投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 9 月 28 日 13:11:36:
アメーバ状になる生物の粘菌が、迷路の最短ルートをぴたりと見つけ出すことを、理化学研究所の中垣俊之・フロンティア研究員らが突き止めた。「知性」とまでいえるかどうかは疑問だが、かぎとみられるカルシウムイオンはヒトなどでも情報伝達にかかわるとされ、研究は生物の情報伝達を考える糸口になりそう。28日発行の英科学誌ネイチャーに発表される。
粘菌は、カビなどの真菌と細菌の中間に位置する原始的な生物。細胞同士がくっついて塊のような1つの大きな細胞になる。博物学者の南方熊楠が研究に熱中したことでも知られる。
中垣さんらはフィルム状の合成樹脂をくりぬいて迷路をつくり、寒天の上にのせ、粘菌の一種のモジホコリを培養。やがて繁殖し、迷路を埋め尽くした。
その後、迷路の入り口と出口にえさを置くとモジホコリは次第に変形。約半日で出入り口を結ぶ最短ルートをつなぐ形になった。
粘菌の細胞ではカルシウムイオンの濃度が周期的に濃くなったり薄くなったりしている。こうした「リズム」が体全体に及び、安定した状態になっている。
えさを置くと、えさを食べようとしてリズムが変化し、体形も変わるらしい。中垣さんは「最短ルートに沿った形になるのは効率よくえさを吸収するためと考えられる。生物の情報処理機能の解明はコンピューター開発のヒントも与えてくれるだろう」と話す。
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