投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 10 月 09 日 12:25:58:
2000 年 10 月 9 日
全国の郵便局が、貯金や両替で持ち込まれた一円玉などの硬貨を日本銀行に預け入れず、民間の警備会社に保管を委託、一九九八、九九年度の二年間に合わせて約十二億円の委託料を支払っていたことが八日、会計検査院の調べで明らかになった。保管中の硬貨は今年三月現在、全国で推計約六十七億円分。半分以上が消費税の5%引き上げ後に、財布の中で“邪魔者”扱いされるようになった一円玉だ。銀行などでも大量の硬貨が滞り、日銀の支店、代理店を兼ねる金融機関の金庫に引き取ってもらえないためという。日銀への預金を通じて運用益も期待できる資金なのに、反対に巨額のコストがかかっているわけで、会計検査院では保管の方法が適切かどうか調査を進めている。
郵政省貯金局によると、全国の郵便局に硬貨がたまり出したのは、消費税が導入された直後の九〇年ごろ。日銀の代理店を兼ねる銀行や信金に預けようとしても、「金庫の保管スペースが足りない」と、硬貨に限って預け入れを断られるケースが出始めたという。そのため、自前の金庫で保管していたが、九五年度には宮城、神奈川、京都、大阪、兵庫など十一府県で満杯状態に陥り、警備会社への保管委託に踏み切った。
九七年四月に消費税が5%に引き上げられると、使用機会の急減した一円玉が輪をかけて滞留するようになり、九八年度には青森、広島、愛媛を除く四十四都道府県で、九九年度には全国すべての地方で民間警備会社への保管委託に追い込まれた。
保管中の硬貨は一円玉なら五千枚、五百円玉で二千枚を収納できる専用の布袋に入れてあるが、同省貯金局の集計によると、警備会社で眠っている硬貨は今年三月現在で計約四万三千袋。重さにして五百八十トン余りと推定され、二千ccクラスの乗用車五百台分を生産できる金属量に相当する。ほとんどの地方で、保管硬貨のうちの半分以上が一円玉という。
保管費は九九年度が六億円、九八年度もほぼ同額に上っている。同省貯金局の担当者は「従来は日銀への預金を通して金利も得られていたが、今では逆に膨大な保管コストがかかる。日銀とは緊密に連絡を取り、金庫のスペースが空き次第、少しずつ引き取ってもらっているが、まったく減らない」と話す。
郵便貯金で取り扱われる資金は税収などと同様に「国庫金」と見なされている。日銀法三五条は「国庫金は取り扱わなければならない」と定めてあり、郵便局は原則として資金を日銀に預けることになっている。
会計検査院では、これらの法制度に照らし、〈1〉硬貨の保管委託は避けがたい方法だったか〈2〉国庫金が一時的にも民間へゆだねられる状態が適正と言えるか――などの観点から調査を進めている。
日銀政策広報課では「硬貨の需要は時期的な波が大きく、支店や代理店で預け入れを待ってほしいと要請することはあった。現状では金庫のスペースがないといった問題は改善されてきており、郵政からの要請があれば引き取る体制は整えている」としている。