投稿者 asahi.com/0126 日時 2001 年 1 月 26 日 09:53:25:
富士山で低周波地震多発、噴火シナリオ検討へ
富士山でマグマの動きと関連するらしい低周波地震が
昨秋から急増し、火山噴火予知連絡会(会長、井田喜
明・東大地震研究所教授)は2月5日に予定される定例
会で、噴火のシナリオなどを検討する作業班の設置につ
いて話し合う。低周波地震は観測史上、最多を記録。気
象庁は「地殻変動は見られず、ただちに噴火につながる
心配はない」としているが、富士山には噴火に備えたハ
ザードマップ(災害予測図)がなく、専門家から防災の
強化を求める声が上がっている。
予知連が富士山噴火のシナリオを本格的に議論するの
は、1974年の設置以来初めてだ。
低周波地震は1秒間に揺れる回数がふつうの地震の1
0分の1程度と少ない。メカニズムはよく分かっていな
いが、噴火に前後して発生した例がかなりある。「深部
でのマグマの活動が関与している」との見方が有力だ。
気象庁の観測によると、低周波地震の震源は山腹北東
の深さ10―20キロ付近。昨年9月から急に増えはじ
め、10月には133回、11月に222回、12月に
144回を記録。1月に入ってからも24日までに40
回起きている。
今回の活動以前は、山頂の測候所に地震計を置いた8
7年以降、多い時でも月に10回前後だった。
一方、浅い所で起きるふつうの地震の回数は増えてい
ない。傾斜計や全地球測位システム(GPS)の観測で
も異常な地殻変動はないことから、気象庁は「マグマ上
昇の証拠は見られない」としている。
しかし昨年末、予知連メンバーや防災専門家が出席し
た勉強会で、富士山に注目が集まり、「しっかりした防
災態勢をつくるべきだ」という意見が出た。
井田教授は今後の予知連の取り組みについて「深い所
でマグマの活動が高まったと考えられるので、噴火を想
定して、作業班の設置など何らかのしくみをつくって検
討することになると思う」と話している。
作業班のテーマは(1)どんな噴火が想定されるのか
(2)予知するにはいまの観測体制で十分か(3)過去
の噴火の検証などになる見通しだ。(09:13)