投稿者 一刀斎 日時 2000 年 9 月 17 日 21:30:13:
週刊現代9/30号
独走スクープ!三宅島噴火はここにつながった
来るッ東京・東海「連動」大地震“前兆”データが出た!
噴火のためほとんど全員が島から避難した、三宅島住民たちの苦難の
日々は続く。それでも大多数の日本人は、災害を他人事のように見ていることだ
ろう。だが、世界一の地震・火山国である日本で、傍観者の立場はあり得ない。
三宅島どころか日本が破滅しかねない、恐るべき巨大地震がいま、近づいてい
る。
東海沖で起きている異常事態 M8超の巨大地震が32時間差で発生 巨大地震が誘発する富士山の大噴火 壊滅した東京に火山灰が降る
早く自分の家に帰りたい。そういう三宅島住民たちの悲痛な願いは、いつ叶うの
か。
9月12日午後の段階で、三宅島・雄山の噴煙はやや弱まってきた。それまで、
三宅島は絶えず2000m近い噴煙を上げつづけてきたが、噴煙の量がやや減少
しだというのだ。
楽観的に見れば、三宅島の活動は、ようやく沈静化の方向に向かっていると判断
することもできる。しかし、三宅島は8月初旬にも一時沈静化し、人々が胸をな
で下ろしたところで、大噴火が発生した。三宅島が完全に沈黙するのはいつにな
るのか、それは依然として予断を許さない。火山噴火予知連絡会会長の井田喜明
氏は、こう語る。
「三宅島の噴火がまだ続く可能性は、否定できません。三宅のマグマの性質から
すると、いままでに起きた噴火とケタが違うような大噴火が起こる可能性は低い
が、それにしてもいまの噴火はちょっと長すぎます。噴火はマグマの勢力が完全
に衰えるか、大爆発でマグマのエネルギーが放出されてしまえば収まりますが、
今回はまだ、いずれとも決着がつかない状態です」
そんな中、9月11日の午前7時50分ごろ、三宅島の北西にある、式根島と利
島で、震度5弱の強い地震が起きた。地震の規模はM5・3。注目すべきは、こ
の地震の震源が、これまでの地震の中でもっとも北寄り、つまり本州に近い場所
だったということだ。
一連の三宅島噴火活動の早い時期において、気象庁や地震予知連は、この活動の
影響が他の地域に波及する可能性を否定している。しかし、こうした地震の“北
上”が再び観測されたとなると、現時点でも本当にその可能性がまったくない
と、はたして言い切れるのだろうか。
三宅島がこのまま活動の終息を迎え、噴火が収まったとしても、次には別の場所
で、新たなマグマの活動が始まるという可能性は捨てきれないはずだ。
事実いま、ここに驚くべき最新データが存在する。実は、
巨大地震の“前兆”とも思える現象が、東海沖で観測されているというのだ。
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科学技術庁防災科学技術研究所地震調査研究センター長の岡田義光氏は、次のよ
うに語る。
「実はいま、東海沖において、阪神大震災が発生した直前
の状況と、非常によく似た現象が起きています。このデータを見ると、
かねてからわれわれが警戒を続けていた、東海大地震がいよいよ来る
のではないか、と懸念されるのです」
科学技術庁や気象庁では、以前から「必ず起こる」と予想されている東海地震に
備え、24時間の観測体制を常に敷いている。その観測網でキャッチした、膨大
なデータの分析を続けているうちに、岡田氏らは最近、ある異常事態に気づい
た。東海沖や静岡県付近での微小地震の数が、1998年ごろから減少
しているのだという。
「東海洋では太平洋プレートの沈み込みによって、静岡県の御前略などは、引っ
張られて常に海へと沈んでいます。これに伴い、無数の微小地震が東海沖や静岡
では発生している。プレートが一定の速度で沈み込みを続けている限り、微小地
震の数も、それに応じて一定の割合で発生します。
ところが、それがここ約2年ほど、減少傾向に転じた。地
震の減少は沈み込みの割合が小さくなったことを示していると思われます。沈み
込みが止まり、逆に跳ね上がるときに巨大地震が起きる。阪神大震災でも、地震
発生の約2年前から同じ現象が起きていました。このデータからする
