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2024年8月26日01時35分 〜
記事 [政治・選挙・NHK295] 彼我の差はどこから来るのか 熱狂なき総裁選と寒々しい演出(日刊ゲンダイ)

※2024年8月24日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大 文字起こし


※紙面抜粋


派手なポスターのワケは…(C)共同通信社

 ハリス候補の演説に熱狂する民主党支持者たち。それに比べ、乱立総裁候補者たちの人材払底と、それでも強引に盛り上げるために五月雨表明のバカバカしさ。

  ◇  ◇  ◇

 11月の米大統領選に向けた民主党の全国大会は22日が4日間の日程のクライマックスだった。大統領候補に指名されたカマラ・ハリス副大統領(59)の登場に合わせ、歌姫ビヨンセの「フリーダム(自由)」が流れると会場は大歓声に包まれ、代議員らは総立ちに。しばらくの間、拍手喝采となった。

 指名受諾演説では、「全ての米国人の大統領になると約束する」と表明。「この選挙は(米国の)分断を乗り越え、新しい道を切り開く機会だ」とも強調した。共和党のトランプ前大統領については「ホワイトハウスに返り咲けば、影響は極めて深刻だ」と非難。「我々は後戻りしない」と力を込め、40分間の演説で会場の熱狂は最高潮に達した。

 民主党支持者のムードはいい。党大会まで1カ月に迫った土壇場で、支持率低迷と高齢不安のバイデン大統領が撤退に追い込まれ、異例の事態に民主党は大揺れとなったが、ハリスが後継に決まると支持率は上昇。リアル・クリア・ポリティクスの全米支持率(22日時点)は、ハリスが48.4%で、トランプの46.9%をわずかに上回っている。党大会を経て民主党はハリスの下で結束。トランプとの全面対決は終盤戦へ突入する。

「ハリス副大統領は4年前に比べ、演説が抜群にうまくなった。話のスピードや言葉の選び方、凄み。見事だと思いました。党大会は全体の流れを含め、よくできたイベントになっていました。もっとも、昔ならあの演説で支持率が10や20ポイント上がったでしょうが、今は米国が分断しているので、上がっても数ポイント程度でしょう」(上智大教授・前嶋和弘氏=現代米国政治)

 全米全体ではなく、いわゆる激戦7州が結果を左右するといわれる。無所属で出馬していた「第3の候補」ロバート・ケネディ・ジュニア氏が撤退したのは、トランプ有利に働くとされる。直接対決となる9月10日の討論会がどう影響するのか──。海の向こうながら、大統領選の熱気に日本国内での関心も高まるが、それに比べて「ポスト岸田」を決める自民党総裁選(9月12日告示、27日投開票)の薄っぺらいこと。前出の前嶋和弘氏はこう言う。

「大統領制の米国と議院内閣制で首相を選ぶ日本では制度が異なるとはいえ、自民党総裁選はコップの中の人気投票になっていて、選挙の体をなしていません。米大統領選に照らし合わせれば、『誰が出るのか、出ないのか』という段階は予備選1年前のような状況なのに、そこから時間をかけず結果はすぐに決まってしまう。政策を競うわけでもなく、中抜きみたいな感じで、なんとももどかしい」

勝ち目がないのに手を挙げる輩が出てくるア然


ハリスの指名受諾演説に大歓声(C)ロイター

 本当だ。連日メディアジャックしている自民党総裁選はカラ騒ぎとしか言いようがない。猫も杓子も出馬に意欲を見せ、その数、11人。23日はこれまで、「出馬要請を受けた。私自身が出ると言っているわけではない」と曖昧な態度だった斎藤健経産相(65)が一転、「総裁選を目指す決心をした。ルビコン川を渡る」と言い出した。

 さらには、青山繁晴参院議員(72)までもが記者会見を開き、「総裁選で別の選択肢があることを示したい」と立候補に意欲を示したからア然だ。これで12人目。こうなると便乗しない手はないと、勝ち目もないのに手を挙げる輩がまだまだ出てくるんじゃないか。

