投稿者 asahi.com/0105 日時 2001 年 1 月 05 日 14:33:12:
劣化ウラン弾への懸念拡大 帰還兵の白血病で
バルカン半島で北大西洋条約機構(NATO)
軍が使った劣化ウラン弾による健康被害への懸念
が、兵士6人が白血病で死亡したイタリアの事例
をきっかけに、欧州同盟国に広がっている。因果
関係を否定しているNATOも、この問題を来週
にも討議し、対応を協議する方針だ。
劣化ウラン弾の供給国である米国でも、湾岸戦
争後に「湾岸戦争症候群」と呼ばれる症状が将兵
に多発し、健康への影響が疑われている。沖縄で
も米軍の実弾訓練に使われ続け強い批判を浴びた
兵器をめぐる問題が、米欧同盟にとって、やっか
いな問題に浮かび上がった。
イタリア政府は、国内の報道をきっかけに、劣
化ウラン弾の使用と兵士の病死との因果関係を調
査するための専門家委員会の設置や、NATOへ
の調査要求を決めた。さらに、イタリアの元首相
でもあるプロディ欧州委員長が、健康被害がはっ
きりすれば劣化ウラン弾は廃棄されるべきだと表
明したことから、問題の深刻さを印象づけた。
バルカン半島に展開した兵士4人が白血病と診
断されたフランスをはじめ、ベルギー、ポルトガ
ル政府もこの疑惑に対する調査を求めてきた。
劣化ウラン弾はきわめて重く、鉄板を貫く能力
に優れていることから、対戦車兵器として使われ
てきた。米政府とNATO事務局は一貫して、健
康被害とのかかわりを立証できないとしてきた。
しかし今後、NATOの欧州同盟国からは因果関
係の徹底した解明や、旧ユーゴスラビアの市民へ
の影響調査などを求める要求が一段と強まりそう
だ。(14:15)