高すぎる議員報酬が間違いの元
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2025年3月21日 植草一秀の『知られざる真実』
自民党の金券腐敗政治の闇が深い。
金券=商品券を配っていたのは石破茂首相だけでない。
石破首相でさえこれまでに10回程度の金券配布を認めている。
歴代の首相は「法令に基づき適切に対応してきた」とするだけで、金券配布を否定しない。
〈金券配布政治〉という〈金権腐敗政治〉。
裏金も金券も日常茶飯事だったことが分かる。
日本で政治はビジネスだ。
「金儲け」のために政治をやっている。
一部の野党は金儲けのために政治をやっていない。
しかし、与党のみならず、野党の一部でも「金儲け」のビジネスとして政治をやっている者が多い。
このような政治を一掃する必要がある。
大きな問題が三つある。
第一は議員の処遇が高すぎること。
第二は企業献金を認めてしまっていること。
第三は財政支出が利権補助金まみれであること。
財政のしくみと政治のしくみが薄汚れた金まみれなのだ。
これらの制度を根本から刷新する必要がある。
まずは議員報酬が高すぎる。
本来、議員は国民に奉仕する仕事。
金儲けの仕事でない。
薄給とまでは言わずとも中所得の報酬でよいはずだ。
国税庁が公表している民間給与実態調査は所得階級別の給与所得者数を公表している。
2023年の調査結果によると、1年を通じて勤務した給与所得者5076万人のうち、年収400万円以下が51%、年収200万円以下が20%。
給与所得者の半分以上が年収400万円以下である。
所得中央値は400万円程度になる。
これに対して国会議員の歳費は月額129万4000円。
年額1552万8000円。
これに期末手当(ボーナス)が年額635万円加算され、両者合計は年額で2187万8000円になる。
これ以外に、調査研究広報滞在費(従来の文書通信交通滞在費)が月額100万円で年額は1200万円。
さらに立法事務費が月額65万円、年額780万円支払われる。
両者の合計は1980万円になるが、「手取り」として1980万円を得るには課税前の収入では3300万円必要(限界税率40%で計算)。
歳費との合計は5487万8000円ということになる。
国会議員になると年収が5487万円も支払われるということ。
さらにJR特殊乗車券・国内定期航空券の交付や、3人分の公設秘書給与や委員会で必要な旅費、経費、手当、弔慰金などが支払われる。
これに加えて政党交付金の一部が各議員に支給される。
給与所得者の平均(中央値)が年収400万円であるのに対して、国会議員になると、なっただけで年収5488万円になる。
どう考えても高すぎる。
5分の1に縮小すべきではないか。
政党交付金制度は企業献金を廃止する見返りとして創設されたもの。
巨額の政党交付金が給付されるようになったにもかかわらず、企業献金が禁止されていない。
与党政治屋は企業献金をもらうために政治活動をしていると言っても過言でない。
政治資金パーティーで多額のお金を集めるが、資金の出し手は何らかの利益供与を受ける企業が中心になる。
政治稼業が利権ビジネスになっている最大の要因は日本財政が補助金漬けになっているからだ。
利権補助金の巣窟が補正予算。
恐るべき金額が利権支出としてバラまかれている。
この構造を変えなければ日本政治の腐敗を止めることはできない。
日本政治の根底からの刷新が求められている。
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