 岸田首相の退陣表明を受けた日経新聞の世論調査(21、22日実施)で「次の総裁にふさわしい人」のトップに躍り出た小泉進次郎元環境相(43)は、若くて「刷新感」はあるものの実力不足。石破茂元幹事長(67)は党員人気や実力はあっても国会議員票が厳しい。本命不在の大乱立は自民党の人材払底を如実に表している。

 だからだろう。話題性で耳目を集めようと、自民党が21日に公表した総裁選ポスターは、競争や調和を意味する「THE MATCH」の大きな文字に歴代総裁の白黒写真が並ぶ派手な作り。上段中央でマイクを持って拳を突き上げるのは安倍元首相だ。SNSでは<統一教会の件と裏金事件の件で、諸悪の根源と言える人物が、一番目立つ場所に。なんで?>といった投稿があったが、自民党が反省ゼロの証左だ。

 しかし、大メディアはそんなことお構いなしで、総裁選をワッショイワッショイ。自民党の強引な盛り上げに手を貸しているのだから度し難い。

 24日は石破が地元の鳥取県で出馬表明。その先も、26日に河野太郎デジタル相(61)、30日に進次郎が出馬会見を予定。林芳正官房長官(63)と高市早苗経済安保相(63)も来週、表明する方向だと報じられている。五月雨式表明は総裁選をお祭り騒ぎにするための一環か。会見日程をいちいちニュースにするのも、一体誰のためかと首をひねりたくなる。

「いま自民党がやっていることは、すべて解散総選挙のための演出ですよ。総裁選から間を置かずに総選挙となる可能性が高い。成功体験があるので、ほとんどの自民党議員は、総裁の顔を替えれば選挙を乗り切れると思っている。ポスターも計算ずくでしょう。メディアも共犯です。若い進次郎や小林鷹之前経済安保相(49)をことさら持ち上げるのは、都知事選で前安芸高田市長の石丸伸二氏(42)が台風の目となった『石丸現象』を思わせます」(政治評論家・野上忠興氏)

自民党を下野させなければ、何も始まらない

 米国は「政治が変わるかもしれない」との期待感もあって熱狂している。バイデン後継とはいえ、ハリスは米史上初の黒人・アジア系女性大統領となり、多様性の象徴になる。一方、トランプが勝てば政権交代であり、経済政策も外交もガラリと変わる。

 ところが日本の場合、「ポスト岸田」に誰が就こうが、自民党の中から選ばれる限り何も変わらない。

「政治とカネ」の問題に本気でメスを入れる気もなく、ベテランから若手まで金権腐敗政治にどっぷり漬かっているのが自民党の実態だ。裏金のキックバックを懐に入れ、脱税疑惑が指摘されても知らんぷり。企業・団体献金を温存し続けるため、財界と“癒着”して、大企業のための政治に邁進。庶民に増税や負担増のツケを回す。

 総裁選は「刷新感」や「改革」がキーワードになっているが、それは選挙が目の前にあるからで、手を挙げている誰ひとり、自民党に染み付いた金権体質を変えようとする者などいない。そんなことを掲げでもしたら、議員票が減ってしまうのは明らかだからだ。邪な思惑がミエミエなのに、選挙目当ての口八丁で国民をだまそうとするから、国民はどんどん政治に対してシラけていく。

「自民党のベテラン議員が、『小泉VS小林で決選投票になったら悪夢だ』と自虐的に嘆いていましたよ。選挙の顔選びが目的でなければ、実績ゼロの進次郎氏が有力候補になることなどあり得ない。米国とは違って、日本の総理・総裁選びに期待感はまったく感じられません」(野上忠興氏=前出)

 繰り返すが、総裁選なんて、しょせん自民党のコップの中の争いでしかない。自民党を政権から引きずり降ろさなければ、何も始まらないのだ。いつになったら、この国に本当の熱狂がやってくるのか。

http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/374.html

記事 [政治・選挙・NHK295] 厚労省が職員9万人を対象に「マイナ保険証アンケート」の愚策…エグすぎる質問事項の“大きなお世話”(日刊ゲンダイ)

