−−中村天風
この宇宙は驚くべき生ける世界なのである。常に創造的活動をしている霊智
と心の体系を持つ生命体である。それをまず正しく信念しなければならない。
それは心が何かを思ったり考えたりすると、直ちに宇宙霊がその心の状態の
とおりに働きだすということである。人間が真理を思う時、宇宙霊は人間の
心を通じて、その正しい思考を表面に現そうとする。反対に人間が悪を思え
ば、宇宙霊はやはり、そのとおりの事実を人生に作り出そうとする。宇宙霊
のもつ創造の力は、その心に刻まれる思考、観念にしたがって、積極方面に
も消極方面にも活動する。特にその思考、観念が強烈であればあるほど、
よりその活動力が増す。人間はその本質が霊であるがため、その本源であ
る宇宙霊を呼び寄せる働きを持っているのは、当然の事実である。だからこ
れを確固たる信念として植え付けなければならない。<人間がものを考える
時、その心の背後には、宇宙霊、およびそれより発生する力が十分な用意
をして控えている。>さらに詳しく言うなら、<人間の背後には、人間が何を
欲するにも、また人知れず思うにも、その一切を現実の形として現そうと待
ち構えている宇宙霊が控えている。>ということである。そして人間のが心
に思い浮かべたことをもとにして、いろいろなものを作り出すという創造能
力を活動させる。これが天風哲学の尊い発見であり、それを応用すると同時
に、人々の反省と自覚とを現実にしようとするものなのである。常に心の中
に積極的な思考や観念を描く事に努力し、それを宇宙霊の心に繁栄させ、
これを見える形に変化させることに心がけねばならない。そうすれば、健康
も運命も、否、人生の一切が美化善化してくるのである。要するに、この
<真理瞑想行>の重点は、この尊い法則の活動と応用を会得させ、人生
を人間として最高の、また最も豊かな現実生活に到達させることにある。
−−運命を拓く 講談社
中村天風
(中村天風)
当時不治の病であった、結核に冒されて生死の境をさまよい救いを求めて
欧米を旅したが、病は治らず、絶望の果てに日本への帰国の途中、カイロ
で偶然出会ったヨガの達人カリアッパ聖者に連れられインドに渡り、ヒマラヤ
の奥地でヨガの極意を体得、当時不治の病であった肺結核を修行により
克服し、日本初のヨガの直伝者となる。帰国してからは、銀行頭取、会社
重役の地位にありながら、あるとき突然これらすべての財産を放棄し人々
を悩みから救い、苦しみから解き放つための教えを説き始めた。彼のすさ
まじいまでの体験に裏打ちされた理論は「天風哲学」として大成され、これ
を信奉し、教えを受けた人々は百万人を超えると言われている。その中には
東郷平八郎(日露戦争元帥)、原敬(総理大臣)、山本五十六、近年では、
松下幸之助(松下電器)、稲盛和夫(京セラ)、双葉山等が天風哲学に
多大なる影響をうけている。
(コメント)
人間の肉体意識は小宇宙です。その意識を宇宙の大いなる意識に瞑想に
より同調させたとき、大宇宙の創造作用を働かせ、一切のものを創造でき
る力を会得します。ここでいう、天風氏の宇宙霊とは、当メルマガにでてくる
多くの偉人たちが使う潜在意識と同義語ととらえていただいていいでしょう。