私たちの火は、消され可能性はこくごとく値踏みされてしまっている。
私たちは心と体の可能性ある資源の中で
ほんのわずかな一部分しか利用していない
<ウイリアム・ジェームス アメリカの心理学者>
ーーエジソンさんは、耳が不自由という
ハンディキャップをどう克服されたのですか
聴力の異常を感じ始めた頃は、読書に没頭しました。その結果雑音が耳に入
らないことを幸福だと思えるようになりました。世の中には他人のテーブルに
座った他人の噂話に聞き耳をたてる人がいかに多いことでしょう。しかし、無
意味な話に耳を傾ける時間を読書にあてれば、この世はもっと住みよい場所
になるにちがいありません。麻薬中毒と同じで雑音中毒になっている人があ
まりに多いと思います。私は耳が不自由であるからこそ、蓄音機や電話の発
明と改良に精魂を傾けたのです。耳の聞こえないことのデメリットを嘆くより、
そのメリットを生かすことを考え、実践しました。例えば、仕事上では口約束は
できないので、必ず書面で契約を結ぶことにしました。これによって、不必要
な問題から解放されることがしばしばありました。また、プライベートな面では、
婚約者を口説く時に普通よりも相手のそばにちかずくことができ、とてもラッキ
ーでした。しかも、結婚してからは、嫌なこともきかなくてもすんだのです。
ーー怪人エジソン 日本経済新聞社 浜田和幸
(コメント)
偉大なる人々は、困難な問題を自分の人生における武器に変化させてしまい
ます。あらゆる困難は、それを乗り越えることにより、さらなる大きな恵みを与
えてくれるようです。この考えは困難にめぐり合うほど、憂鬱な気持ちになって
いた私たちの心の持ちようを大きく変化させるのではないでしょうか。