厚労省が職員9万人を対象に「マイナ保険証アンケート」の愚策…エグすぎる質問事項の“大きなお世話”
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/359595
2024/08/26 日刊ゲンダイ


利用率はいまだ低空飛行(厚労省公式Xから)

 必死さが痛々しい。マイナ保険証の利用率向上に躍起になっている厚労省のことである。利用率は先月時点で約11%と、いまだに低空飛行中。25日の毎日新聞朝刊によると、厚労省は職員ら約9万人を対象に、メールを通じてマイナ保険証に関するアンケートを実施しているという。

「まず隗より始めよ」といえども、質問事項がなかなかえぐい。ザっと次の通りだ。

〈あなたは先月に医療機関等を受診しましたか。受診の際、マイナ保険証を利用しましたか〉

〈次回の医療機関の受診の際、マイナ保険証を利用する予定はありますか〉

〈あなたはマイナ保険証についてどのような印象や考えをお持ちですか〉

 回答者自身の利用状況の他、その扶養者がマイナ保険証を利用しているかどうか、現行の保険証を使う理由は何かなど、プライバシーにかかわる内容もズケズケと質問。果ては、職員に利用を呼びかける河野デジタル相のメッセージを確認したかどうかも尋ねているという。大きなお世話だ。

 散々これまで指摘されているように、マイナ保険証の取得・利用は本来、任意である。国家公務員も例外ではないが、回答者の家族をひっくるめて利用状況を聞き出すなんて職員への“圧力”以外の何物でもない。保険証廃止の撤回を訴える全国保険医団体連合会(保団連)事務局次長の本並省吾氏が皮肉交じりに言う。

「医療保険制度を所管する厚労省が職員に『なぜ現行の保険証を使うのか』と尋ねること自体、愚問です。模範解答は『一国民の権利として公的医療保険制度をスムーズに利用するため』でしょうね」

 政府は5月から7月をマイナ保険証の利用促進月間に位置付け、医療機関や薬局にカネをばらまく禁じ手を使ってまで利用率向上に邁進してきた。いまだ利用率1割の惨状なのは、医療現場と患者にとってメリットがないに等しいからだ。

 医療情報サイト「エムスリー」が今月16〜20日、会員の医療従事者2136人を対象に「従来の健康保険証からマイナ保険証への移行を評価するか」を聞いたところ、開業医のうち約5割が「まったく評価しない」、約3割が「あまり評価しない」という散々な結果だった。

 職員にアンケートを取らずとも、答えは明白である。現行の保険証とマイナ保険証の「選択制」にすればいい話だ。

  ◇  ◇  ◇

 遅々として進まないマイナ保険証普及の中、警察庁が法令上の「本人確認書類」から「健康保険証等」を削除する方針を示し、動揺する声が…。●関連記事『【もっと読む】もはや任意じゃなくて強制…12月2日のマイナ保険証一本化に向けて強まる国民への包囲網』で詳報している。

http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/375.html

記事 [政治・選挙・NHK295] 野田元首相、週内に正式表明 立民代表選の立候補、待望論受け(東京新聞 TOKYO Web)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/349603?rct=politics






女性議員の立候補はないのか、若い人の出馬はないのか・・・。

これが今の立憲民主党の代表選挙に対する有権者の声、期待であり、いわば民意ではないかと思うのだが。

今の立憲民主党に必要なものは、政権交代に向けた燃え滾るエネルギーではないか。

この程度の民意にも応えられないでどうする?

