直接に強力な暗示力をもつものはない
このことを完全に理解し、かつこれを応用して活きる人は
もはや立派に人生哲学の第一原則を会得した人だといえる
この自覚こそ、人生を勝利に導く最良の武器である
<中村天風 哲人>
(言葉の暗示力)
人間の精神生命の中には、暗示の感受習性というものがある。
だからたった一言いうのもこの暗示の感受習性というものが、必ず自分が
気がつかなくても、ものの声に応じたように感じる。
感じると同時に潜在意識に対してそのとおりの状態が働き出すのである。
潜在意識の状態が実在意識(顕在意識)の状態に同化してくるのである。
そして、その結果が気高い言葉、神聖な言葉であり、言い換えれば積極的な
言葉を表現した場合には、生命の一切が極めて状態の良い事実となって
現われてくる。
けれども、万が一消極的な、怒り、悲しみ、悶え(もだえ)、迷い、
そして悩みが遠慮なく口からだされるという場合には、
もう恐ろしい結果を神経系統の生活機能に与えてしまうのである。
−−運命を拓く 中村天風 講談社より
(コメント)
私は大阪の人間ですが、商売人は、挨拶するとき、<儲かってますか>
と聞かれると<ボチボチでんな>と答える習慣があります。
言葉の力を意識し始めると<儲かってしかたがないです>なんて答えて
しまいそうですね
中村天風
30歳にして当時は死の病であった結核にかかり、死病を直すために世界を放浪、
その間コロンビア大学で医学をおさめるも、病状悪化して帰国の途上、ヨガの
聖人カリアッパと運命的に出会いインドへ。2年数カ月ヒマラヤ山麗でヨガの修行、
結核をも完治し日本人初のヨガ直伝者となる。37歳、インドから帰国すぐ実業界
に進出し、東京実業貯蔵銀行頭取はじめ、大日本製粉(いまの日清製粉)など
数社の重役として活躍43歳のとき突然すべてを投げ打って、日比谷公園で
大道説法をはじめる。その波瀾に満ちた半生から生まれた「人生成功哲学」は
触れる者をたちまち魅了、時の総理大臣、原敬が「この人は大道で講演させて
おく人ではない」と認め、東郷平八郎はじめ有力者が次々に門下生となる。
以降、1968年92歳で亡くなるまで、戦前戦後の各界の頂点を極めたリーダー
たちに強い影響を与えつづけた。