投稿者 内外タイムズの記事 日時 2000 年 10 月 23 日 02:24:15:
花嫁の自殺の原因はやはり「いじめ」だったー。全国初の水上警察隊女性船長として話題を呼んだ千葉県警職員・野田裕子さん(25)が9月27日、千葉市内の自宅アパートで自殺。背景に上司の行き過ぎた指導があったことが報じられたが、実際は職務状の指導にほど遠い「いじめ」にほかならなかったことや、千葉中央署と連携した違法捜査により「証拠いん滅」さえ計られていたことが、明日発売の「週刊朝日」の取材で判明。遺族側は千葉県警に、真相究明を求める質問状を提出する構えを見せるなど波紋を投げかけている。 「一部報道で、(結婚)の報告を受けたわれわれが文句をつけたといった印象を与えるが、事実はまるで違う。人事のこともあるので、報告が遅いとは言ったが、それは叱責ではなく指導だ」
結婚をめぐって野田裕子さんを自殺直前まで厳しく「指導」していた、水上警察隊のT副部長の説明だが、その指導の内容は世間の常識では考えられない代物だった。
明日発売の「週刊朝日」(11月3日号)によると、裕子さんと、同僚で婚約者のH巡査部長(43)が12月に控えた2人の結婚式の仲人を懇意の前隊長に依頼。それを耳にした直属の現隊長が逆ギレしたことから、裕子さんらは勤務中にもたびたび呼び出され、「指導」を加えられていたという。その中身がすごい。
「なぜ、いまごろそんなことを言い出すんだ。私が恥をかくじゃないかっ…」「なんで、隊長に仲人を頼まなかったんだ」「隊長は海外旅行の予定があって出られない。(副隊長の)自分も法事があるから欠席する」「(結婚式に出ず祝電を打つなんて)おまえのおやじはおかしいんじゃないか」と言いたい放題。
ところが、県警は「野田さんの父親が直前まで結婚に反対しており、H巡査部長に父親にあいさつをしていなかったので指導したが、言葉がきつかったかもしれない」と「父親の反対」を自殺の原因にすりかえようとしている。取材に当たった元警視庁警察官でジャーナリストの黒木昭雄氏がこう反論する。
「父親が(2人の年齢差から)当初結婚に反対していたのは事実ですが、最終的には結婚を許していました。式の費用は父親が持つとの約束で、裕子さんは知人に喜びの手紙も出していた。警察が『父親の反対』を自殺の原因にするのは卑劣な言い逃れに過ぎません」 結婚の報告に来たT巡査部長に別の縁談を持ち掛けるなど、斉藤隊長の行動は陰湿ないじめととられても仕方がない。裕子さんの遺書(写真)には「みんなが何かしら不満や怒りをもっていて、何をどうしても解決しません。私の行動により、みんなが、少しずつ歩み寄って、許しあえたらと思います」と苦境を訴える文面が走り書きされていた。 斉藤隊長、T副隊長側は、「話したくない」「広報を通せ」と取材拒否。そもそも、上司の隊長はなぜそうまでして2人の結婚を妨害する必要があったのだろうか。再び黒木氏が解説する。 「おかしな話ですが、警察では直属の部下に仲人を頼まれないと『指導力不足』とマイナスの評価をされるのです。全国初の女性船長だった裕子さんの仲人となれば県警上層部にも注目されるのに、自分ははずされた。まして県警本部長が出席するかもしれない式だから、メンツは丸つぶれです。それで、なんとしても阻止したかった。上司の自己保身のために人の一生を台無しにして恥じないとは、恐れ入った神経です」
このほか、自殺した自宅アパートにかけつけた水上警察隊と千葉中央署が、遺書などの〃証拠資料〃を違法に押収したとの疑惑も浮上。遺族側は県警の捜査が適正に行われたかを問う「質問状」を近々提出する構えともいう。
「私が自殺したら、上の方も少しは考えてくれるかしら…・」
自殺の数時間前に裕子さんが残した言葉を、千葉県警はどう受け止めるつもりだろうか。