※2024年10月24日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2024年10月24日 日刊ゲンダイ2面
ああ自民党、厳しい処分は見せかけ(C)日刊ゲンダイ
しんぶん赤旗によれば、非公認議員にも政党助成金から2000万円を配っていた自民党。もはや、つける薬なしの国民愚弄、破廉恥、嘘とゴマカシに有権者も口をアングリだ。石破首相は禁じ手を弄して、今なお、政権にしがみつく魂胆だが、そうは問屋が卸さない。
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総選挙で大逆風にさらされて苦戦中の自民党にとって、これがトドメの一撃になるんじゃないか。
23日の「しんぶん赤旗」がスッパ抜いた“偽装非公認”問題だ。
赤旗1面に掲載された「裏金非公認に2000万円 自民本部が政党助成金」と題する記事によると、自民党派閥パーティーをめぐる裏金事件で今回は「非公認」となった候補の党支部にも、衆院選の公示直後に2000万円が支給されていた。党本部から、政党交付金用の口座に振り込まれたという。
自民党は公認候補に対し、公認料500万円と活動費1500万円の計2000万円を支給している。それと同額が、裏金非公認候補にも渡されていたのだ。これじゃあ非公認は偽装だと言われても仕方がない。選挙向けに、裏金議員に厳しい処分を下したように見せておいて、裏では党ががっつりサポートしていたわけだ。
しかも、このカネは税金が原資の政党助成金から出ている。盗人に追い銭というのか、裏金づくりで脱税が疑われる連中に、さらに税金を渡してやるのが自民党の流儀なのである。
驚くことに、自民党は非公認候補への資金提供をあっさり認め、森山幹事長名でコメントを発表。2000万円は「政党支部に対して、党の組織として、しっかり党勢拡大のための活動をしていただきたいという趣旨で、党勢拡大のための活動費として支給したもの」であり、「候補者に支給したものではありません」と説明したが、詭弁もいいところだ。
政党支部は「第2の財布」
2000万円は政党支部に支給したもので、候補者個人に支給したものではない--。こんな子供騙しが通用すると思っているとしたら、国民をナメくさるにもほどがある。
政党支部は、政治家の「第2の財布」と呼ばれている。政治家が個人の資金を支部に寄付し、自分の懐を痛めずに自由に使うことも常態化している。
裏金事件に関連して、パーティー券収入のキックバックを受けていた国会議員が、自分が代表を務める政党支部に寄付して所得税の還付を受けていたことも相次いで明らかになった。政治家にとって実に使い勝手のいい便利な財布が政党支部なのだ。
「2000万円の支給は、『政治とカネ』の温床になってきた企業団体献金と同じ構図です。企業・団体から政治家個人への政治献金は禁止されているが、政治家が代表を務める政党支部への献金は認められている。2000万円を本人に支給したのではないといっても、政党支部に振り込んだカネは、実質的には政治家が自由に使えます。政治資金に対し、これまでになく厳しい目が向けられている時に、こんなことを平気でやる感覚がどうかしている。今までと同じようなやり方でゴマカシを続ける国民愚弄には、有権者も口をアングリですよ」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
百歩譲って、公認料500万円を差し引いた1500万円の支給なら「活動費」という言い訳も成り立つだろうが、公認候補に1500万円の活動費で、非公認候補には2000万円では筋が通らない。それに、党勢拡大のための活動費をなぜ選挙期間中に支給するのかといえば、選挙に使うためなのは明らかだ。
赤旗スクープを他のメディアも後追い報道したことで、X(旧ツイッター)のトレンドには一時、「政党助成金2000万円」「非公認裏金議員」「自民党は平気で嘘をつく」などの関連ワードがずらっと並んだ。選挙戦の終盤で、SNS上には「これはひどい」「まったく反省がない」と自民党への嫌悪感が渦巻いている。
裏金議員を「裏公認」で支援する姑息とインチキ
古い自民党の象徴(森山幹事長)/(C)日刊ゲンダイ
だいたい、非公認候補が党支部の代表のままというのも、国民からすれば理解しづらい話だ。裏金問題で非公認になりながら自民党支部代表の候補者は、上杉謙太郎(福島3区)、中根一幸(埼玉6区)、三ツ林裕巳(埼玉13区)、平沢勝栄(東京17区)、小田原潔(東京21区)、萩生田光一(東京24区)、細田健一(新潟2区)、高木毅(福井2区)の8人である。
彼らは「無所属で厳しい戦いだ」「比例復活はない」と言って同情を買おうとするが、裏ではちゃっかり党が支援していた。カネの面倒も見るし、非公認候補の応援に自民党幹部が駆けつけたり、公明党も推薦を出したりもする。表向きは非公認の裏金議員を「裏公認」しているようなもので、まんまと当選すれば追加公認。そのうち党の役職にも復帰する。有権者からすれば騙された気分だ。
「非公認の政党支部代表は、ルール上は問題がなくても、国民感情としては、やはり道理に合わない。自民党の選挙公約である『ルールを守る』がむなしく聞こえます。解散前の党首討論で石破首相は政策活動費を衆院選で使うか問われ、『法律で許されている範囲内で適法適切に使う』と答えた。これが批判されると、その後のテレビ出演では『日常的に政策の周知、広報に使うもので、選挙に使うことはいたしません』と発言を修正していましたが、今回のようなことが発覚すると、何を言っても信用されなくなる。接戦区でギリギリ踏ん張っていた自民候補も一気に厳しくなった。自公の過半数割れが現実味を帯びてきました」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
3日後に怒りを示すべき
選挙に勝つためなら、裏金議員に裏でカネを流し、裏公認のえげつなさ。どんな手を使ってでも「選挙に勝てばこっちのもの」と裏金問題にフタをする算段だったのだろうが、今回ばかりは、そうは問屋が卸さない。
「石破さんは当初の主張通りに予算委員会を開いてから国民に信を問うなど、自分の土俵で堂々と戦えばよかったのに、早期解散戦略や裏金議員の公認問題で党内融和を重視する森山幹事長の意見を聞き入れ、迷走し、袋小路に入り込んでしまった。やることなすこと裏目に出ている。森山さんのような古い自民党の手法は、もはや国民世論に受け入れられないのかもしれません」(自民党公認のベテラン議員)
禁じ手を弄してでも政権にしがみつくのが自民党の本質とはいえ、「自公で過半数」という低いハードルも越えられそうにないほど国民から嫌われても変わらない、変われないのだからどうしようもない。
「百年河清を俟つ」という言葉がある。常に濁っている黄河の水が澄むのを百年かかって待つという意味で、いつまで待っていても実現する見込みがなく、時間が経過しても何も解決しないことの例えだ。
今の汚濁しきった自民党を見ていると、この言葉が思い浮かぶ。澄み渡る日は永遠に訪れそうにない。
「自民党に自浄能力を期待するだけ無駄で、いつまで経っても変わらないことがハッキリした。もっとも、100年待たなくても、今なら、3日後の選挙で変えることが可能です。今回の衆院選は、有権者の怒りを見せつけ、腐敗堕落の自民党政治を終わらせる絶好の機会なのです。ここで自民党を勝たせたら、裏金議員は息を吹き返し、政治とカネの問題はウヤムヤにされ、国民無視の暴政が続くだけです」(五十嵐仁氏=前出)
有権者に平気で嘘をつき、反省もなく、自分たちの権力維持しか頭にない自民党の存在は百害あって一利なし。本人たちは気づいているのかどうか、この政党はとっくに歴史的役割を終えたことを分からせる必要がある。それを示すのが有権者の一票ということだ。
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