推薦人20名の規定が邪魔をしているなら即刻外してしまえばいい。

そのことで、誰も文句は言わないだろう。

「自縄自縛」で苦しむことは愚の骨頂。

有権者の声に応えることは何物にも優先しなければならない。

そんな有権者の期待、民意に応えられぬまま、立憲民主党は最悪の選択をしてしまうことになるかもしれない。


野田氏自身、次のように述べたと、毎日新聞が報じている。

https://mainichi.jp/articles/20240807/k00/00m/010/205000c

「『昔の名前で出ています』じゃあいけない」。

「年齢とか性別とかいろんなバランスを戦略的にやった方がいい」と述べ、多様な人材による代表選が望ましいとの考えを強調した。

(引用はここまで。)


そう言いつつ、舌の根も乾かぬうちに、我こそは元総理大臣なるぞ、とばかりに・・・。

民意無視、言行不一致。・・・もはや信用に値せず。

現職の代表ですら20名の推薦人集めに四苦八苦している小所帯の立憲民主党で、この人が何故〜。

多様どころか、だんだんと、老人クラブの会長選の様相を呈してきた立憲民主党の代表選挙。

盛り上がりに欠けるのはメディアのせいばかりではない。

世代後退もその一因。



以下に記事(共同通信配信)の全文を転載する。


立憲民主党の野田佳彦元首相(67)は、週内にも党代表選(9月7日告示、23日投開票)への立候補を正式表明する方向で調整に入った。関係者が25日明らかにした。野田氏はこれまで、出馬に関し「熟慮する」と明言を避けていたものの、経験と安定感に期待する党内の待望論を受け止めた格好だ。代表選には、枝野幸男前代表(60)が立候補を表明。泉健太代表(50)も出馬の意向を固め、立候補の条件となる国会議員20人の推薦人確保に努めている。

 野田氏周辺は表明のタイミングに関し、自民党総裁選の候補者による出馬表明と重ならない時期を模索していると説明。「週内のどこかになる」と語った。河野太郎デジタル相は26日に記者会見を予定、小泉進次郎元環境相も週内の表明を検討している。

 野田氏は2011年9月、民主党政権で首相に就任した。在職中に消費税率10%への引き上げを決定。12年衆院選で大敗し、下野した。20年9月の立民結党に参加後は最高顧問に就き、党運営とは距離を置いてきた。


記事の転載はここまで。


正直言って、消費税増税を掲げて解散するような政治センスの無い野田氏が出馬とは・・・と思う。

記事にもあるように、政治センスの無さが招いた結果は、これ以上は無い程の大惨敗だった。

同僚議員の屍の山また山。・・・そして当然のように下野。

そのことが直接「民主党の瓦解」に繋がっていく。

あの時、民意が「消費税増税を拒絶した」ことは明らかだ。

「その民意」を、今尚無視し続けている人たちを内包する立憲民主党。

このままでは、退治し損ねた「シロアリ」に蝕まれていく。

野田氏の名は、あの時の悪夢が、亡霊のごとく有権者の脳裏によみがえってくる「呼び水」になる。

今度は、立憲民主党と国民を地獄の淵に追いやるつもりなのか・・・と。

深い反省があれば、既に政界を引退しているような御仁だ。


朝日新聞によれば、

https://www.asahi.com/articles/ASS8T124FS8TUTFK003M.html?iref=pc_politics_top

野田氏は、

24日の栃木県那須塩原市での講演では裏金事件に触れ、「深い反省もない人たちがにぎやかに(自民党総裁選を)やっている。政治とカネの問題のうみを出し切るには我々が必要だ」と訴えた。

(引用はここまで)


