投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 10 月 19 日 16:59:51:
かつては国家機密だった核シェルターが、カジノに様変わりしようとしている=1998年11月、ウエストバージニア州ホワイト・サルファー・スプリングス
ウェストバージニア州ホワイト・サルファー・スプリングズ(AP)
冷戦時代に米政府がワシントン近郊に建設した核シェルターを、豪華なカジノに作り変えようという計画が進んでいる。来月に予定されている住民投票を前に、地元では賛否両論が巻き起こっている。
このシェルターは、アイゼンハワー政権が1958年に建設を承認。核戦争が起きた場合、連邦議員など1100人を収容するため、ワシントンに程近いウェストバージニア州に作られた。外壁を厚さ1.5メートルのコンクリートで固めてある。その存在は長らく国家機密とされていたが、冷戦終結後の1990年代初め、リゾート業者のグリーンブライヤー社が管理権を譲り受けた。
グリーンブライヤー社は、シェルターの上に広がる2600万平方メートルの緑地に、高級リゾートを経営している。リゾートにはゴルフ場や温泉も完備されており、施設の充実のためにもカジノが必要ということになった。シェルターをリゾート宿泊者専用のカジノに改装する計画は、8年前に持ち上がり、以来「グリーンブライヤー」の最高経営責任者テッド・クライスナー氏は、地元住民の説得に努めてきた。
クライスナー氏の売り文句は、「雇用機会」だ。この地域の産業は農林業が中心で、住民の平均年収は2万2000ドル。そんな中で、グリーンブライヤー・リゾートは現在、1700人の従業員を雇い、地域で最大の雇用主となっている。だが、オフシーズンになる冬季は、ホテルもがら空きの状態で、多くの従業員が一時解雇される。「カジノができれば、年間を通して人を雇えるし、新しい就職口もできる」と、クライスナー氏は主張する。
しかし、ウェストバージニア州内にカジノが作られるのはこれが初めてということもあって、地元住民の反発は根強い。反対運動を率いる元共和党議員のクリーブ・ベネディクト氏(65)は、「のどかなこの町が、ラスベガスのようになってしまう」と、懸念を示す。一方で、「子どもたちのためにも、町が栄えるのはいいこと」と、グリーンブライヤーの応援にまわる住民もいる。核シェルターの運命と、この町の将来がかかった住民投票は、来月7日に実施される。