投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 10 月 09 日 12:42:54:
防衛庁は8日までに、自衛隊による「治安出動」の概念を、従来の過激派対策から国籍不明ゲリラによるテロ対策に比重を移すことを決め、国家公安委員会と結んでいる「治安の維持に関する協定」(治安維持協定)を見直すことで警察庁と合意した。現行協定は、大規模なデモなどによる暴動の鎮圧を主に想定しているため、高度な訓練を受けた武装工作員の侵入、破壊活動が起きた場合には不備があると判断した。同協定は1954年の締結以来、手が加えられず、見直しは46年ぶりになる。
自衛隊法などによると、日本に対する侵略意図が明確な特定国の武装ゲリラが組織的に攻撃をしかけてきた場合は、首相が自衛隊に「防衛出動」を発令して対処することになっている。一方、国籍不明のゲリラが少人数で侵入し、テロ活動を起こした場合には、一義的には警察や海上保安庁が対応し、警察力だけでは抑止が困難と認められれば、自衛隊の「治安出動」や「海上警備行動」が発令される。
ただし、治安出動時の運用方法を定めた現行の治安維持協定は、対象を暴動の鎮圧や警備に限定しているため、テロ活動に対する警察と自衛隊の任務分担や相互援助のあり方などは明記されていない。新協定では、自衛隊がテロ対策の前面に出る形になるとみられ、防衛、警察両庁は、相互の連絡機関の設置などを定めた「細部協定」(57年作成)についても再検討することにしている。
国内の暴動鎮圧を想定した治安出動は、「国民に銃を向ける」イメージから反発も根強く、防衛庁は具体的な検討を控えてきた。国内の過激派勢力は年々衰退しているため、治安出動そのものの意義が薄れており、この時期の協定見直しは、自衛隊の組織防衛的な側面もうかがえる。
防衛庁は昨年3月の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による不審船の領海侵犯事件を受けて、同12月末、海上保安庁と不審船対策の共同対処マニュアルを策定。来年度予算の概算要求では、陸上自衛隊西部方面隊に離島部隊を新設したり、都市型ゲリラに対応する訓練施設の整備など、武装ゲリラ対策として約35億円を計上している。
【中村 篤志】
[毎日新聞10月9日] ( 2000-10-09-03:01 )