投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 9 月 20 日 17:05:47:
2000.09.20 Web posted at: 4:21 PM JST (0721 GMT) ワシントン(AP)
1970年にチリ社会主義政権の成立を阻止しようとした同国軍部によるクーデター未遂を、米中央情報局(CIA)が支援し、軍部内のグループに報酬を支払っていたことが、このほどCIAがまとめた報告で明らかになった。報告はさらに、その後ピノチェト軍政下に至るまで、チリ国内のマスコミを通じて情報操作をはかるなど、CIAが同国の内政に深く関与していたことを認めている。
この報告は、チリ国内の人権侵害とCIAの活動との関連を明らかにするよう求める法律が米議会で成立したことから、CIAが作成を急いでいる。その一部が20日、CIAのホームページ上で公開される。
チリでは1970年、アジェンデ大統領による社会主義政権が誕生する直前、軍部内のグループが、大統領の就任を阻止してクーデターを起こそうと計画した。クーデター派は、この計画に賛同しなかったシュナイダー将軍の拉致をはかった。シュナイダー将軍は、拉致に抵抗して銃撃され、2日後に死亡した。
今回の報告によると、CIAはシュナイダー将軍の殺害を求めたことはなかったとしているが、拉致計画を支持したことは認めている。さらにCIAが実行グループに、3万5000ドルを支払ったことも、明らかにしている。
1973年9月11日にアジェンデ政権を転覆させた軍事クーデターについては、CIAはクーデター計画の情報を事前に入手していたことを認めながらも、直接の関与は否定している。また、アジェンデ大統領が大統領宮で自殺するなど予測できなかったとしている。
報告ではさらに、1976年のレテリエル事件(アジェンデ政権時代に外相を務めたレテリエル氏が、米ワシントンで爆殺された事件)をめぐり、犯人として現在服役中のコントレーラス元国家情報局長に対しても、CIAから報酬が支払われていたことが明らかになった。CIAは報告の中で、「支払いは、CIA高官が中止を命じたにもかかわらず、誤って渡された」としているが、事件の前後にCIAがコントレーラス元局長と数回接触したことを認めている。
CIAの報告ではさらに、CIAがアジェンデ政権の成立後、チリ国内のマスコミに対して反政府の立場をとるよう圧力をかけ、続くピノチェト軍政に対しては「よいイメージを作り出すのに貢献したメディアを支援」するなど、一貫して反社会主義の情報操作を続けていたこともわかった。民間の協力者が、アジェンデ政権打倒を正当化するために流した情報を、当時から「多分にせ情報だ」と知りながら、黙認したこともあるという。
17年間にわたったピノチェト軍政下では、人権弾圧で3000人以上が死亡したとされ、現在、国際的な非難の的となっている。ピノチェト元大統領による人権侵害の罪を問う裁判で、チリ最高裁は元大統領に与えられている終身上院議員の刑事免責特権をはく奪した。
CIAは報告の中で、「調査の結果、CIA職員がチリの人権侵害や、その隠ぺいに携わった証拠は見つからなかった」と結論づけているが、一方で「当時、ニクソン大統領の承認を受けていた接触先も、今日の基準に照らせば認められないだろう」との認識を示している。