自己の内面に意識を注ぐことによってのみ
人間は自己実現を達成する
<アブラハム・マズロー>
(1908年〜1970年 アメリカの心理学者)
(フローの状態)
高名な心理学者であるM・チクゼンミハルイは、25年もの歳月をかけて、ス
ポーツ選手、芸術家、ノーベル賞受賞者などそれぞれの分野で成功した数
百人ニインタビューを試みた。そして彼らが感じた<成功の瞬間>はどんな
感じだったかを克明に調査した。彼はそれを<フローの状態>と名づけた。
<フロー>とは<流れ>を意味する言葉である。川の水がスムーズに流れ
るように、あらゆる行動は自動的になる。時間が止まったように感じられ、体
や心が目の前の仕事のために自然に働き出す、そこには自分から努力す
るという感覚が全くない。しかも、自分が偉大な仕事をしていることを、その
仕事を終えてから初めてきづくのである。<何かに憑かれた>状態こそ、
フローの正体である。私はこの状態に興味を覚え、何とかして私たちのよう
な凡人でも、このような瞬間を体験できないものかと、様々な角度からフィー
ルドテストを試みてきた。プロドライバーやプロゴルファーに瞑想の時間を持
たせたり、過去に自分が体験した最高の瞬間をイメージを描かせて、それを
頻繁に頭の中で観る習慣をつけさせたりした。なるほど、それらの行動はあ
る程度効果があったが、決定的なものではなかった。その原因を深くさぐっ
ていくと、一つの重大な事実が判明した。いくら最高のテクニックが開発され
たとしても、その本人が目の前の仕事を楽しんでいなかったら、<フロー
状態>は訪れないということである。<情熱>こそ、フロー状態を演出する
最大の要素なのだ。モーツァルトは傑作を一晩で書き上げる情熱を持って
いたし、レオナルド・ダ・ヴィンチは一日17時間作品の制作に没頭できる心
のスタミナを有していた。
ーー勝者の脳をつくる法 児玉光雄 東洋経済新報社
児玉光雄
米国オリンピック委員会客員スタッフとして
コーチング理論の研究に従事 鹿屋体育大学助教授
アブラハム・マズロー
(1908年〜1970年 A.H.Maslow アメリカの心理学者)
彼が唱えた欲求段階説の中で,人間の欲求は,5段階のピラミッドのよう
になっていて,底辺から始まって,1段階目の欲求が満たされると,1段階
上の欲求を志すというものです。人間の欲求の段階は,生理的欲求,安全
の欲求,親和の欲求,自我の欲求,自己実現の欲求です。生理的欲求と
安全の欲求は,人間が生きる上での衣食住等の根源的な欲求,親和の
欲求とは,他人と関りたい,他者と同じようにしたいなどの集団帰属の欲求
で,自我の欲求とは,自分が集団から価値ある存在と認められ,尊敬され
ることを求める認知欲求のこと,そして,自己実現の欲求とは,自分の能
力,可能性を発揮し,創造的活動や自己の成長を図りたいと思う欲求の
ことです。