心に刺さらぬ野田新代表の言葉
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2024年10月 6日 植草一秀の『知られざる真実』
衆議院が10月9日に解散され、総選挙が10月15日に公示、10月27日投開票の日程で実施される見通し。
重要なことは日本の主権者が、この選挙にどのように挑むのかである。
自民党総裁選では石破茂氏と高市早苗氏との間で決選投票が行われた。
1回目投票では高市氏が首位に立ったが決選投票で逆転された。
この総裁選は自民党長老の闘いの場でもあった。
当初、当選が有力視された小泉進次郎氏を推したのは菅義偉氏。
小泉氏を決選投票に勝ち残らせるために死力を尽くしたと見られるが小泉氏は3位に後退して初戦敗退した。
自民党副総裁として高いポジションを維持してきた麻生太郎氏は麻生派が支援する河野太郎氏、上川陽子氏、小林鷹之氏が決選投票に残れない情勢を踏まえ、河野太郎氏を見捨てて高市早苗氏支持を指令した。
高市早苗氏は決選投票に残ることができたが決選投票で敗北した。
石破氏を当選させる原動力になったのは岸田派。
派閥を解散したが岸田氏の指示により旧岸田派の票が石破氏に集められた。
この結果、石破氏が決選投票で逆転勝利した。
菅、麻生、岸田の3長老のなかで岸田氏が勝利を収めたと言える。
菅氏は決選投票で岸田支持を指示して辛うじて主流派に加わることに成功した。
麻生氏は高市氏が敗北したことを受けて主流派の地位から転落した。
石破新体制が発足したがメディアが驚くような石破叩きを演じた。
背景に日本を支配する米国の意向がある。
米国は日本支配を容易にする首相誕生を希望した。
小泉進次郎氏が最適であり、石破茂氏はコントロールが容易でないことから警戒された。
その石破氏が勝利したために激しい攻撃が展開されている。
また、高市早苗氏推しの勢力が激しい石破茂攻撃を展開している。
この勢力は金融緩和と積極財政を主張し、同時に日本の弱肉強食化を推進する。
アベノミクス残党勢力だ。
黒田日銀の常軌を逸した金融緩和は激しいインフレと日本円暴落をもたらした。
激しいインフレは債務者に利得を与える。
同時に企業の実質賃金コストを引き下げることから大資本が歓迎する。
日本円暴落は日本乗っ取りを狙うハゲタカ資本が待望するもの。
輸出製造業も日本円暴落で濡れ手に粟の利益を享受する。
ハゲタカ資本、外資、輸出製造業とこの勢力が癒着している疑いが濃厚である。
ところが、高市氏が敗北して石破氏が勝利した。
石破氏勝利で一時的に円高・日本株安が生じたため、この勢力が「石破ショック」と騒ぎ立てて石破新体制を攻撃した。
しかし、石破首相は前のめりの金融引き締め政策をけん制し、為替は再び円安に回帰した。
米国経済指標の影響もあって日本株価は9月27日の高値に接近。
「石破内閣で株価暴落」という図式が消えてしまった。
重要な問題は財政政策の中身を抜本的に改革すること。
これが大きな課題として残っている。
主権者は自公、立民を軸にする第二自公、反自公の第三極、の三者のなかから支援対象を選択する必要がある。
立民は野田佳彦氏が新党首に就任したが、掲げる政策路線は自公と相違がない。
消費税減税を否定している。
原発を容認している。
軍拡を肯定している。
野田氏が指し示す方向は「第二自公」である。
野田氏の方が石破氏よりも右に位置していると見られている。
この野田氏は共産党との共闘を否定している。
また、2009年には消費税増税阻止を声高に叫びながら、2012年に公約違反の消費税大増税法制定を強行した「実績」を有する。
野田氏が石破氏に「公約違反」を攻め立てても、本人が公約違反の標本のような存在だから説得力がない。
自公、第二自公とは異なる「反自公の第三極」勢力を全面支援する主権者が多数存在する。
この勢力の躍進が求められる。
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