投稿者 転載蟻 日時 2000 年 11 月 01 日 02:49:02:
【特報】海外臓器ビジネス事情
モラルなき「成長産業」
『人体組織』合法の米では心臓弁7000ドル
ロシアで二十八日、臓器売買の仲介者に五歳の孫を売り渡そうとした祖母が逮捕された。ソ連崩壊前後からロシアでは外貨稼ぎのための子どもの臓器輸出が横行していると指摘されてきたが、今回はその現場をとらえた「証拠映像」も流され、全土に衝撃を与えた。国際的な臓器取引の実態とは――。
孫の「代金」は990万円
事件が起きたのはモスクワ南東のリャザニ市。年金生活者のトカチョーワ容疑者(54)は孫のアンドレイ君を「お金持ちのおじさんがディズニーランドに連れていってくれる」と言い聞かせ、臓器売買仲介の男に引き渡そうとした。しかし、事前に情報をつかみ現場に張り込んでいた警察官に逮捕された。逮捕当時、トカチョーワ容疑者はこの取引で得た九万ドル(約九百九十万円)を手にしていた。
トカチョーワ容疑者は、今回の事件で共犯者として逮捕された息子のセルゲイ容疑者夫婦とアンドレイ君との四人暮らし。アンドレイ君は生まれた直後、両親に捨てられたため、祖母のトカチョーワ容疑者に引き取られていた。しかし、一家の生活は苦しく、アンドレイ君の存在が負担になったため、知り合いを通じて見つけた臓器売買の組織に孫を売ることを思いついた。
ロシアでは「臓器を売買の対象にしてはならない」という臓器移植法が施行される一九九二年以前は、腎臓(じんぞう)一対が五万ドルで取引されるといわれていた。移植法制定直後も、治安機関の人員削減とモラル低下、マフィア勢力の増長で、臓器のやみ取引はむしろ拡大している。
こうした臓器売買が社会問題化しているのはロシアだけではない。インドでは借金返済のため腎臓売買が風習化している地域もあり、ブラジルでは臓器売買目的の子どもの人身売買組織が摘発されたという話が絶えない。今年四月末には中米グアテマラの住民に「臓器売買のため子どもを誘拐に来た」と誤解された日本人旅行客が襲われ死傷する事件が起こっている。
「売買は悪」にも限界
「人体部品ビジネス」(講談社刊)の著者で臓器移植や売買に詳しい粟屋剛・徳山大学教授は、こうした臓器取引の実態について「移植という医療技術が確立したことにより臓器は商品として潜在的な価値を持ったのは確かです。移植を認めながら売買は悪という倫理を強調しても限界があり、合法であるか非合法であるかは別にして、実質的な売買は確実に増えています」と指摘する。
粟屋教授によると、国際的に、人体のうち「臓器」の売買は非合法とされているものの、心臓弁、アキレスけんといった「人体組織」の売買は合法とされるケースが多い。その「組織」売買の先進国・米国では心臓弁が約七千ドル、アキレスけん二千五百ドルなどと商品化されており、現地で調査した粟屋教授は「(米国では)人体ビジネス関連企業は二百八十社を数え、毎年三割の売り上げ増を達している成長産業です」という。
臓器に関しても、そのものを売買すること自体は違法だが、移植費用として巨額の金を積むことで実質的に優先的に臓器を得ることはできる。「例えていえば、刺し身に代金を払うことは違法だが、釣ってさばいた費用に金を払うという形で刺し身を得ることはできるんです」(粟屋教授)。フィリピンで多くの日本人が臓器移植手術を受けることなどもこうした解釈と無縁ではなさそうだ。
では、人体売買を誘発しかねない臓器売買を止める手だてはないのか。粟屋教授は「人体の商品化は移植により増えたものですが、移植を必要としている人がいる限り禁止することもできない。悪質な売買は厳しい処罰で臨んでいくしかありませんが、人体の商品化という現実に向き合っていくのなら、生命観やモラルも考え直していく作業も必要でしょう」と強調する。
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クローン技術が進めば拒否反応のでない人工臓器が普及するので臓器用の人身売買市場は値崩れを起すでしょう。後数年したら、クローン臓器は金持ち用の高級品で、人身売買の子供などから切り取った臓器はリスキーな庶民用になるのでしょうか?
ガン細胞を操作して、自分の体で移植用の臓器を作れば拒絶反応もなければ他人の記憶や癖に悩まされる事もないだろうと思いましたが、そもそもそんなにまでして延命すべきなのかが疑問です。