国民民主党は劣化版「民社党」と化した…玉木代表は不倫以前に、ヘイトスピーチや差別の周縁に立っている 古谷経衡 猫と保守と憂国
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2024/11/13 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
古谷経衡氏(提供写真)
国民民主党の玉木雄一郎代表が、39歳の元グラビアアイドルと不倫関係にあったことが週刊誌報道ですっぱ抜かれ、玉木はこれを認めて陳謝した。玉木とくだんの女史は、クリントンとモニカ・ルインスキーほどの影響力があるわけではないので、あまり興味はない。それよりも、今回の選挙で4倍に躍進した国民民主党が、往年の民社党の系譜を色濃く引き継ぐ右派政党の遺伝子を持っていることに、同党の支持者はどれほど自覚的なのかが気になる。
玉木自身は、地元香川で大平正芳の人脈に影響を受けており、ことさら民社色が強いというほどでもないが、国民民主党の支持母体は間違いなく旧民社党の系統であり、最大の支持勢力は旧ゼンセン同盟(現・UAゼンセン)や電力総連系の労働組合である。
民社党は1960年に社会党から右派が分離して結成された。中曽根政権時代、衆議院で最大38議席を誇り、94年には新進党に合流して消滅したが、その遺伝子は民社協会に継承され、現在の国民民主党において屋台骨を形成している。
民社党の理念は、ソ連型全体主義の否定と議会制民主主義の確立や福祉路線であり、それだけを取れば聞こえは良いが何のことはない、「自民党より右」を標榜した冷戦時代の右派政党であった。民社党消滅以降、民社系議員は自民党などに異動した場合も少なくないが、何といっても近年での著名議員といえば元衆院議員の西村真悟である。
「私今日大阪に帰りますが、大阪の繁華街で『おまえ、韓国人慰安婦やろ』と言ってやったらよろしい」と2013年に発言し、当時の日本維新の会を除名になったことで有名な西村だが、およそ常人の人権感覚からかけ離れている西村を支持する人々は、ネット右翼界隈の中でも古老と呼べる年齢となって今でも健在だ。杉田水脈以前の問題議員といえば西村がやり玉にあがっていたことは、もはや古典になって久しい。
では現在の玉木はどうか。玉木はここ数年、右派系雑誌Hanada(飛鳥新社)などに頻出して、憲法改正や原発再稼働などをぶってきた。それだけならまだしも、玉木は22年6月に、ネット右翼系ユーチューブ番組「文化人放送局」に出演している。これは元北海道議の小野寺秀(今回の衆院選では日本保守党から北海道比例で出馬、落選)が北海道・白老町にあるアイヌ民族の文化展示施設であるウポポイ(民族共生象徴空間)を訪れ、その展示内容を嘲笑するという番組内容であった。これには経済評論家の渡邉哲也、元衆議院議員の長尾敬、作家の西村幸祐ら、いわゆる「アイヌ否定論者」がコメンテーターとして配され、トンデモ的なアイヌ否定論を展開する。そこに玉木は同席して、ウポポイを嘲る会話に満面の笑みで喝采を送っている。
かつての民社党はたしかに右派政党だったが、反ソの立場からベトナムやラオスの民族運動と交流した。玉木は公党の党首でありながら、国が認めた先住民族であるアイヌの人々の歴史や文化を否定しようとでもいうのだろうか。もしそうであれば、それは民社党ですらないただの劣化した何かであろう。不倫うんぬんの以前に、自らがヘイトスピーチ、差別の周縁に立っていることを、玉木は自覚し陳謝すべきではないのか。
古谷経衡 作家
1982年生まれ。立命館大学文学部史学科卒。令和政治社会問題研究所所長。「左翼も右翼もウソばかり」「日本を蝕む『極論』の正体」「毒親と絶縁する」「敗軍の名将」「シニア右翼」など著書多数。
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