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http://www.asahi.com/international/update/1004/010.html

イラク各地で４日、給料の支払いを求める元イラク軍兵士らと駐留米英軍が相次いで衝突、駐留軍の発砲でイラク人に多数の死傷者が出た。バグダッドでは５月の戦闘終結宣言後、最大規模の抗議行動となり、多数の米軍車両が集結して周辺が数時間にわたり混乱した。朝日新聞は市内の病院に少なくとも４人の遺体が運び込まれたことを確認した。米軍によると、イラク人の投石などで米兵２人が負傷したという。

　バグダッド西部のアッザウラ地区にある米軍施設前では４日午前８時（日本時間同午後２時）すぎ、暴徒化した約５０００人のイラク人元兵士の群衆と米軍が衝突。死傷者の一部が運ばれたバグダッド市内のヤルムーク病院を警護するイラク警察の警察官は、朝日新聞記者に「ここだけで４人の遺体が搬送された」と語った。死者が１０人以上との情報もある。

　バグダッドでの抗議行動に参加した元兵士らの話を総合すると、４日は旧政権下のイラク軍兵士が米英の暫定占領当局（ＣＰＡ）から給与を受け取る日で、前夜から多数のイラク人が支払い窓口となる米軍施設に集まっていた。ＣＰＡはイラク国軍の再建にあたり、元兵士は任用しないことにした。ただし、雇用補償として当面、月４０ドルから６０ドルの給与を払う方針を打ち出している。

　しかし、元兵士らによると「５月から通っているのに、一度も支払いを受けていない。米兵は『来週出直せ』などと言うばかりでまともに対応してくれない」という。この日を逃すと、もう支払われないといううわさも流れたため、未明から多数が列を作った。いら立った群衆が「カネを払え」と叫ぶなど緊張が高まると、警備に当たっていた米軍兵士が銃などで殴り始めた。年配のイラク人男性が米女性兵にけり倒されたのをきっかけに、怒った群衆が投石を始めたという。

　目撃者によると、米軍は当初、空へ向け威嚇射撃をしていたが、それでも投石をやめない群衆に向かって水平射撃を始めたという。戦車や装甲車が次々と集まり、ヘリコプター２機も上空に姿を現した。現場近くにいたアフマド・カリムさん（２３）によると、銃撃は数十分で終わったが「隣の男が額を打ち抜かれて死んだ。ほかに６人くらい倒れたまま動かない人がいた」と語った。

　辺り一帯は攻撃する米兵と、逃げまどったり、地面に伏せたりする群衆で騒然となった。道ばたの車両に火がつけられると、さらに騒ぎが広まった。米兵に頭を踏まれたまま銃身で殴られて片目をつぶされた男性は、「おれたちを人間らしく扱うつもりはないのか」と泣き出した。

　射撃がいったんおさまった後も、米軍の装甲車などは集まり続け、現場に残ったイラク人数十人が挑発するように「サダムを支持する」などと叫ぶと、再び米軍側から散発的に銃撃が行われた。

　現地の米軍は、朝日新聞の取材に対し「米兵２人が負傷したという情報だけ入っている。あとは何も分からない」と答えた。

　この日は南部バスラでも同様に集まったイラク人の元兵士らに対して英軍側が発砲。イラク駐留英軍当局者がロイター通信に語ったところによると、イラク人１人が死亡したという。同じ南部のナーシリヤではイタリア軍が発砲したほか、中部ヒッラでも抗議行動があった。

(10/04 20:56)

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