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「味の素を食べると頭が良くなる」そんなブラックジョークがどこから出たのか知りませんが、長いこと騙されていたお返しに、ジョークでない本物の怪談を一発。
インドネシア、フィリピンなど東南アジアの山奥の地方では、犬を食用にします。
犬は放し飼いか野犬で、おとなしく食べられてはくれませんから、捕えるのにひと工夫要ります。
まず、魚のカンヅメを一つ用意し、このカンヅメに、味の素を少し混ぜて犬に食べさせます。喜んで食べた犬は、しばらくすると意識朦朧となって失神してしまいますから、これを解体して人間が食べるという寸法です
。
奇しくも、この味の素の人体実験が、知らずに行われてしまったことがあります。
1981年、シンガポールのハイアットホテルで開催された「障害者インターナショナル世界大会」のレセプション会場。高級中華料理のふかひれスープを飲んだ一人の女性が、急に心臓がドキドキしはじめ、手が痺れ首が痛くなってきました。
突然の原因不明の発作に襲われたのは彼女だけではなく、計4人の女性が同じような症状を訴えました。駆けつけた二名の医師は即座にこれを、「アジノモト・シンドローム」と断定したのです。
東南アジアでは、この症状が広く知られているからです。
じつは日本でも、味の素による中毒症状が話題になったことがあります。1971年3月ごろから、おやつの酢昆布を食べて30分ほどしてから、顔面圧迫、灼熱感、手足の痺れ、倦怠感に襲われたという訴えが、都内の保健所に相次いで寄せられました。
都立衛生研究所の追跡調査によると、味付昆布に13、3%〜45、3%もの大量のグルタミン酸ソーダが添加されていることが判明しました。
さらに各地でも炒飯、スープ、焼きソバなどを食べた人の中に、相次いで同じ症状が現れ、これを「中華料理症候群」として注意を促しました。
さらに調査したところによると、女性は男性に比べて症状が強く現れやすいこと、お酒に弱い人も、強い人に比べて症状が顕著であることが、確認されました。
この症状は本家本元の日本よりも、諸外国で先に広く知られています。なぜでしょう。
それは、先の野犬捕獲法でも述べた東南アジア地域の人々は、生活の中で味の素を使う量が、日本人とは比較にならないほど多かったからです。
食堂でも料理の仕上げに、おたまですくって表面が真っ白になるほどかけてくれるそうです。出血大サービス……。それを見て、当の味の素の現地出向社員がびっくりして、箸をつけられなかったという実話まであるくらいです。
それどころか、副食物がわりに、ご飯にまぶして食べたりもするそうです。
これは貧困という悲しい現実と、企業のエゲツないまでの販売戦略……オマケ作戦、美人コンテスト、甘いセールストーク等などの結果です。
曰く「これを食べると日本人のように頭が良くなる」「味の素で美人になろう」「僕は味の素で君より大きくなるんだ!」
等など……日本人として恥ずかしくはなりませんか。
あたり一帯に広がる緑の畑をバックに……「麦からビール、さとうきびから味の素」これはお馴染みの味の素のコマーシャルです。
このコマーシャルの言わんとする内容を詳しく見てみることにします。
味の素ではなく、天然の「うまみ成分」の素となる物質をグルタミン酸といい、これはアミノ酸の一種です。
このアミノ酸は、さまざまに結合してタンパク質になります。ですから逆に、タンパク質を分解すれば、アミノ酸が出来るわけです。
じつはこのグルタミン酸は動物の体内にもともとあり、人間の体の中でも簡単に、それも必要なだけ合成されます。
一方、体内で自然に合成できないアミノ酸を「必須アミノ酸」といい、これは食品から取る必要があります。タンパク質を食べなければならない訳です。
生体内に存在するグルタミン酸は、他のアミノ酸と化合して、タンパク質の一部として存在するのですが、これを「だし」として利用するために、干したり、煮出したり、いろいろな抽出法があるわけです。昆布などは遊離グルタミン酸なので、比較的簡単にだしが出ます。
一方、いわゆる「味の素」「化学調味料」とはL−グルタミン酸ナトリウムと呼ばれ、これは「金属元素ナトリウムの化合物」として人工的に作られた物質で、自然界に存在するグルタミン酸とは、似て非なるものです。
味の素の製法には、三種類あります。
1、合成法……石油から精製されたアクリルニトリルをさまざまに合成していって、最終的にはグルタミン酸ナトリウムを合成します。味の素社が開発し、1962年から大量生産を続けてきましたが、発癌性が指摘され、現在では行っていないそうです。
2、加水分解法……古くから行われていたそうですが、小麦や大豆に「だし」の主成分であるグルタミン酸が多く含まれているのを利用します。まず、穀物の中のタンパク質を塩酸で加水分解します。グルタミン酸を取り出し、苛性ソーダで中和したら出来上がりです。
3、発酵法……ある種の微生物を培養地で増殖させると、微生物の体外に、グルタミン酸が大量に蓄積されることを利用した方法です。じゅうぶん発酵させた後に、除菌、濃縮、中和、遠心分離などが行われます。協和醗酵工業(株)が確立し、現在ではほとんどこの方法で製造されているそうです。
微生物の発酵(生命活動)を活発にするためには、エサが必要です。最初はさつまいも、タピオカ、とうもろこしなどのでんぷん糖が使われていましたが、企業はもっと安い原料があることに着目しました。
さとうきびから砂糖を取るためには、さとうきびを搾り、搾汁を煮詰めると砂糖が結晶してきます。この砂糖を取った後には、コールタール様の真っ黒でドロドロの廃棄物(廃糖蜜)が残ります。
これはもう、どうにもならない厄介者と言ってよく、家畜の飼料などに混ぜても、多く与えると、家畜が下痢を起こします。これに、発酵微生物の栄養源として着目したのは、慧眼というしか……。
しかし、この廃糖蜜を使用すると、ある副産物が生じるため、抗生物質、合成界面活性剤などを添加する必要があるそうです。
これは味の素社の公式発表ではなく、いちおう、あくまでも状況証拠といっておきますが、日本が世界一の廃糖蜜消費国であることを考えると、明々白々に見えるのですが……。
「石油から味の素」のイメージを打ち消すため、さとうきびを全面に打ち出したといっても、実態はこのありさまです。
「ハイ・ミー」「いの一番」などの複合調味料は、上記の単純なグルタミン酸ナトリウムにイノシン酸ナトリウムを加えたものです。
味の素の粒の回りに、粉砕したイノシン酸ナトリウムを、粘着材でコーティングして出来上がりです。
なんで、わざわざそんな事をするのかというと、とってもユニークな理由です。「味の素の金属的な、粗野な、刺激的な味がまろやかな性質に変わる」
これは、複合調味料の「特許明細書」に書かれている説明です。
更に、「刺すような、余裕のない感じ、いや味」が味の素にあるとも。
すなわち味の素社は、公式文書で、味の素は「いや味」であると発表しているのです。
せっかくのご忠告ですから、私たちも真面目に受け取ったほうがいいと思います。
なんだかもう、ゲップが出そうになってきたので、この辺で打ち止めにしますか。幾らでも出てきますけれど。