投稿者 9/8 しんぶん赤旗 日時 2000 年 9 月 13 日 17:37:47:
99年度政治資金報告各党の特徴は
自民党
パーティー増えて
自民党の収入は、参院選があった前年九八年に比べると一三・五%減の二百五十億一千万円。
党費収入は五九・七%減、個人や企業団体献金が三三・八%減ですが、企業団体献金の減収をおぎなう政治資金集めのためのパーテ
ィーの開催は年々増えつづけています。
各分野の収入が軒なみ前年を割り込むなか、政党助成金百四十八億九千万円を受け取り、ためこみで政党基金を二倍以上の八十二億
六千万円としました。
政党助成金をのぞく収入百一億二千万円のうち、四七・九%を国民政治協会をとおした企業団体献金四十八億四千万円でまかなって
います。政党助成金と企業団体献金の二つで、総収入の七八・九%を占めています。
個人献金はわずか三億三千万円、一・三%。
公明党
支部で企業献金
公明党は収入総額百六十九億四千万円のうち、三十三億三千万円が政党助成金。党費収入は三十三万五千三百八十人分で、十億円で
す。
本部への個人による献金はなく、政治団体からの百万円だけ。資金の出入りが自治省届出の公明党本部の政治資金報告書からは分か
らないしかけになっています。企業団体献金は支部段階で受け取っており、同党衆議院比例区東京第一総支部などは、六十一社から一
千万円の企業献金を受けています。
衆議院比例区近畿第二総支部は大阪市で資金集めパーティーを開き、二千八百万円を集め、このうち四百三十万円を企業・団体に支
払ってもらっています。
民主党
政党助成金に依存
民主党は、収入八十四億五千万円のうち、八二%にあたる六十九億二千万円が政党助成金。政党助成金への依存度は、九八年の五
九%から大幅にアップし、過去最高の水準。
企業団体献金は、国民改革協議会を通じ、二億三百五十万円を受けています。企業・団体からも政治資金を集めるための結党一周年
パーティーでは、二億二千万円余の収入をあげ、一億九千万円の利益を得ていました。
自由党
税金丸抱えの実態
自由党は、収入総額三十二億一千万円のうち、政党助成金が二十七億九千万円で、八七%を占め、税金丸抱えの実態が特徴です。旧
新進党からの継承分が消え、収入が半減しました。個人の党費はわずか二百七十四人分、九十八万円にすぎません。個人献金も三十八
万円しかなく、圧倒的な資金を国に頼っています。
社民党
銀行から4億円借金
社民党は、収入が三十八億七千万円で、政党助成金がこのうち二十一億一千万円。大和銀行から四億円を借り入れています。機関紙
収入は六億三千万円で、前年比六千万円以上減少。社会労働運動家センターからの借入金が七億二千七百五十万円残っています。
自民派閥資金が倍増
総裁選がらみトップ山崎派
一九九九年の政治資金収支報告書によると、自民党七派閥・グループが集めた資金は前年の二倍以上の二十一億五千万円に上りまし
た。総裁選に出馬した故小渕恵三、加藤紘一、山崎拓三氏が率いる三派が主導する形で資金集めが加速、五億一千万円を集めた山崎派
が二年連続のトップとなりました。昨年結成されたばかりの江藤・亀井派も四億五千万円で二位に食い込み、派閥の足場を築いた形と
なりました。
山崎派は東京、大阪などで開いたパーティーと、山崎氏による一億円の寄付が収入の柱。前身の旧渡辺派から八千万円を引き継いだ
江藤・亀井派は、亀井静香政調会長から四千万円の上納金がありました。
三、四位は総裁選を争った小渕派(現橋本派)と加藤派が、それぞれ四億二千万円、三億三千万円で続きます。加藤氏は派閥に八千
八百万円、故小渕氏は五千万円を供給していました。
一方、綿貫民輔小渕派会長も三千万円を上納していましたが、同派を継承した橋本龍太郎元首相からの献金はなく、資金面で関与し
ていませんでした。
森派は前年より三倍以上増やし、三億一千万円。当時幹事長だった森喜朗首相は「滅私奉公。小渕氏を支える」と総裁選への出馬を
見送って、衆院選に向けた資金集めに励みました。旧河本派は、パーティー収入を中心に一億二千万円。河野グループは所属議員から
の会費を集めたのみで、収入額は一千万円に満ちませんでした。
支出額では、総裁選を戦った山崎派が四億九千万円、加藤派が三億四千万円で資金をほぼ使い果たしていましたが、小渕派は意外に
少ない二億円。加藤、山崎両氏が死に物狂いの戦いを挑んだ様子が見て取れます。
金融関連業界
2億8千万円を献金
銀行は三千百七十万円、信用金庫・信用組合が五千四十四万円、生命保険会社が六千六百九十一万円、損害保険会社が五千三百四十
万円、証券業界が八千万円を国民政治協会に献金しました。合計二億八千二百四十五万円にのぼります。
また、自民党が九三年の選挙資金として都市銀行八行から百億円借り入れていた借入金残高は、前年より十二億円減って六十一億四
千万円になりました。
九八、九九年に公的資金を投入された都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行からの献金はありません。
自民党の借入金 (万円)
第一勧業銀行 7億6750
さくら銀行 7億6750
富士銀行 7億6750
東京三菱銀行 7億6750
三和銀行 7億6750
住友銀行 7億6750
大和銀行 7億6750
東海銀行 7億6750
軍需産業
東芝が2964万円自民に
日産やNECも献金
自衛隊の戦車、艦船、航空機といった装備品などを受注している軍需産業が九九年に自民党におこなった献金は、防衛庁との契約
額上位十社(九九年度)で計一億千四百三十五万円、上位二十社(同)で計一億六千六百二十五万円にのぼっています。
この上位十社が九九年度に防衛庁とおこなった契約総額は七千九百八十二億円で、同庁の年間調達額の六三%を独占。上位二十社で
は九千四百七十八億円、七五%に達しています。
献金の内訳をみると、東芝がトップで二千九百六十四万円。つづいて日産自動車が二千五百四十万円、日立製作所二千二百八十万
円、三菱電機千八百二十万円など。
九八年に自衛隊の装備品調達をめぐる背任・汚職事件で幹部が起訴され、自社の装備品納入でも長期にわたって国に水増し請求をし
ていたことが明らかになった日本電気(NEC)も、千二百万円の献金をおこなっています。
深刻な財政危機とアジアで広がる平和の流れのもとで、軍事費に抜本的なメスを入れ、大幅な削減に踏み込むことが急務になってい
ます。しかし、軍需産業はこれに逆行し、軍事費の拡大に躍起。政府・与党は、軍事偵察衛星
をはじめ、P3C対潜哨戒機やC1輸送
機の後継機を国産化する方向などを打ち出しています。
自衛隊の装備品調達をめぐる背任・汚職事件で幹部が起訴されたNECも自民党に1200万円の献金をおこなっています。
軍需産業献金─防衛庁調達(99年度)
上位10社の契約額と自民党への献金
企業名
契約額(億円)
献金(万円)
三菱重工業
2796.7
1030
川崎重工業
1322.0
144
三菱電気
1120.8
1820
東芝
538.1
2964
石川島播磨重工業
535.2
1329
日本電気(NEC)
425.7
1200
小松製作所
370.5
─
日立造船
344.5
408
日産自動車
273.4
2540
日本電子計算機
255.3
─
合 計
7982.1
11435
注)自民党への献金は、国民政治協会を通じてのもの。
合計は四捨五入のため合わないことがあります