疑惑だらけの兵庫県知事選 合っていないのは公選法か時代か 鈴木エイト カルトな金曜日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/364560
2024/12/06 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
偽情報が入り込み、異常拡散状態で、デマを扇動する者もおり…(C)日刊ゲンダイ
ある種のカオス状態だった兵庫県知事選の余波は大きくなるばかりだ。逆境から再選を果たしたはずの斎藤元彦知事と斎藤陣営でSNS戦略を担ったと主張するPR会社代表に公職選挙法違反の疑惑が浮上。刑事告発がなされた。さらに自身の当選を目指さない候補者によるデマと個人情報の拡散という道義的な問題も起こっている。
斎藤氏の選挙運動をさかのぼると、確かにこのPR会社代表が斎藤氏本人のSNSアカウントなどを運用していた形跡がある。だが、裏では陣営関係者を含む数人が管理する「チームさいとう公式LINE」が最大限活用されていた。LINE内の複数のオープンチャットでは斎藤氏を支援する動画の作成が指南され、TikTok、インスタグラム、ユーチューブ、X(旧ツイッター)を通じて拡散。その中には真偽が不確かなものや、デマを含んださまざまな情報も多々あった。
選挙結果について「民意が反映された」という言い方もされるが、その民意が醸成される過程でデマが入り込んでいればやはり民主主義は歪められたことになる。SNSの台頭など、公選法が時代に合っていないといった論説も各所で見られる。だが私は、12月1日にXでこう苦言を呈した。
〈公選法が時代に追いついていないのではなく、公選法を今の時代に合わせて厳密に適用すべきというだけの話〉
内容を理解できない人からの口撃が相次いだが、私の真意は、参院代表質問で辻元清美議員に応じた村上誠一郎総務相の答弁内容が近い。
──SNSへの誤情報の投稿は公選法の違反になるか。
村上 公選法の虚偽事項公表罪はSNSを含めインターネット上の発信なども対象となり得る。
──特定候補の応援動画の書き込み投稿を行うことを有償で募集する行為は公選法違反になるか?
村上 (一般論と前置きし)当該業者に対し対価として報酬を支給することは公選法上の買収罪に該当するおそれがある。
収益目的のアカウントの参入が異常拡散状態となり、知事選で混乱を招いた。選挙運動で儲けさせないための規制は進めていくべきである。
デマを扇動した側を評価する言論人も散見された。民主主義の根幹である選挙で公正性を保つこと、そのために何が必要なのか考えるべきであろう。
鈴木エイト ジャーナリスト
1968年生まれ。日大卒。日本ペンクラブ会員。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」主筆。日本脱カルト協会理事。「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」「『山上徹也』とは何者だったのか」などの著書のほか、共著・編著多数。
http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/266.html