投稿者 9/20 産経 日時 2000 年 9 月 20 日 15:09:39:
■「日韓トンネル」提唱検討 金大統領
22日からの訪日時
南北鉄道と連結 世界の物流拠点めざす
【ソウル19日=黒田勝弘】韓国の金大中大統領は二十二日からの日
本訪問の際、日本と韓国をつなぐ「日韓海底トンネル建設」の構想を
日本側に提唱することを検討している。韓国政府筋がこのほど明らか
にしたもので、最近、起工式が行われた韓国と北朝鮮をつなぐ南北鉄
道の復元工事に関連し韓国政府内部で議論されている。金大統領とし
ては二十世紀最後の訪日になる今回、二十一世紀に向けた日韓の「夢
のプロジェクト」として日本側にアピールしたい考えという。
金大中大統領は先ごろ大統領官邸で行われた自治体首長会議でも、
釜山と九州をつなぐ海底トンネル建設案について肯定的な発言をして
いるという(七月一日付「釜山日報」)。
日韓海底トンネルについては一九九〇年に訪日した盧泰愚大統領や
翌九一年に訪韓した海部俊樹首相など日韓双方で話題にしたことがあ
る。
金大中大統領は今回の訪日でこの間の日韓友好路線を再確認すると
ともに、二十一世紀に向け経済、文化などさらなる関係強化を日本側
に訴える方針だ。
金大統領の「日韓トンネル」への関心には、最近の南北和解ムード
を背景に、鉄道連結などで朝鮮半島を縦断し大陸に広がる物流ルート
が開ける可能性が展望できることから、経済面などで現実味が出てき
たとの判断があるようだ。
金大中大統領は十八日に行われた京義線復元の起工式演説では「京
義線の連結で朝鮮半島は大陸と海洋の物流中心地になり、ユーラシア
と太平洋をつなぐ拠点として世界経済の中心軸になる」と語ってお
り、この「夢」には日韓トンネルが不可欠だ。
しかし日韓は釜山と福岡の間が対馬をはさんで百八十キロもあり、
完成すれば一九八五年に貫通した青函トンネルの五十三キロや九四年
に完成した英仏トンネルの五十キロよりはるかに距離は長い、世界最
長の海底トンネルとなる。
したがって建設費や経済性からは難点は多いが、二十一世紀という
長期的観点から考えた場合、朝鮮半島や中国などの経済発展を考慮す
れば十分に可能性はあるとされている。
日本では日韓議連会長だった故竹下登元首相が熱心で、自民党での
検討を指示したことがあり、羽田孜元首相も著書で「日本再生プログ
ラム」の一環として日韓トンネル構想を語っている。
韓国側ではこれまで目立った動きはないが、日本側では民間を中心
に具体的な調査活動などが行われてきた。
一九八〇年代には統一教会系の「国際ハイウエー建設事業団」が佐
賀県唐津市に事務所を設置し、地質調査や調査掘削を行い、経由地に
想定している対馬や壱岐などで用地買収までしている。