投稿者 ちょっと考えること 日時 2000 年 10 月 06 日 20:28:23:
西宮市は阪神・淡路大震災で建設された応急仮設住宅の建設から解消、原状復旧までの記録をまとめた冊子「仮設住宅のあゆみ」を作製した。震災復興の検証作業に生かすため、入居募集の混乱ぶりや個別の住宅あっせんの難しさ、支援制度の不備など、現場で感じた反省や問題点も率直につづっている。
同市内には震災から半年後の一九九五年七月までに四千九百一戸が建設された。続いて千八百七十三戸の市営住宅を含む災害復興公営住宅約三千四百戸が建設され、仮設住宅入居者は九九年末でゼロになった。
解体・撤去の終わった団地から順に原状復旧工事を進め、今月までにすべての仮設住宅用地が元の公園やスポーツ施設などとして再開された。今年三月に「仮設住宅対策室」を廃止し、九月末で「仮設住宅係」もなくなり、庁内の組織名からも「仮設」は消えた。
冊子はA4判八十三ページ。旧仮設住宅対策室が「担当者が散逸する前に、仮設住宅とは何だったのかが分かる最低限の資料を残したい」と昨年から手作りで作業を進めてきた。仮設住宅の建設から募集、入居、解消までを、年表や仮設住宅の平面図などとともに時系列でたどった。
受け入れ態勢が追い付かず連日大混乱をきたした入居募集業務では、「募集住宅が被災者の希望する諸条件に適合していなかったことが最大の原因」などと反省点を列挙した。
当時の担当課長や生活支援アドバイザーも手記を寄せ、「被災者支援金の早期支給など、仮設住宅偏重でない別の選択肢も考える必要があった」「問題に定型はなく、危機的災害では、市町村に大きな権限を与えるべき」「住民主体の姿勢を貫き、後手の対応による行政災害で追い打ちをかけないことが絶対必要」などと指摘している。
冊子は内部資料として兵庫県や庁内の関係課に配るほか、同市行政資料室や市内の図書館で閲覧できる。
(掲載日: 20001006 )