投稿者 12月8日信濃毎日 日時 2000 年 12 月 13 日 12:14:09:
回答先: <次期防>政府の安全保障会議の議論低調 安保会議も官主導 投稿者 12月12日毎日 日時 2000 年 12 月 13 日 12:05:59:
社説=防衛計画 広く論議にかけて
とかく防衛問題になると、政府には部内や与党内の検討にとどめようとする姿勢が強い。大詰めを迎えている次期防衛力整備計画づくりはその代表例だ。
日本がどんな防衛政策を取るかは、内外の関心を呼ぶ。しかも、財政赤字の折に巨額の費用も見過ごせない。「情報公開」が国政で一段と重要になっているなか、防衛計画についても、もっと国民的論議にさらす必要がある。
現在の中期防衛力整備計画が本年度で切れるため、防衛庁は二〇〇一年度から五年間の次期計画について、今月中の閣議決定をめざしている。来年度予算編成にも絡むからだ。
次期計画で、防衛庁方針の特色の一つは、ゲリラ・特殊部隊による攻撃への備えの強化だ。昨年春の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による工作船事件が念頭にあろう。もう一つは装備面で、かねて論議のある空中給油機や、最新型防空システム装備のイージス艦、ヘリ搭載型の大型護衛艦などが挙がっている。
さらに、予算面では総額約二十六兆五千億円と、現行計画(当初額二十五兆千五百億円)を大きく上回る額を要求する構えだ。
どれをとっても、防衛政策の基本や国民負担にかかわる。国会での徹底論戦はむろん、国民にも情報公開が求められる重要テーマである。
“空飛ぶタンカー”とも呼ばれる空中給油機は、戦闘機などに給油する役目を担う。その導入は、ソ連の脅威に備えるとして構想された八〇年代から与野党間の論争の種になってきた。空中給油で戦闘機の航続距離が延びれば、他国への攻撃が可能になり、専守防衛の「国是」に触れる恐れがあるからだ。
それだけにこの問題は、一機約二百億円の航空機を購入することの是非にとどまらない。扱い方によっては、国際社会に基本政策の変更とも受け取られる。これまで政府が導入を自制してきた事情もそこにある。
わが国周辺の国際情勢に差し迫った変化があったわけではない。むしろ冷戦はとうに終結し、南北が厳しく対決してきた朝鮮半島にも、和解機運が生まれている。近隣諸国との間に新たな摩擦を招きかねない導入は、説得力に乏しい。
政府は昨年暮れの安全保障会議で、空中給油機を「次期計画で整備」と決めてはいる。だが、それについて国民にどれだけ説明してきただろうか。同じことは次期計画全体についても言える。例えば、七月に出た今年の「防衛白書」は、防衛力整備の検討を行っていると述べただけで、中身には触れていない。
防衛庁は近年、中ロを含む近隣との防衛交流に努めてきた。ある程度手の内を見せ合うことで、互いの疑念や偶発的事態を防ぎ、相互理解を深める狙いだ。緊張緩和を促す試みとして好ましい。
その意味で防衛計画づくりでも、まず国民に十分理解され、国際的にも疑問を起こさない配慮が欠かせない。