と、東海地震はもはや、かなりさし迫った状態にあると見ることができます」
(岡田氏)
阪神大震災のデータを解析した結果、地震減少の割合が50%を超えたとき、地
震が発生したことが分かった。現在、東海沖の地震減少の割合はすでに40%を
超え、その危険ラインに近づいているという。
いよいよ、東海地震が秒読み段階に入ったのか。東海地震で予想される地震の規
模は、M8以上といわれる。M8とは、これまで日本の歴史上でも、数えるほど
しか起きていない超巨大地震で、あの「関東大地震」(M7・9)をも超える、
凄まじいエネルギーの地震だ。もし起きれば、東海地方はとてつもない被害を受
けることになろう。
だが、恐るべきことに、東海地震の発生すら、さらなる巨
大災害の前触れに過ぎない、という指摘がある。琉球大学理学部の<
STRONG>木村政昭教授は次のように語る。「ある場所で巨大なエネル
ギーが放出されると、それが、他のプレート境界でひずみが生じている場所に、
波及的に影響を与えることがあります。つまり、東海地震のようなプレート境界
型の巨大地震が起きると、他の地域で同時多発的に巨大地震を発生させ
る可能性があるのです」
巨大地震は一度で終わらず、連続する。これは歴史も証明している事実
だ。
たとえば1707年に、日本の歴史上最大規模ともいわれる、M8・4の超巨大
地震「宝永地震」が発生した。「五畿七道の地震」ともいわれ、東海から近畿地
方までの広大な地域を地震が襲い、その際発生した津波は九州にまで押し寄せ、
甚大な被害を出した。記録に残るこの信じがたいほど巨大な地震は、遠州灘つま
り東海沖と、紀伊半島沖で、二つの巨大地震が同時に発生したと考えられてい
る。実はこの4年前の1703年には、M7・9〜8・2に達した房総半島前沖
の大地震、「元禄地震」も起きている。4年間に、M8クラスの地震が
なんと3度も発生していたのだ。
また、1
854年12月23日、やはりM8・4と推測され、被害が関東から近
畿に及ぶ「安政東海地震」が発生。するとその32時間後の12月24日に、同
じM8・4の「安政南海地震」が発生した。こちらも被害は東海地方全域から北
陸、近畿、中国、四国、九州に及んだといわれる。さらにそのー年後の1855
年、今度は東京直下型としては歴史上最大規模の、「安政江戸地震」が発生し
た。約150年前と同じく、東京(江戸)、東海、近畿と、日本の中枢部を狙い
撃ちするように、巨大地震が連発したのだ。
同じような例は他にもあり、巨大地震の連続発生は、ほば同時から4年
程度までのタイムラグで、いままで何度も日本に大被害を与えてき
た。もし東海沖で同じ規模の地震が起きれば、この大災害の連続発生が、再び繰
り返される可能性は高い。
ではいったい、東海地震に連鎖して起きる地震は、どこで発生するのか。ここで
もっとも危惧されるのが、かつての例と同じく東京を直撃する、房総半島前沖
(相模湾沖)のプレート境界型大地震と、東京直下型地震だ。
東京がいま、いつ大地震の直撃を受けてもおかしくない状況にあることは、公然
の事実とされている。たとえば、東京直下型地震については、地震の周期的なサ
イクルや茨城沖の〃前兆地震〃(7月21日)から見て、
地震発生は近いという。これは、地震防災対策強化地域判定全会長で、
東京大学名誉教授の恵氏らが指摘している。
溝上氏によれば、いま東京は約20年周期で訪れる、地震発生頻度が〃山〃の時
期にさしかかっている。想定される地震の規模はM7以上。阪神大震災のM7・
2に匹敵する大地震になるのは必至で、国土庁作成の地震被害想定シ
ミュレーションでは、東京で死傷者10万人以上という結果が出た。
また、房総半島前沖の海溝、相模トラフ上には、1923年の「関東大
地震」で崩壊せずに残った、地震の〃空白域〃が存在する。この場所
は、プレート境界上のきわめて不安定な箇所で、いつ崩壊して巨大地震がおきて
もおかしくない。その規模はM7・4〜8と想定され、関東大震災に匹敵、もし
くは陵駕するほどのものになるという。東海地震の発生は、再びこうした首都直