一足先に立候補を表明した枝野氏は「猫も杓子も改革…改革・・・」と反省の弁を述べていたが・・・。

野田氏は、その言葉をどういう思いで聞いていたのか。

民主党政権を崩壊させた反省の弁を聞くことができるかどうかにも注目したい。

野田氏が言うべき事は、「政治改革」よりも・・・、「消費税の減税・廃止」ではないのか。

民意に拒絶された反省を踏まえ、政治をやり直すというのであれば、少なくとも、生活必需品、食料品への課税は止める、と民意に訴えるべきだろう。


いずれにしろ、誰が代表になろうと、野党連携が政権交代の必須条件になると、国民の誰もが考えている。

どんな野党連携の構想なのか、代表選挙で十二分に意見を戦わせてもらいたい。

自公対全野党連携の構図に持ち込めれば、政権交代はぐっと近くに引き寄せられることになる。

逆に、野党を束ね損なえば、自公の議席を減らしたとしても、自公の政権維持を許すことになってしまう。

枝野氏は、国民民主党に対して、

「小異を捨てて大同につく」よう訴えたと言う。

野党は、立憲民主党と国民民主党だけではない。

どうする・・・。


立憲民主党が自ら「小異」と共に「甘え」を捨てることができるかどうかが正念場となろう。


ところで、泉氏はいまだに20名の推薦人を集めきれていないのだろうか。

小沢グループの支援を失えば、もともとこんな状況なのかもしれない・・・。

「連合の反共女」に引き摺られる姿が、公党の代表としては相応しくないと、誰の目にも映った結果だろう。

しかも、アメリカ製だけど「核兵器を使うぞ」という「核抑止論」、「拡大抑止」を強化する、などと口走ってしまえば、「終わった〜」感は否めない。


いずれにしても、誰かが代表を務めなければならない。

いたずらに経験を鼻にかける人よりも、少しでも、「民意」を大切にする心を持った人に代表になってもらいたい。


立憲民主党の代表選を見ていて、そう思う。

このままでは、自民党の総裁選で日本の総理大臣が決まると思うと、恐怖しか湧かない。

この恐怖、早く取り払ってもらいたい。


















http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/376.html
記事 [政治・選挙・NHK295] 原発の建て替えまで踏み込んだ河野太郎氏 「変節」の背景に何が? 自民総裁選に出馬表明(東京新聞)
2024年8月26日 18時05分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/349781

自民党の河野太郎デジタル担当相(61)=衆院神奈川15区、9期=は26日、国会内で記者会見し、党総裁選(9月12日告示、27日投開票)に立候補する意向を正式に表明した。
河野氏は原発政策に関し、「今は電力を最大限供給するため、水素やアンモニア、核融合や、(原発の)リプレース(建て替え)なども選択肢としてある」と述べた。持論の「脱原発」を事実上封印した形だ。路線変更の背景には、派閥の影もちらつく。(宮尾幹成、長崎高大)

◆「原発再稼働しても電力供給が足らない」
河野氏が記者会見で配布した「日本を前に進めるための5本柱」と題する基本政策も「党改革・政治改革」「憲法改正」「外交・安保」「経済・地域活性化」「デジタル」「防災・危機管理」の6項目で、原子力政策に関する内容はなかった。
河野氏は「最近のデータセンター、生成AIを初めとする電力需要の急速な伸びで、これから電力需要は反転して増えてしまう。そうすると、再生可能エネルギーを今の2倍のペースで入れたとしても全く足らない。再稼働できる原子炉は再稼働しても、おそらく足らなくなってくる」と指摘。「今はまず電力の供給を最大限するために、(原発を含む)あらゆる技術に張っておかなければいけない」などと説明した。

◆石破茂氏の「原発ゼロに近づける」発言には…
一方、24日に総裁選に出馬表明した石破茂元幹事長は、原発について「ゼロに近づけていく努力を最大限にする。再生可能エネルギー、太陽光であり風力、小水力、そして地熱、こういう可能性を最大限引き出していくことによって、原発のウェイトは減らしていくことができる」と話している。
石破氏の発言について問われた河野氏は、「今の時点では残念ながら、再生可能エネルギーを倍のスピードで入れて、可能な原子炉を再稼働しても、まだ需要予測に至らない。そこは全方向に日本として張っておく必要がある」と繰り返した。

