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大阪新聞
http://cgi.jp.osakanews.com/cgi-bin/osknews/articles/showarticle.cgi/news/1998120505
1998年12月5日
来月、内閣を改造
自由党1−2人入閣、首相方針
小渕恵三首相は5日までに、自由党との連立政権樹立に向けて来年1月19
日召集予定の通常国会前に内閣改造を行う意向を固めた。自民党内には、閣
内協力に踏み込むことにはなお慎重論が残っているが、自自連立推進派が勢
いを増しており、党内調整は可能と判断した。首相は自由党から1−2閣僚を受
け入れる方針で、来週中にも小沢一郎自由党党首と会談することを検討してい
る。
連立政権発足の時期については、首相は現在の閣僚の任期が半年に満たな
いことから、1月改造を念頭に置いている。首相は1月6日から13日までドイツ、
フランスなどを歴訪。同16日には自民党大会が予定されているため「1月14日
改造」との見方が出ている。ただ、日程的には年内に余裕があり、1999年度
予算案の閣議決定直後の改造も視野に調整する意向だ。
小沢氏はめられた? 自自連立「竹下−野中」シナリオ
いよいよ自自連立が現実のものとなってきたが、「小沢一郎党首ははめられた
のではないか」との声がある。連立を「お願いした」自民党と「された」はずの自
由党の立場が逆転しているからだ。小沢氏抜きの自民党への吸収も指摘され
ている。深層には竹下登元首相・野中広務官房長官コンビのシナリオがあった
という。
「あれは安い買い物だったなあ」
自自連立話が明らかになった先月中旬、竹下氏は、周辺にこう漏らした。今、
その真相が明らかになった。
連立をめぐり消費税率や閣僚数の問題などで、優位に立っていたはずの自由
党。それが、いつの間にか自民党にリーダーシップをとられる格好になってき
た。「あれ」とはこのことである。
「連立に走り出した自由党は、もはや後戻りは出来ない」。こう話す自民党関
係者は、自由党のお家事情を「総選挙を睨む若手はとくに深刻。だって、選挙に
なっても創価学会などの公明票も連合の票ももらえないのだからなんとしても連
立を実現して欲しいはず」と分析する。
小渕恵三内閣存続のために自民から連立を持ちかけたようで、実は小沢氏側
にも止むに止まれぬ事情があったというわけだ。
竹下氏周辺から話を聞いた自民党関係者によると、竹下・野中工作では、現
状の事態は折り込み済み。小沢氏が最終的にどう判断するかはわからないもの
の「場合によっては小沢さんという核抜きで自由党と連立するつもりもあるよう
だ」と、明かす。
別の中曽根派に近い永田町ウオッチャーが話す。
「竹下氏と野中氏は自由党を連立という土俵に乗せてしまえば何とかなると踏
んでいた」
竹下氏が大蔵省の大物OBの仲介で小沢氏と会い、消費税率の引き下げなど
を中心に意見交換したことも、野中氏が「ひれ伏してでも」と発言、小沢氏との直
接会談で和解にこぎつけたのも筋書き通りだった。
「野中さんも、このままじゃあ(小渕政権が)もたないと意識しているんじゃない
か」。当初、周辺に笑顔を見せた小沢氏は今、相当焦っているらしい。
竹下派(現小渕派)会長だった金丸信副総裁が東京佐川急便事件で辞任(平
成4年)したのを契機にけんか別れした竹下、野中氏ら小渕派と小沢氏。今回の
連立は、一連の冷戦に終止符を打ち、手打ちという意味合いもある、とされてい
たのだが…。