窮地に陥っているウクライナ大統領はロシアとの核戦争への道を進むと脅している
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2024.10.21 櫻井ジャーナル
ウクライナのウォロディ ミル・ゼレンスキー大統領は10月16日、議会で「勝利計画」の要点を明らかにした。ウクライナのNATOやEUへの加盟を実現し、ロシア深奥部を攻撃するための長距離ミサイルの使用制限を緩和することが含まれている。
長距離ミサイルによるロシア深奥部への攻撃はアメリカ/NATOの軍事衛星、偵察機、人的な情報網などが集めた情報を必要とするだけでなく、オペレーターもミサイル供与国は派遣する必要が生じる。つまりアメリカ/NATOが直接ロシアを攻撃することを意味し、ロシアはアメリカ/NATOを直接攻撃することになる。つまり世界大戦の勃発であり、それは核戦争になる可能性が高い。
それをロシアのウラジミル・プーチン大統領は指摘、核戦争に勝者はいないと警告しているのだが、それを西側ではプーチンが核戦争で脅したとする人がいるのだが、それはロシアに対し、おとなしく攻撃されて殺されろと言っているに等しい。米英の情報機関にコントロールされている有力メディアはともかく、西側の支配層でもゼレンスキーの要求が受け入れられていない理由はそこにある。
ウクライナがNATOに加盟できない場合、残された唯一の選択肢は核兵器を保有することだとドナルド・トランプに伝えたとゼレンスキーは10月17日、欧州理事会で語っている。核武装されるのが嫌ならNATOへ加盟させろというわけだが、NATOに加盟するとはアメリカの命令に従う属国になることを意味する。
ウクライナを戦乱へと導いたのはアメリカにほかならない。アメリカの外交/安全保障政策を決めてきたネオコンは1991年12月にソ連が消滅した直後、翌年の2月に国防総省のDPG(国防計画指針)草案として世界制覇プロジェクトを作成した。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンだ。
ネオコンは1991年1月の湾岸戦争でソ連軍が動かなかったのを見てロシアも「脅せば屈する」と確信、中立政策を掲げていたウクライナをアメリカの属国にするため、2004年から05年に「オレンジ革命」を仕掛けた。
しかし、この「革命」政権が行った新自由主義政策は西側の私的権力の手先になった特権集団を生み出す一方、大半の国民を貧困化させた。ボリス・エリツィン時代のロシアと同じだ。そこで2010年の大統領選挙では「オレンジ革命」で大統領への就任を阻止されたビクトル・ヤヌコビッチが当選。そこでバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使い、クーデターを実行した。
このクーデターをホワイトハウスで指揮したのは副大統領のジョー・バイデン、国務次官補だったビクトリア・ヌランド、そして副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めていたジェイク・サリバンだとされている。
このクーデターでキエフにはネオ・ナチ体制が樹立されたが、ウクライナがソ連から「独立」するのと同時にウクライナからの独立や自治権を求めていた東部や南部は反クーデターの抵抗運動を開始した。この抵抗運動を潰すためにアメリカ/NATOはキエフ政権を支援、軍事力を増強し、反クーデター軍が支配する東部のドンバス周辺に複数の地下要塞を結ぶ要塞線を築いた。
2021年1月にバイデンが大統領に就任すると、サリバンは国家安全保障補佐官になり、ヌランドは同年5月から国務次官を務め始め、このチームにアントニー・ブリンケンが国務長官として参加している。
クーデターから8年後の2022年にキエフ政権はドンバスに対する大規模な攻撃を仕掛ける動きを見せるが、実際に動く直前にロシア軍がミサイル攻撃を開始してウクライナ軍に大きなダメージを与え、ウクライナ政府はロシア政府と停戦交渉を開始、ほぼ合意に達した。これを潰したのがアメリカやイギリスだということは本ブログでも繰り返し書いてきた。
一連の戦いはネオコンが冷戦でソ連に勝利したと考えたところから始まった。21世紀に入ってロシアが再独立に成功するが、そのロシアも簡単に制圧できると西側諸国は考えたようだ。
その判断が間違っていたことに気づいた人が西側でも少なくないようだが、ネオコンは今でも世界制覇の妄想から抜け出せないでいる。そのネオコンの後ろ盾になっている私的権力はロシアの富を奪うことを前提にして多額の投資をしてきた。ロシアに勝たせるわけにはいかないはずだ。ウクライナに核武装させ、ロシアとの核戦争へと導いて共倒れにさせて「漁夫の利」を得ようとしているとも見られている。彼らは核戦争になっても自分たちのいる場所は安全だと信じているのだろう。
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【Sakurai’s Substack】
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