知事代理人記事改変把握せず会見
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2024年11月28日 植草一秀の『知られざる真実』
兵庫県知事に再選された齋藤元彦氏に関わる公選法違反・政治資金規正法違反疑惑が拡大している。
齋藤氏の代理人弁護士が会見を開き、公選法違反に当たらないとの主張を示した。
テレビ等に出演する弁護士や識者も各自の見解を示すが、見解はばらばらである。
齋藤氏の代理人弁護士が公選法違反に該当する事案でないと主張するのは予想の範囲内。
問題はその主張が適正と言えるのかどうか。
テレビ等で発言する弁護士については、それぞれの発言者の背景、立場を吟味することが重要。
齋藤氏ならびに齋藤氏と関係が深い組織と何らかの利害関係を有する場合、発言には偏りが生じると考えられる。
11月17日に投開票日を迎えた兵庫県知事選では選挙戦の終盤で維新、創価学会、旧統一協会などが齋藤氏支援の行動を示したとのSNS上の指摘がある。
維新は独自候補を擁立したが、この候補の当選を目指したのかどうかも定かではない。
齋藤氏の対立候補として稲村和美氏が出馬したが、反齋藤票が稲村氏に集中するのを防ぐために維新候補が擁立されたとの見方も生じ得る。
仮に維新、創価学会、旧統一協会などが齋藤氏の再選を実質的に支援したとする場合、これらの組織と関係のある発言者のコメントを受け止める際には、バイアスの存在可能性に留意する必要がある。
これまでに提示されているコメント等を見ると、弁護士の野村修也氏、高井康行氏、元財務官僚の高橋洋一氏の発言に偏りがあると感じられる。
他方、これらの組織などと関係がないと見られる人々の発言には偏りが感じられない。
弁護士の郷原信郎氏、若狭勝氏、菊間千乃氏、紀藤正樹氏などの発言には偏りが感じられない。
両論が存在するわけだが、後者のグループの発言者コメントは、齋藤氏サイドの説明と西宮市にあるPR会社『merchu』の代表取締役の折田楓氏が11月20日に”note”のブログ記事に記述した内容との齟齬を共通して指摘するものだ。
とりわけ重要と見られるのは、折田氏が騒動発生後にブログ記事を改変したこと。
しかし、当初の掲載文書の魚拓が保存されていることから、折田氏がどの部分の記述を改変したのかが明らかになっている。
齋藤氏サイドが不都合と判断した部分が改変されたとすると、この改変部分が問題の核心を指していると判断されることになる。
ところが、記者会見した齋藤氏の代理人弁護士は折田氏のブログ記事が改変された事実を把握していなかった。
極めてお粗末な対応を言うほかない。
齋藤氏サイドの説明は齋藤氏が折田氏の企業に発注したのはポスターの制作等に関する業務のみで、SNS対応を中心とする広報活動全般に関する業務を発注した事実はないとするもの。
折田氏は選挙期間中を含めてSNSによる広報活動を実行したが、これはあくまでも折田氏がボランティアとして活動したものであるとしている。
ところが、この主張は折田氏がブログ記事で公表した内容とは完全に異なっている。
齋藤氏サイドの主張が正しいとすると折田氏はブログで虚偽を記述したことになる。
このことによって齋藤氏サイドは重大な疑惑を持たれることになったわけで、齋藤氏サイドは折田氏に対して法的措置を講じることが順当ということになる。
折田氏は兵庫県知事選について
「今回選挙の「広報・SNS戦略」を東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたい」
「今回広報全般を任せていただいていた」
などと記述し、広報全般の取り組みについて詳細な記事を投稿した。
11月21日午前1時24分時点の折田氏の投稿記事はこちら。
https://x.gd/Bkyx4
これが当初の投稿内容と見られる。
折田氏は、
「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました。
写真および動画の撮影については、現地で対応してくださっているスタッフの方々にお願いすることをベースに、私自身も現場に出て撮影やライブ配信を行うこともありました。」
と記述。
この業務を行うことになった「きっかけ」について折田氏は次のように記述した。
「とある日、株式会社merchuのオフィスに現れたのは、斎藤元彦さん。それがが全ての始まりでした。」
齋藤氏との関係性については、
「兵庫県庁での複数の会議に広報PRの有識者として出席しているため、元々斎藤さんとは面識がありました」
と記述。
merchu社内で斎藤氏と折田氏らが打ち合わせしている写真に
「「#さいとう元知事がんばれ」大作戦を提案中」
との説明を付し、
「ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」
と記述した。
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