投稿者 倉田佳典 日時 2000 年 10 月 19 日 21:48:27:
県地域防災計画修正案、放射能事故対策を盛り込む
県は18日、「県地域防災計画」の修正案を県防災会議幹事会(会長・
土屋義彦知事)に報告し、了承された。修正案は、防災計画に初めて「放射
性物質事故災害対策」の項目を盛り込み、核燃料物質使用事業所や放射性物
質輸送で事故が発生した際に県や市町村が積極的に対策に乗り出せるよう、
役割や情報収集、住民への広報などについて定めている。「放射性物質事故
対応は国の役目」との考え方が一般的で、現行の地域防災計画にはほとんど
対策の記述がない。しかし、茨城県東海村のJCO臨界事故や大宮市の三菱
マテリアル放射性廃棄物土壌汚染問題などで認識が大きく変わり、県も防災
体制を見直していた。
県内には核燃料を扱う事業所が9カ所あるが、少量で低レベル物質の使用
のため、国が今年六月に施行した「原子力災害特別措置法」の適用施設には
該当しない。そこで県は、県内を通過する核燃料物質輸送のトラック事故対
策と合わせて、地域防災計画で「予防」と事故発生時の「対策」を定めるこ
とにした。同法適用施設を持たない自治体が放射性物質事故を想定した計画
を策定するのは全国で初めて。
修正案は、「予防」では核燃料物質使用施設に対し、事故に備えての対応
計画の作成や、平常時からの放射線量の測定、所持する核燃料物資の情報公
開などを求めている。県や市町村は、物質の保管・使用状況を把握し、国や
医療機関との連携体制や救助活動に必要な資機材を整備する。
「対策」では、輸送事故に重点を置いて計画をつくった。事故発生時の周
辺への影響を見積もって国際原子力機関(IAEA)の国際評価尺度に当て
はめたところ、核燃料物質使用施設事故では最悪でも外部にほとんど影響の
ない「レベル0+」だったが、輸送事故では「レベル3」になったため。
県、市町村、警察、消防などの役割をそれぞれ定めたほか、事故を起こし
た事業者から自治体に直接情報が入るようにした。放射線被ばくから住民を
守るための「屋内退避」「避難」措置を行う基準や警戒区域の設定も定めた
。避難所の運営方法にも触れ、十分な情報提供を行うことや、後の医療措置
や損害賠償請求に備えて避難住民の登録を行う配慮も盛り込んだ。
修正案は、国と協議の上、再度幹事会を開いて正式に決定する。県消防防
災課では来年1月の新計画スタートを目指している。
(2000年10月19日 掲載)
--------------------------------------------------------------------
------------