投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 9 月 19 日 15:28:21:
2000.09.19 Web posted at: 3:00 PM JST (0600 GMT) シントン(CNN)
米政府は18日、国連に対し、イラクのサダム・フセイン大統領を裁く戦争犯罪法廷の設置を提案した。イラン・イラク戦争中や湾岸戦争前後の殺りく行為について、同大統領らイラク指導部の責任を問うべきとの提案だ。背景には、米大統領選を前に、イラクが前回大統領選の時期と同様の挑発的な行為にでるのではないかと、神経をとがらす米政府の思惑があるとみられる。
米国務省のシェファー特使(戦争犯罪問題担当)は18日、国連での演説の中で、イラクのフセイン大統領を裁くために新たな国際戦争犯罪法廷を創設すべきだと提案。「フセイン大統領とその周辺の指導者たちが、長期にわたり、残虐かつ組織的に戦争・人道犯罪を犯してきたことは、疑う余地がない」と主張した。
犯罪の具体的な内容として、(1)イラン・イラク戦争中の1983年から1988年にかけ、約5000人のイラン人が化学兵器により死亡、(2)1988年、イラク国内で、約5000人のクルド人が化学兵器により死亡、(3)1987年から1988年にかけ、イラン国内で推定5万人から10万人のクルド人が毒ガスにより死亡、(4)1990年から1991年のクウェート侵攻で、クウェート人など1000人以上が死亡、(5)湾岸戦争後、イラク南部に起きた暴動で、軍の制圧により民間人を含むイラン国民3万人から6万人が死亡――などの例を示した。
訴追されるべき人物としては、フセイン大統領のほか、アジズ副首相や、大統領の長男ウダイ氏、二男クサイ氏など、12人の名前を挙げた。
米政府の提案の背景には、フセイン政権が最近不穏な兆候を見せているのではないかとの懸念がある。このところ、イラク当局は「クウェートがイラクの石油を盗み取っている」との主張を復活させているほか、イラク軍機が今月、サウジアラビア領空を侵犯したとの報告もある。
米当局者によれば、過去の例から見て、米国で大統領選挙が行なわれる時期は、イラクが挑発的な行動に出る可能性が高いという。前回大統領選があった1996年にも、イラクは選挙の数カ月前、北部クルド人居住区に向けて兵力を移動させた。
米当局は、イラクに対して「過去のような行為を繰り返そうとするなら、それを防ぐために必要な行動をとる」と警告を発し、緊急事態に備えて軍の体勢を整備した。国防総省のキグリー報道官は、「今のところイランに常軌を逸した動きは見られないが、今後も注意深く監視を続ける」と話している。