わが国は首の皮一枚で繋がったが…石破政権も日和るのか 適菜収「それでもバカとは戦え」
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2024/10/04 日刊ゲンダイ
石破内閣(C)JMPA
任期満了に伴う自民党総裁選は高市早苗と石破茂による決選投票となり、石破が勝利した。わが国は首の皮一枚でつながったが、安倍晋三路線の継承を唱えてきた高市が総裁になったら洒落にならなかった。
高市の推薦人には裏金議員が13人も名前を連ねていたが、高市は「総裁が代わったからといって、ちゃぶ台返しをするようなことをしたら独裁だ」と裏金議員の党処分を見直さない考えを示していた。
2014年、高市とネオナチ団体代表がツーショット写真を撮っていたことが発覚。過去にはナチス礼賛本「HITLER ヒトラー選挙戦略」に推薦文を寄せていた。高市は1994年から2001年にかけて少なくとも5回「世界日報」に登場しており、反日カルトの統一教会(現・世界平和統一家庭連合)とのつながりも深い。
一方、石破にも問題は多い。総裁選の間「解散までには一定の期間が必要だ」と言ってきたにもかかわらず、10月末の総選挙を言い出す。
組閣についても、自民党腐敗の象徴である菅義偉が副総裁に就任。逮捕歴もある三原じゅん子はこども政策担当相。代表を務める政治団体が悪質なプロパガンダ組織とつながっていた小渕優子は組織運動本部長。人事に関する問題は他にも山ほどある。「これでは何も変わらない」と言いたくもなるが、一歩前進した部分もある。
かつて安倍について「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊して、旧統一教会に選挙まで手伝わせた。私から言わせれば国賊だ」と正確に指摘した村上誠一郎が総務相に。村上は集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法にも反対、森友・加計学園問題でも批判を繰り返してきた。
麻生太郎は新たに設けた「最高顧問」という事実上の名誉職に押し込まれた。高市は総務会長の打診を断り、小林鷹之も広報本部長を固辞した。河野太郎も閣僚から外された。旧安倍派からの入閣はゼロ。
そう考えると、石破政権の方向性を全否定するのは時期尚早かもしれない。石破は日米地位協定の見直しにも言及しているし、憲法を空洞化する安倍周辺一味による加憲論に対し「整合性がない」と正面から批判してきた。石破は自民党を正常化できるのか、やはり日和るのか。引き続き国民の監視が必要だ。
適菜収 作家
近著に「安倍晋三の正体」「ニッポンを蝕む全体主義」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も発行。本紙連載を書籍化した「それでもバカとは戦え」も好評発売中。6月28日には第2弾「続 それでもバカとは戦え」が発売予定。
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