投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 9 月 29 日 09:22:11:
タイ北部で化石霊長類の発掘調査にあたっていた京大霊長類研究所(愛知県犬山市)、タイ・チェンマイ大などの合同チームは二十八日までに、千百万〜千五百万年前の大型類人猿「シバピテクス類」の臼歯(きゅうし)の化石を発見したことを明らかにした。アジアの類人猿としては最古級、東南アジアでの発見は初めて。アフリカで誕生した初期の類人猿が、進化の早い段階に遠くアジアにまで達していたことを示す貴重な証拠として、来月一日に松江市で開かれる日本地質学会で報告する。
シバピテクス類はオランウータンの祖先とみられているが、以前は人類の祖先と考えられたこともあるほどで類人猿と人類との共通の祖先に近い位置にある。調査にあたった京大霊長類研究所の国松豊助手によると、発見されたのは上あごの大臼歯で幅約一・四センチ。チェンマイから東へ百三十キロのチェンムアン地域で、今年一〜二月の調査で見つかった。
シバピテクス類は、体長約一・五メートル。現生のチンパンジーやゴリラ、オランウータンなどとともに、人間と同じヒト上科(科の上の分類)に含まれる大型類人猿。これまでに千三百万年前の化石がパキスタンで発見されている。
顔面の特徴などにオランウータンとの共通性が指摘されているが、現在のオランウータンが生息するインドネシアなどの東南アジア地域では、これまで発見例がなかった。
類人猿は、アフリカの原始的な猿から進化したとみられ、千五百万〜二千万年前には現在のヒト上科につながる大型の類人猿がアフリカに出現し、これらの一部がユーラシアへ進出したと考えられている。今回の発見は、類人猿のアフリカからの進出時期や拡散ルートを考える上で、第一級の資料となりそうだ。