ーー稲盛和夫
新しい分野へ積極的にチャレンジしなければ、企業にとっても、個人にとって
も将来は、ないわけです。しかし、新しい領域というのは、技術開発にしろ、
市場開拓にしろ、非常に難しいわけです。そこには経験したことのない障害、
想像もつかないような困難が待ち構えています。そして、この障壁を打ち破
るということは、大変なエネルギーを必要とします。かねて私は、事をなすに
あたって、<狂であれ>といっています。それは、障壁を乗り越えるには、
そのバリアを打ち破れるだけの大きなエネルギーが必要となるからです。
エネルギーとは、それに従事している人の情熱です。燃えるような熱意、す
さまじい根性と執念などが、障壁を越えるエネルギー源であり、チャレンジ
の要件となります。<狂>とは、このような強烈なエネルギーに満ちた状態
のことをいいます。人間本来のエネルギーのほとばしりそのものが、新しい
分野でも成功を収めるよりどころとなるのです。
−−心を高める経営を伸ばす PHP
稲盛和夫
京セラ(株)第二電電(現KDDI)創業者
(コメント)
歴史的偉業を成し遂げた人、一芸にひいでた人などの伝記を読めば、
周囲の人から狂人扱い、変人扱いされていることも珍しくないです。
<天才となんとかは紙一重>とはまさにこのことですね。自分が打ち
込むことを見つけ、良い意味での狂人を目指しましょう。