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2024年12月29日04時55分 〜
記事 [政治・選挙・NHK296] 来年はいい年にしたいものだが 暗澹たる事件ばかりの世相に政治の無策(日刊ゲンダイ)

※2024年12月28日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し


※紙面抜粋


※2024年12月28日 日刊ゲンダイ2面


かくて荒んだ世相は誰のせいなのか(C)日刊ゲンダイ

 今年は目を覆うような事件の連続ではなかったか、闇バイト、自殺強制逮捕、動機なき殺人、大企業のモラルも地に落ちた世相に無策の政治、2025年はさらに社会の底が抜けるような嫌な予感。

  ◇  ◇  ◇

 2024年が暮れようとしているが、なんだか、社会の底が抜けたような一年ではなかったか。裏金問題で始まった一年は政治家の身勝手と堕落を見せつけ、それと並行して、これまでの理解を超えるような凄惨な事件、あり得ないような不正が横行した。

 北九州市の中学生刺殺が生々しいが、そのちょっと前には、東京都板橋区で会社の仲間(56)を踏切内で自死させた(23年12月)として、会社の代表取締役(39)や同僚3人が殺人容疑で逮捕された。報道によれば、4人は被害者に日頃から虐待や暴力、嫌がらせを続けていたというから絶句である。

 闇バイト事件では今年10月、横浜市青葉区で発生した強盗殺人事件に驚いた。75歳の男性が自宅で手足、顔を粘着テープで縛られたうえ、全身を鈍器で殴られ、失血死したのだが、よほどの恨みかと思いきや、現金20万円を奪う強盗殺人だった。実行犯は22歳。動機は「数十万円の税金滞納」でSNS上の「ホワイト案件」という言葉に釣られたという。他にも協力者がいて、30歳の女性も捕まっている。

 柏市では12月、自宅の敷地内で50代の会社役員夫婦が殺害され、直後に付近の住宅8棟が放火で全焼。この夫婦と金銭トラブルを抱え、やけどを負っていた男が公務執行妨害で捕まっている。

今や日本は汚職横行の「犯罪天国」

 かと思えば、野村証券の元社員が7月、広島市に住む80代女性に睡眠薬を飲ませ、現金1780万円余りを奪って、放火。強盗殺人未遂と放火で逮捕、起訴されたし、三菱UFJ銀行では女性行員が顧客の貸金庫を勝手に開けて少なくとも十数億円の金品を窃取していたことが発覚した。他にも金融庁に出向していた裁判官や東証職員のインサイダー取引など、理解を超える事件は枚挙にいとまがないほどだ。

 そこに共通した因果関係をこじつけるのは危険だろうが、少なくとも、「2024年は、ついに社会が完全にぶっ壊れた年」──と言えるのではないか。

 かつて、日本人は「東南アジアでは1万円で人を殺せるらしいよ」などと言って、揶揄していたものだ。今や、「日本は10万円で強盗殺人をやってくれる国」である。「政治家は裏金で私腹を肥やし、裁判官はインサイダーで儲ける汚職国家」と言われてもぐうの音も出ない。

 一体、なぜ、こうなってしまったのか。その背景に何があるのか。こうした考察は必要だろう。

黒くて厚い雲に覆われたような閉塞感


貸金庫から現金など十数億円相当が盗まれた問題で頭を下げる半沢淳一三菱UFJ頭取ら(C)日刊ゲンダイ

 評論家の佐高信さんは城山三郎さんの言葉を思い出した、とこう言った。

「城山さんは『終戦の8月15日の空は青く、すごく高かった』と振り返っています。つまり、それまでの空は暗いものに覆われて、何も見えなかった。でも、戦争が終わって、希望が見えた。そういう意味ですが、今の世相は戦前のように空が覆われているんですよ。だから、先が見えない。みんなが希望を持てない。だから、刹那に生きる。公(パブリック)がなくなっている。自分さえよければいい、今さえよければいい、となる。政治家は劣化し、非正規社員は4割、5人に1人が年収200万円以下。こんな社会では103万円の壁なんて、目先の慰めにもなりゃしません。小泉政権の新自由主義路線以降、ジワジワたまっていた不満の底が抜けたのではないか。それが異様な犯罪の増加につながっているような気がします」

 10万〜20万円で人を殺すのは不可解だが、裏を返せば、10万円にそれだけ切羽詰まっているということだ。まさしく、戦前のような混沌だ。

 厚労省が3年ごとに発表している相対的貧困率(世帯所得が全世帯の中央値の半分未満である人の割合)の最新データによると、日本は15.4%で、米国、韓国にも抜かれ、先進国で最悪だった。ひとり親世帯だと、これが44.5%にも跳ね上がる。奨学金の受給者の割合は2000年代初頭は40%程度だったが、今や、55%だ(日本学生支援機構調査22年)。収入別に見ると、年収300万円未満世帯の受給率は8割になる。

