投稿者 10/14 朝日 日時 2000 年 10 月 14 日 16:23:25:
米朝、敵対関係終結を宣言 共同コミュニケを発表
米国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は12日、朝鮮戦争以来続いた敵対関係を終わらせる共同コミュニケを発表した。「双方が敵対的な意思を持たない」ことを宣言。さらに双方の自主権の尊重と内政不干渉をうたい、「今後の新たな関係樹立へ全力を尽くす」ことを確認した。「米大統領の訪朝準備のため」、オルブライト国務長官が訪朝することも盛り込まれ、両国は今後、クリントン大統領訪朝に向けた協議を進める。米朝はこのコミュニケを指針に、国交正常化を視野に入れた協議を始め、朝鮮半島に世界で唯一残る冷戦構造の解消を図る。南北朝鮮対話に続く形で米朝関係が大きく動き出した。
共同コミュニケは、金正日総書記の特使として訪米した趙明録・国防委員会第1副委員長とオルブライト国務長官ら米国首脳との会談の成果として発表された。
法的には交戦状態だった米朝両国は、コミュニケで「過去の敵対感から脱する」と宣言した。国家存立のために軍事力増強を最優先してきた北朝鮮にとって、経済再建に政策の重心を移すことが可能になる。
朝鮮戦争の正式な終結に向けては「休戦協定を強固な平和保障体系に変える」ために、韓国、中国を交えた4者会談などの方策がある、との見解で一致した。
両国は、6月の南北首脳会談で朝鮮半島の環境が変化したとの見方で一致。アジア太平洋地域の平和のために両国関係の根本的な改善は有益、とした。米大統領の訪朝が実現すれば、米朝関係はさらに具体的に進展する。オルブライト国務長官は12日の会見で、今月中にも北朝鮮を訪問することを明らかにした。来年1月で任期切れとなるクリントン大統領の訪朝について、長官は「大統領も訪朝を希望している。今後の協議の進展具合によっては可能性がある」との考えを示した。長官自身の訪朝時の大きな協議事項になる。
コミュニケは「双務的な外交接触を正常に維持する」としているものの、課題になっている両首都の連絡事務所開設は言及されなかった。また、米国が北朝鮮を「テロ支援国家リスト」から外す方針は盛り込まれなかった。米政府高官は同日、この問題について「(北朝鮮が)依然として実行すべき課題がある」と述べ、米国が原則を貫く姿勢を強調した。
米側は北朝鮮に、核・ミサイル開発の凍結を一貫して求めている。これに一部応じる形で北朝鮮はコミュニケで、昨秋以来、暫定的に続けているミサイル実験の凍結について「ミサイル協議が続く間はすべての長距離ミサイルを発射しない」と約束した。
94年の北朝鮮の核開発疑惑をめぐる「米朝枠組み合意」については、「完全に履行するための努力を倍加する」とし、それが「朝鮮半島の非核化に重要」と位置づけた。北朝鮮は、大幅に遅れている軽水炉建設の促進を、米側は北朝鮮の核開発の凍結保証を、それぞれ念頭に置いたものだ。
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米朝共同コミュニケの骨子は次の通り。
●休戦協定を強固な平和保障体系に変え、朝鮮戦争を公式に終結させる上で4者会談などの様々な方途があることで見解が一致
●米朝両政府は、双方が敵対的な意思を持たないことを宣言し、新たな関係樹立に全力を尽くす
●ミサイル問題の解決が米朝関係の根本的な改善とアジア太平洋地域の平和、安全に寄与するとの見解で一致
●北朝鮮は、ミサイル問題に関する協議が継続している間はすべての長距離ミサイルを発射しないことを米国に通報
●米大統領の訪朝を準備するため、オルブライト国務長官が近く訪朝することで合意(02:08)