していけば、その
影響は計り知れない、かも知れない。
●『アンドロメダ病原体』から30年。……ようやく現実がSFに追いつき
はじめた、と言ったところでしょうか。
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Mutant Bacteria Next Threat From Russia's Mir
宇宙から降ってくる突然変異細菌の脅威――ミール落下をめぐる新たな不安
http://dailynews.yahoo.com/htx/nm/20010306/ts/space_fungus_dc_1.html
MOSCOW (Reuters) - Forget the danger of heavy-weight debris raining down
from space when Russia sends the Mir orbiter to a watery grave this
month -- the real threat could be mutant fungi, a researcher said
Tuesday.
●モスクワ(ロイター通信)――ロシアは今月、宇宙ステーション「ミール」を
地上に落下させ、海の藻屑にする予定である。これがうまくいけば巨大重量
の“宇宙のゴミ”が天空から落ちてくる脅威は、もう忘れてもいい……か?
いやいや本当の脅威はそれからだ。ミールで生まれた突然変異カビが
地上にもたらされるかも知れないからだ。その脅威について火曜日(3/6)
に科学者の警告が発表された。。
Yuri Karash, an expert on the Russian space program, said there was a
possibility that micro-organisms, which have spent the last 15 years
mutating in isolation aboard Mir, could present a threat if they
survived the fall to Earth.
●ロシアの宇宙計画の専門家であるユーリ・カラシュ氏によれば、この15年
の間、ミールに搭載し、そのなかで独自の突然変異を遂げてきた微生物類が
ミールの地上落下後に地球上で生存することになった場合、脅威をもたらす
危険性があるという。
``I wouldn't overstate it ... but a realistic problem exists,'' Karash
told a news conference.
●「脅威を誇張する気はない……だが実際問題として脅威は存在している」
とカラシュ氏は記者会見で語った。
Karash, who has undergone cosmonaut training and is an aerospace
advisor, said his conclusions were based on research carried out by
Russia's Institute of Medical and Biological Problems.
●カラシュ氏は、宇宙飛行士の訓練と航空宇宙関係の相談役を務めてきた。
ミール搭載微生物が地上にもたらしうる脅威については、ロシア医学生物学
問題研究所が行なってきた研究にもとづいて出した結論だという。
Researchers have said that the fungi could be especially virulent if
mixed with earth varieties that attack metal, glass and plastic.
●研究者たちは、ミールに搭載していた真菌類(カビ)は、地上に生息して
いる金属やガラスやプラスチックを腐蝕する真菌類と混じり合った場合に、
特に毒性が強化される恐れがある、と警告してきた。
Western health officials have in the past expressed concerns about
micro-organisms that could be brought back to earth after a Russian
microbiologist 13 years ago discovered the first of many aggressive
forms of fungi inhabiting Mir.
●ロシアの微生物学者が13年前に、ミールにはきわめて有害な数多くの
真菌が生息していることを“発見”している。そうした微生物が地上にもた
らされた場合の危険性については西側世界の保健当局も懸念を表明して
きた。
Russian space officials have played down the threat, but visitors to the
orbiter have found numerous types of fungi behind control panels, in
air-conditioning units and on dozens of other surfaces.
●ロシアの宇宙開発
当局はこれまでそうした脅威はないとしてきた。が、
ミールを訪れた宇宙飛行士たちは、コントロールパネルやエアコンや他の
機材の数十ヵ所におよび表面に多くの種類のカビが繁殖していることを
見つけている。
Though surprisingly destructive, they give off corrosive agents like
acetic acid and release toxins into the air.
●こうしたカビ類は驚くほど破壊的だが、酢酸のような腐食物質を
発散し、空気中に毒素を放出する。