ーー稲盛和夫
「発明・発見のプロセスは哲学の領域である。それが論理的に説明された時に
科学になる。」と、故田中美知太郎先生(京都大学名誉教授)が言われました。
私はこれを聞いて深い感銘を受けました。科学の世界ですでに解明された
常識と真の創造との間には大きなギャプがあり、このギャップの架け橋となる
精神的活動が発明・発見と言われるものだというのです。つまり、科学的常識
をいくら積み上げても、真の創造はできないと言われたのです。ガリレオは、
太陽が宇宙の中心である、という地動説を唱えました。地球が宇宙の中心で
あるという天道説が常識であった時代でしたので、ガリレオの説は、哲学的
観念であるとされ、弾圧を受けたのです。しかし、彼は自分の信念を曲げませ
んでした。このガリレオの地動説は、後にそれが証明され、やがて科学として
受け入れられるようになったのです。真の創造とは、現在の科学的知識の
摘み上げではなく、飛躍したインスピレーションからはじまるのです。この
インスピレーションは哲学をも形成します。これが証明され、世に受け入れら
れて、初めて科学なのです。常識や、盲目的に受け入れられている科学的
常識をあえて否定してこそ、初めて真の創造がうまれるのです。
−−成功の情熱
(コメント)
瞑想することで、内的意識を深く探求していくことにより、普段、通常意識で
考えているよりも、はるかに正確で、高いレベルの発想が心の奥底からわ
きあがってくるようになります。その湧き上がるインスピレーションに従って
行動すると、何事においても、よりスムーズにことが運ぶようになってきます。
稲盛和夫
京セラ、KDDI(第二電電)創業者、現名誉会長