投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 9 月 14 日 18:52:37:
「いよいよ、10月から高利回り定額貯金の集中満期が本番に入ります。来年7月までの10カ月間推計満期額は78兆円にも上り、この78兆円のうち最低でも、29兆円が外部に流出する見込みなのです」
郵政省幹部がこう断言する。
78兆円といえば、大手都銀2行分の預金量に匹敵するほどの金額だ。なぜ、これだけの資金が、わずか7カ月間で満期をむかえることになるのだろうか。
「それというのも、今からちょうど10年前となる1990年の9月17日に、定額貯金の預入金利が5.88%から6.33%に引き上げられたことから、大量の資金が郵貯に流入したのです。こうした高金利は、1991年7月まで続いていくことになりますが、その間が満期のピークになります」(前述同)
もっとも、前述した外部流失するとされる29兆円は、過去の流出実績をベースとして郵政省サイドが算出したもので、「最低でもこの程度は流失するだろう、という水準です。場合によっては、30兆円の大台を突破する可能性もあります」(前述の郵政省幹部)
つまり、場合によっては30兆円という巨額の資金が、一挙に金融マーケットに流入してくることになるわけだが、そのインパクトたるや、すさまじいものがある、とみていいだろう。
「銀行間の主要な資金取引マーケットであるコール市場ですら、その市場規模は現状では25兆円程度なのです。果たして、郵貯の大量満期がどのような事態を引き起こすのか、ちょっと想像がつかない。とはいえ少なくとも、消費に回る分は極めて限定的だろう」(大手都銀役員)
果たして、最低でも29兆円といわれる巨額の資金は、どこに向かうのだろうか。
「おそらく、国債やMMFなどの公社債投信、あるいは中期国債ファンド、というローリスクの金融商品が、その受け皿となるのではないか」(大手証券会社幹部)
郵政省貯金局幹部も言う。
「そもそも、郵貯の顧客は、安全性指向が強いため、郵貯流出資金が株式や株式投信などのハイリスクの金融商品に一気に流れ込むとは考えられない」
大手証券会社役員が言う。
「この“郵貯集中満期”は、実質的には今年4月からスタートしているのですが、4月から7月までの動きを見ても、公社債投信や中国ファンドに資金が向かっていることがわかります。そのことは、証券各社のその種の金融商品の販売実績を見ても明らかです。ただし、そうはいっても、予想分配率を高めに設定した野村証券の“独り勝ち”という状況だった観は否めませんが」
大手都銀役員が言う。
「今回の“集中満期”では、我が方も積極的に対応していく。郵貯の顧客は、元本保証に近い金融商品を選好する傾向が強い。そうはいっても、金利には極めて敏感です。銀行業界も投信窓販が解禁されてから約2年近くがたちます。販売ノウハウの蓄積は十分、といっていいでしょう。今回の集中満期では、野村証券が扱う金融商品を越える条件のモノをぶつけていきたい」
郵貯の“大量満期”を迎えて、金融業界は全面戦争に突入しそうな状況だ。