百田尚樹「30歳以上で子宮摘出」発言謝罪と松本人志の声明文に見える「危険な共通項」 週刊誌からみた「ニッポンの後退」
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2024/11/17 日刊ゲンダイ
百田尚樹氏(C)日刊ゲンダイ
「女性は大学禁止。25歳以上は結婚禁止。女性は30歳以上になったら、子宮を摘出させる」
「SFやで〜」と言い訳しながら、女性の出産を促すためにはこれくらいのことをしないと……。自身のユーチューブ番組でそう語ったのは、衆院選で3議席を獲得した「日本保守党」代表の百田尚樹である。
こやつの発言には以前から辟易していたが、これには体が震えるぐらいの怒りを覚えた。「女性蔑視」というレベルではない。同じ日本人として、この国で同じ空気を吸っているのが嫌になった。
だが、怒れる女性たちが同党の事務所に押し寄せ、「百田を出せ! 女性たちに謝れ!」と怒号を浴びせたという話は聞かない。望月衣塑子や中沢けい、江川紹子たちはXでつぶやいていないで、自らが率先して動くべきではないのか。
テレビのワイドショーでこの発言を取り上げ、コメンテーターたちが舌鋒鋭く百田を追及したところはあったのだろうか。百田ごときと軽んじてはいけない。玉木雄一郎国民民主党代表の不倫話より、こちらの方が、この国に対する危険度は100倍高いのだから。
騒がれ、公党代表という立場もあり、百田は謝罪したが、この謝り方がまたひどい。「聞いていた人が不快に思うということで発言を撤回して謝罪する」(共同通信11月10日付)。謝罪すべきはこの国の女性全員へであるはずだが、百田という男はこの発言が女性蔑視だとは考えてもいないのだろう。
同じような趣旨の発言は、松本人志が文春に対する名誉毀損の訴えを取り下げた声明文の中にもみられる。
「かつて女性らが参加する会合に出席しておりました。参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」
自分の手下のお笑い芸人たちが集めてきた女性たちと関係をもったことは事実だが、もし、そのことで不快、心痛があった女性がいたとすれば、お詫びすると、まるで他人事である。女性たちは俺とデキて幸せだったに違いないという侮りが透けて見える。
その上、松本からの性加害を法廷で証言すると決意していた女性には、「強制性の有無を直接に示す物的証拠はない」ではないかと居直る。週刊文春側もこんな声明文をよく許諾したと思うが、松本側が平身低頭して全面的に自分の非を認めたからであろう。
これで、松本は文春の一連の記事が正しかったことを満天下に知らしめた。したがって、これからはお笑い芸人“性加害の松本”として生きていくことになる。早く裁判を終わらせたのは、年末・年始のテレビに出たいからだという臆測が一部スポーツ紙などに出ていたが、ふざけるな! である。視聴率さえ取れれば誰でもいいというテレビ局はいざ知らず、CMを出すスポンサー企業が許すまい。
一部のスポーツ紙が、松本は年明けから吉本興業が運営している劇場の舞台から始めるのではないかと報じている。それはありかもしれない。2年でも3年でも舞台に立ち、新しい自分を見てもらって、再び多くの客たちからの支持を集め、そこから這い上がっていくしかない。
だが、それをやるだけの根性が松本人志にあるのか。それともこのまま忘れ去られるのか。
松本にとっては、これから本当の“お笑い芸人人生”が始まるのである。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
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