撃の大地震の〃引き金〃となりうるのだ。
東海地震、東京直撃の大地震が時を経ずして連発するというのは考えるだに恐ろ
しい。だが、ここでさらに戦懐すべきデータがある。東海地震や関東地震など、
プレート境界型の巨大地震の発生は、続けて富士
山の噴火とも「連動」する可能性があるのだ。
「M8級の東海地震が起きた場合、予測される震源域から数十Hの圏内にある富
士山にも、当然影響が出ることが予想されます。もし富士山の噴火の条件が整っ
ている状態で地震が起きれば、マグマが一気に噴出する可能性がある。
事実、1707年にそれと同じことが現実に起きています」
(前田・岡田氏)
1707年の超巨大地震、「宝永地震」についてはさきほど触れた。実は
この地震の約2ヵ月後、富士山が噴火しているのだ。
富士山の南東にある宝永火口を生じた、有名な宝永の噴火であ
る。江戸の町が2週間、火山灰で暗くなったという大噴火だ。
富士山は、この宝永噴火から活動期に入り、幾度か噴煙を上げたり鳴動したりし
たが、約150年後の安政の東海・南海大地震が起きた同じ年に、最後の小噴火
を起こし、いったん活動を止めて現在に至る。巨大地震と富士山噴火は明らかに
連動しており、「同じことが起きないとは、誰にも言い切れない」(岡田氏)の
である。
このように、各種のデータを見ることによって、現在者えうる、最悪の
シナリオが明らかになった。まず、明日にも発生するかもし
れない東海地震をきっかけに、プレート境界型の関東地震、もしくは東京直下型
地震が連続して発生する。それに伴い、地震周期的にはまだ約50年後ともいわ
れるが、関西を襲う南海地震が起きる可能性もある。これらはすべて、M7〜8
以上の超巨大地震だ。そして、それらの地震が、富士山の噴火を誘発する。
こんなことが本当に起きるとは信じたくないが、約300年前に実際に起きてい
る、十分想定されうる事態なのだ。人口が過密化する現代の日本で同じことが起
きたら、その被害は想像を絶するものになるだろう。
「少なくとも地震の揺れだけで、太平洋岸のライフラインはすべて寸断されま
す。東海道新幹線や高速道路なども破壊もしくはストップし、日本の社会は完全
にマヒ状態になるでしょう。また、プレート境界型の地震でもっとも怖いのは津
波です。宝永の地震では、三重県の尾鷲市で10m、高知県の土佐市で16mと
いうように、関東から九州までの広大な地域を大津波が襲いました。津波なんて
くるはずがないと思われていた大阪にも4mの津波が押し寄せ、死者2万人とも
いわれています。10m以上の津波となると、いまの建築工学で堤防を築いてい
たとしても、一もはや防ぎようがない」(東京大学地震研究所の郡司嘉宣助教
授)
首都東京は、死傷者10万人以上と想定される地震被害に
加え、富士山からの火山灰が空から舞い落ちてくる。「いまの三宅島でも一晩で
20Bの灰が積もるのですから、富士山の大噴火となれば、その何倍もの灰が東
京を襲うという事態も想定されます。仮に5倍とすれば、1m。灰は雪よりも重
く、家屋の倒壊が心配されます。地中に埋設されたインフラはともかく、電線な
ど空中架設のものは切断の恐れがある。また、降灰で水源地が全滅し、災害時の
断水という、最悪のケースもありうる」(科学技術庁防災科学技術研究
所防災総合研究部長・大谷圭一氏)
この大災害は、荒唐無稽なSFではない。繰り返すようだ
が、まもなく発生するであろう東海地震をきっかけに、かつて実際に起こり、今
日でも充分起こりうる、現実の恐怖なのだ。
前田の郡司氏はこ
う警告を発する。「大阪には、安政の地震のあとに建てられ
た、こんな石碑があります。『われわれは147年前の宝永の地震で津波に襲わ
れ、たくさんの死者を出した。にもかかわらず、その教訓を活かせずに、また大
被害を受けた。子孫たちよ、この失敗を二度と忘れてはならない』。地震をなめ
て、同じ過ちをこれ以上繰り返すのは、愚かなことです」
江戸時代の破滅的な大災害から、今年ですでに145年。われわれは過去の教訓
に学び、必ずくるであろう地震・噴火に、備えなければならない。