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http://www.asahi.com/international/update/1004/007.html
アフガニスタンの首都カブールの中心部にある国軍の駐屯地跡が、政権の高官に極端に安い価格で払い下げられている。現地を訪ねると、周辺では貧しい人たちが住む家が強制的に取り壊され、払い下げ用地にされかかっていた。国連などの調査で、軍高官や軍閥関係者だけでなく、閣僚やカルザイ大統領の親族らが「分け前」に群がった可能性があることが明らかになった。発足から2年もたたないうちに、政権に腐敗の影が忍び寄っている。
●重機で家破壊
カブール市内随一の高級住宅街に隣接するシルプル地区。密集するれんが造りの家が軒並み破壊されていた。崩れた壁や天井には、一時しのぎのビニールシートがかけられている。
カブール市警察の警官隊がモハマド・シディクさん(34)の家を壊し始めたのは、9月上旬のことだった。まず、新婚の弟夫婦の寝室に突然、重機のショベルが壁を突き破って入ってきた。
モハマドさんは、軍人だった父の代から28年間、家族18人でこの家に住んできた。
「ここはお前の土地じゃない。出て行け」。警官の大声に、妻や子どもが泣き出した。「神の名の下に、頼むからやめてくれ」。モハマドさんは、イスラム教の聖典コーランを示して懇願したが、警官は「邪魔するなら殺す」と銃口を突きつけた。
騒ぎを聞きつけた国連が調査に乗り出した。モハマドさんらの家は駐屯地を囲むようにある。政権は駐屯地の跡地に住宅街を作る計画を決定。それに付随して、もともと国防省の所有だった周辺の住宅の強制排除に踏み切った。約290世帯のうち、約30戸が家の一部を壊されたが、国連の圧力で中止になった。
●即転売で巨利
住民たちによると、駐屯地の跡地分譲が始まったのは、国造りへの熱気で国内が沸き立った昨年6月の緊急ロヤ・ジルガ(国民大会議)の直後のことだ。ファヒム国防相や故マスード将軍の家族らが購入。約300区画ですでに住宅の基礎工事が始まっている。
不動産業者によると、この地域の実勢価格は約2000平方メートルの区画で推定17万ドル。政府が公表した分譲価格は2000ドルで実勢価格の85分の1。近くの住宅なら1カ月分の家賃程度の額だ。土地分譲を受けた後、すぐに転売し、巨利を稼いだ閣僚もいたという。
●大統領の親族も?
強制立ち退き騒ぎの後、カルザイ大統領の報道官は「大統領は分譲計画に関知していない。計画書には一切サインしていない」と無関係を強調。大統領は調査委員会を発足させ、取り壊しを指揮したカブール市警察の長官を解任した。
ところが、払い下げを受けたアハディ中央銀行総裁が、記者会見で「私は大統領の指示で購入した」と告白。地元紙の報道などで、大統領の親族や側近も土地を買っていたことが明らかになり、大統領も巻き込んだ政権ぐるみの疑惑に進展しつつある。「違法な土地は受け取れない」(ファルハング復興相)と断った良心派は少数派だった。
戦後、占領統治が続くイラクとは対照的にアフガンでは、国造りがアフガン人自身の手にゆだねられた。カルザイ大統領は、02年に東京で開かれた復興支援国際会議で「破壊された我が国には何もない」と演説して国際社会の共感を呼び、国内でもその清貧なイメージで国民的人気を保ってきた。
シルプル地区で取り壊しに抗議して、カラシニコフ銃で殴られたという男性は言う。「タリバーンだってこんなひどいことはしなかった。結局、みんなカルザイ大統領にだまされたのさ」 (10/04 13:48)