 そこに空前の物価高が押し寄せている。11月の消費者物価指数は2.7%上昇だったが、コメは63.6%(前年同期比)も上がっている。野菜なんて、軒並み前年比の1.5〜2倍である。その結果、無料の食料配布を続けているNPO法人などから、この年の瀬に「もっと寄付を」という悲鳴も上がっている。

 戦後、一時的に広がった青く抜けるような空は再び、黒く厚い雲に覆われている。目先の金欲しさに刹那の犯罪が増えるのもわかるのだ。

政治が主導したモラル崩壊と歪んだ価値観

 とはいえ、異様な犯罪がかくも増えた背景を貧困だけに求めるのも早計だ。

「警察庁幹部も昨今の犯罪の異常さに首をかしげているんです。確かに、金欲しさもある。でも、闇バイトに応募した学生のなかには、ふつうの家の子どももいる。貧困だけではないんです。そこで、トクリュウ(SNSなどを利用した分担型犯罪)を『治安上の最大の脅威』と位置づけた。警察庁挙げて本腰を入れるようになったのです」(大手紙社会部記者)

 貧困だけではないとしたら、背景に見え隠れするのは政治が主導したモラル崩壊と「今だけ、金だけ」という新自由主義の歪んだ価値観なのではないか。

 メガバンクの行員が客の貸金庫に手を付けるなんて、あり得ない話だが、「返すつもりだった」という。派閥の裏金を引き出しに入れておいて、私的に使っていないとスットボけている輩に似ている。「ごまかせればいい」「バレなきゃいい」という発想だ。モリカケサクラの安倍政権を見ていれば、社会がかくも荒むのも道理である。

 「機会不平等」などの著書があり、格差をウオッチし続けているジャーナリストの斎藤貴男氏にも聞いてみた。

「とにかく、金がなさすぎるという層がいることと、もうひとつはネット社会の病巣という気がします。スマホというツールは便利な半面、闇バイトのような犯罪の可能性も無限に広げてしまった。僕はスマホが登場して以来、人間の価値観が変わってしまったような気すらしています。自分や自分が居心地のいい相手だけが関心のすべてで、他者を思いやる気持ちがまったくない。それどころか、排除する。邪魔だと思う。そんな人が増えているように見える。そこに持ってきて、新自由主義的な価値観がもはや、修復できないほど、社会に定着してしまった。ちょっと前までは格差拡大などが問題視されたものです。でも今や、見向きもされない。自分のことしか眼中になく、自分の価値観は金で決まる。落ちこぼれ、落伍者は見向きもされない。つくづく品性が歪んだ社会になってしまったと思いますね」

小手先の対症療法ではどうにもならない

 この社会をマトモに戻すには、こうした歪んだ価値観、常識から見直すことが必要なのだが、石破政権は相変わらず、安倍、菅、岸田路線を継承している。

 だから、闇バイト対策といっても、「潜入捜査」みたいな話になる。社会の歪みを是正せず、禁じ手を使って監視を強化。ヘタしたら、思想犯取り締まりに流用されかねない手法を進めようとしている。

 103万円の壁にしたってそうで、根本は物価高の是正であり、景気の底上げなのに、雀の涙減税で「やってるふり」の繰り返しだ。

「潜入捜査で闇バイトを摘発し、助かる若者が1人2人いるかもしれない。でも、今、この社会で暮らしている人は角度の急な坂の上で暮らしているようなものです。その勾配は年々きつくなり、どんどん、滑り落ちていく。1人2人、たまたま、突起物を掴んで下落を免れる人がいても、全体の解決にはならない。坂を元に戻さなければどうにもならない。まっとうな人間社会とは何か。地道にそれを追い求めていくしかありません」(斎藤貴男氏=前出)

 来年こそはいい年にしたいものだが、空が抜ける日は再び来るのか。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/388.html

記事 [政治・選挙・NHK296] 「選択的夫婦別姓」が通常国会の重要テーマに浮上…石破首相が与党・公明党に追い込まれる大誤算!(日刊ゲンダイ)


「選択的夫婦別姓」が通常国会の重要テーマに浮上…石破首相が与党・公明党に追い込まれる大誤算!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/365686
2024/12/29 日刊ゲンダイ


笑顔の裏で…(C)共同通信社

 少数与党に転落し、「ゆ党」の要求に譲歩しまくりの石破政権。年明け1月24日召集予定の通常国会でも「年収の壁」「教育無償化」「企業団体献金禁止」で大いに揺さぶられそうだが、石破首相が悶絶しそうなテーマがもうひとつ。「選択的夫婦別姓制度の導入」だ。身内のはずの与党・公明党からも攻勢をかけられている。

「もう決断するときだ。しっかり説得していきたい」

 公明党の斉藤鉄夫代表は、今月18日に出演したラジオ日本の番組で、こう発言。選択的夫婦別姓制度の導入について、石破茂首相に決断を促した。斉藤代表は同日、石破首相と官邸で会談した際にも別姓導入を訴え、両党の実務者レベルでの協議を提案している。

