公示前から波乱…取材から逃げる衆院選候補への審判は? 鈴木エイト カルトな金曜日
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2024/10/25 日刊ゲンダイ
“無所属”でも手厚い待遇、ザッツ“自民党”(C)日刊ゲンダイ
衆院選の取材を連日続けているが、この選挙は公示前から波乱だらけだ。
東京9区をめぐっては、公選法違反で3年間の公民権停止が明けた菅原一秀元経産相に自民党への復党が認められる不可解な裁定がなされた。党9区支部長の今村洋史元衆院議員は、執行部の圧力に屈したとしか思えない形で出馬を取りやめた。党公認で立候補予定だった今村氏は、政治資金収支報告書への220万円の不記載等を理由として9日に非公認とされていた。それでも出ようとしていた今村氏だったが、公示直前に取りやめ。開設予定だった選挙事務所で開いた会見で、こう口にした。
「自分の決断で党幹部に伝えた」
本当に納得しているのか聞くと、言葉の端々に悔しさと無念さがにじむ。
「私自身に要因があり、納得させるしかない」
別の記者が菅原氏への応援について聞いた際には、支部長の立場から「党籍を持った人が1人しか立候補しておらず、そうすべきだと申し上げるしかない」と返答。
思わず口をはさんだ。
「ただの感想だが、党執行部が今村さんにそう指示したらひどいと思う」
報道各社などの情勢調査では立憲民主党の山岸一生前議員がリードしており、今村氏に身を引かせることで逆転を狙ったのだろう。
選挙戦の取材現場でも緊迫の場面があった。
まず、秘書登用疑惑など、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着が指摘される神奈川18区の山際大志郎元経済再生相だ。関係断絶が疑わしい山際氏を応援したくないとして、公示前にベテラン県議の小川久仁子氏が告発会見を開き、離党した。コメントを求めて取材陣が殺到した山際氏の出陣式は、幹事社以外の入場をシャットアウト。街頭演説も一切行わない方針とあって、街頭でその姿をメディアがとらえることはなく、「レアキャラ」と化していた。20日にメディア関係者と選挙区内を車で捜索すると、商店街を練り歩く山際氏を発見。追跡したが、スタッフに行く手を阻まれた。直撃取材から逃げる候補者という異例の展開だ。
同じく直撃を避けていたのが、教団の韓鶴子総裁を「マザームーン」と呼んだ発言が取り沙汰された神奈川4区の山本朋広前議員だ。数日追った末、ようやく駅頭活動の現場を捜し当て、7年ぶりに直撃取材した。
先週末は連日八王子入りし、東京24区の萩生田光一元政調会長を追いかけた。衆院選の取材顛末は28日開催のトークイベント「#衆院選ナンデス2024」(東京・阿佐ヶ谷ロフトA)で詳しく話そうと思う。
鈴木エイト ジャーナリスト
1968年生まれ。日大卒。日本ペンクラブ会員。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」主筆。日本脱カルト協会理事。「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」「『山上徹也』とは何者だったのか」などの著書のほか、共著・編著多数。
http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/777.html