事実がたとえわかっていなくても、とにかく前進することだ
前進し、行動している間に事実はわかってくるものなのだ
<ヘンリー・フォード アメリカの自動車王>
(成功のためにかかる時間)
ヘンリー・フォードが有名なV8エンジンを開発しようとしてたときの話がある。フォ
ードは八個のシリンダー(気筒)を組み込んでエンジンを製作しようと思い、技師
に設計を依頼した。ところが、フォードのアイデアをもとに設計図を描いた技師は、
このシリンダーエンジンが理論的に不可能であるという結論を出した。<なんとし
ても完成させるのだ>と、フォードは命令した。<しかし、不可能なものは、不可
能です>と技師はいう。<とにかくやってみたまえ。たとえどれだけ時間がかかっ
てもいいから、完成するまではこの仕事に打ち込むんだ。>やむなく技師たちは
その仕事にとりかかった。しかし、半年たっても<不可能なものは不可能>であ
った。そしてさらに半年が過ぎても、何の成果もあがらなかった。とはいえ技師た
ちも可能な限り想像力を働かせたことは事実だ。だがその年の暮れ、フォードは
再び技師たちと話し合ったが、そのときも技師たちは、フォードの命令どおりに
行なうことは絶対無理だ、と報告するしかなかった。<とにかく何度でもやってみ
るんだ。私にはどうしてもそれが必要なんだ>とフォードは、なおも命じた。いっ
たい何が生じたのか、それからまもなく、全く突然技師たちは、V8エンジンを
完成させてしまったのである。こうしてフォードの執念は勝利に結びついた。
フォードは成功のノウハウを理解し、活用したおかげで、大成功を収めたのだ。
これから先もこのフォードの話を忘れないでほしい。そして、この偉大な成功の
秘訣を記憶しておいていただきたい。ヘンリーフォードを大富豪にした秘訣を、
そのままあなたの心に刻みつけておくことができるならば、あなたもフォードと
同様の成功を収めることが必ずできるのだ。
−−思考は現実化する ナポレオン・ヒル きこ書房
(コメント)
これと似たようなエピソードが、日本の松下幸之助氏の話においてもあります。
技術者がどうしてもラジオのコストを10%落とすことは不可能だと話している
ところへ、松下氏が一言<このラジオは半値にしたら売れる、コストを半分に
押さえろ>といいました。てっきり技術者は冗談とうけとめていたが、本気で
あることが分かり、創意工夫の末、コストを半分におさえてしまったのです。
10%のコストを落とそうとすると、なにかのはずみでできそうにみえて、かえ
ってそれを困難にしてしまう。半分にコストをおとせと言うことで、技術者は、
開発にかける根本から見直しをはかり、そして達成したのです。この話、
ヘンリー・フォードの話とそっくりだと思いませんか。
ナポレオン・ヒル
世界的に有名な潜在能力開発研究家
元ルーズベルト大統領顧問官