 公明の意欲は相当のものだ。国会の外でも日本弁護士連合会などとの政策懇談会で別姓導入について意見交換。「国会での議論をリードしていきたい」と伝えたと、党のホームページに掲載してもいる。

 別姓導入をかたくなに拒んでいるのは、主要政党では自民だけで、少数与党になって風当たりが強まった。先の衆院選の公約で導入まで踏み込まなかった日本維新の会も吉村洋文代表と前原誠司共同代表が「個人的には賛成の立場」と発言。衆院で氏制度を所管する法務委員会の委員長ポストを得た立憲民主党は、このチャンスを生かすべく、公明にも秋波を送っている。公明は参院で法務委員長のポストを握る。公明が賛成すれば、多数決で法案が可決できる状況だ。

都議選と参院選に向け独自色と存在感

「公明は与党側にいながら、実は国民民主党や維新同様、キャスチングボートを握っている状態。公明が賛成しなければ、法案は通らないわけですから。ガタガタになった党を立て直すためにも、自民を揺さぶりつつ、来夏の東京都議選と参院選に向け独自色と存在感を見せる必要がある」(政界関係者)

 臨時国会で公明は、政治とカネをめぐる「第三者機関の設置」で国民民主と法案を共同提出して成立させるなど、自民と“別行動”があった。17日夜には、公明と立憲の政調会長同士が会食してもいる。「ウチはいま、全方位外交」と公明関係者は囁く。

 別姓導入について、公明は「内閣提出の法案で」としているが、自民が煮え切らない態度を続ければ、世論動向を見て、立憲案の議員立法に乗ったっておかしくない。

 石破首相だって就任前は、別姓を「やらない理由がわからない」と言っていた。自民の“金づる”経団連も推進しているし、旧安倍派も弱体化したことだし、党内保守派を説得するしかないんじゃないか。

  ◇  ◇  ◇

 公明党は「クリーンな政治」を掲げながら裏金事件に目をつむり、「下駄の雪」の本領を発揮してきたが、ご都合主義にも程がある。関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/389.html

記事 [政治・選挙・NHK296] <東京都知事選>56人が立候補…N党のジャックでポスター掲示板はカオスと化した 岐路に立つSNSと選挙制度(日刊ゲンダイ)

【東京都知事選】56人が立候補…N党のジャックでポスター掲示板はカオスと化した 岐路に立つSNSと選挙制度
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/365482
2024/12/26 日刊ゲンダイ


公営ポスター掲示板の枠が足りず(C)日刊ゲンダイ

 7月7日に執行された東京都知事選挙には都知事選史上最多となる56人が立候補した。筆者はもちろん今回も56人全員を取材した。

 この都知事選では東京都選挙管理委員会が設置した公営ポスター掲示板が大きな問題となった。都選管はポスター枠を48人分しか用意しておらず、ポスターを張れない候補者が出たからだ。

 困った都選管は49番目以降の候補者に薄いクリアファイルを配布。候補者が自力で掲示板の枠を拡張してポスターを張らせる対応を取った。

 49番目の候補者となったホカリジン氏は「自分はポスターを作らないから問題ない」とまったく意に介さなかった。

 しかし、50番目の候補者となった小林弘氏は事前に業者にポスターを発注。掲示板に張ることも含めて依頼していたため大誤算となった。

 用意されたポスター掲示場は全部で1万4000カ所以上ある。その一つ一つに手作業でポスター枠を拡張することになるため「通常の料金ではできない」と業者に言われてしまったのだ。

選挙の公平性にも疑義

 選挙の公平性を考えれば、届け出順で差が出てしまうのは大問題だ。小林氏は当初、「逆に目立っていい」と言っていたが、選挙後には都選管に対して選挙無効の異議を申し立てた。

 同時に選挙費用2000万円の損害賠償を求めて提訴した。他候補も都選管に対して類似の訴訟を提起した。

 もう一つ問題になったのが、政治団体NHKから国民を守る党(以下、N党)による「掲示板ジャック」だ。N党は公認候補19人と関連候補5人の計24人を擁立してポスター枠を確保。この枠にポスターを張る権利を同党に寄付した人に譲渡したため「事実上の販売」と問題視された。

 N党の掲示板ジャックは来年夏に行われる参院選で国政政党になるための前宣伝という位置付けだ。N党候補のポスターが張られるはずの枠には選挙とは全く関係がない風俗店などのポスターが張られた。また、N党以外にも「ほぼ全裸の女性」のポスターを張って大問題となり、張り直しに追われる候補者も出た。

 今回、N党関係候補24人が収めた供託金の総額は7200万円。一方、ポスターを張る権利のために同党に寄付された金額は約550万円(約1000カ所)。N党の収支は完全なる赤字だ。

 もし、掲示板ジャックがビジネスとして成立していたら、同様の手口が繰り返された可能性がある。有権者の良識がなんとか示された形だ。 (つづく)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/390.html

   

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