◆「脱原発」封印の陰に麻生太郎氏?
河野氏は麻生太郎氏が率いる麻生派に所属しているが、2021年の前回総裁選には麻生氏と折り合いが悪いとされる菅義偉首相(当時)の支援を得て立候補。河野氏とともに「小石河連合」と呼ばれた小泉進次郎元環境相、石破茂元幹事長も支えた。菅氏は今回、小泉氏を推しているとみられ、麻生氏は河野氏の出馬を了承した。
河野氏の「変節」について、麻生氏の理解を得るためとの見方が党内では強い。他派閥の中堅議員は「麻生さんが後ろ盾になってくれないと今回は難しい」と指摘した上で、「原発政策で意見をころころ変えるのはどうかと思う」と冷ややかに見る。
麻生派は、自民党の派閥が相次いで解散を決める中、現在も活動を続けている唯一の派閥。河野氏の記者会見には、麻生派の井上信治氏、武藤容治氏、牧島かれん氏、土田慎氏、英利アルフィヤ氏の5人が同席した。
派閥の支援を受けることについて記者会見で問われた河野氏は、「総裁選が終わった後の人事に派閥を介入させない、派閥が人事に携わらないという(党の)ガバナンスコードがきちんと守られるというところを確認するのが大事ではないか」と答えた。

◆「原発ゼロの会」の共同代表も務めたが…
かつての河野氏は、筋金入りの「脱原発」派とみられていた。
東京電力福島第1原発事故後の2012年3月、超党派の「原発ゼロの会」(現在は「原発ゼロ・再エネ100の会」)の設立発起人となり、安倍政権で初入閣するまで共同代表を務めた。自民党のエネルギー関係の部会で、原発の維持や推進を求める議員と激しく議論したり、出席した資源エネルギー庁幹部を叱責する場面も頻繁に見られた。
2014年5月には野党系の地方議員でつくる「東海第2原発の再稼働に反対する茨城県自治体議員連盟」に招かれて水戸市で講演し、自民党県連の抗議を受けたこともある。
東海第2原発の再稼働を主張してきた自民党の重鎮県議は、河野氏について「原子力を最初に誘致し、原子力を活用して盛り上げていこうという機運が強い県だから、いいイメージを持っていない議員が多い」と指摘。総裁選を控えた河野氏が「脱原発」を言わなくなったことについては、「理解できない。総裁になりたいからなのか。でも、それが信用できるかというと信用はできない」と突き放した。
2021年の前回総裁選で河野氏の選対幹部だった側近の秋本真利衆院議員(洋上風力発電事業を巡る汚職事件で起訴、自民党を離党)が著書「自民党発!『原発のない国へ』宣言」を出した際には、河野氏が「俺よりすごい、自民党一の『脱原発』男だ」との推薦文を寄せたこともある。

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http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/377.html
記事 [政治・選挙・NHK295] 「悪夢の民主党政権」本当の意味(植草一秀の『知られざる真実』)
「悪夢の民主党政権」本当の意味
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2024/08/post-5731e9.html
2024年8月26日 植草一秀の『知られざる真実』

日本の野党には二つの類型がある。

ひとつは革新野党。

55年体制で構築された自民政治を刷新する路線を取る。

もうひとつは守旧野党。

政権与党に参画していないが自民と類似する。

亜流与党である。

敗戦後にGHQが日本民主化を断行した。

民主化を主導したのはGHQのGS(民政局)。

一気呵成に日本民主化の核心を遂行した。

集大成は日本国憲法。

日本国憲法は1947年5月3日に施行された。

日本国憲法施行と同時に総選挙が実施され片山哲内閣が誕生した。

片山哲は社会党党首だった。

民主化日本の発足と同時に革新政権が生み出されたのである。

しかし、この1947年に米国の外交基本路線が転換した。

新たに中核に置かれたのは「ソ連封じ込め」。

これに連動して対日占領政策が大転換した。

民主化から非民主化=反共化に舵が切られた。

GHQの主導権はGSからG2(参謀2部)に移行した。

G2は日本の革新政権を潰しに向かった。

このなかで下山事件、松川事件、三鷹事件の国鉄三大怪事件が発生した。

すべてGHQが主導した事件であると考えられる。

共産党排撃の工作活動だった。

G2は日本の旧軍人を活用。

日本民主化は中止され、戦後民主化は「逆コース」に転じた。

その延長線上に現在がある。

1947年の総選挙が示すように、日本の革新勢力が一つにまとまれば、いつでも革新政権が誕生する。

その実例が2009年の鳩山内閣誕生だった。

米国は自民党と結託して「米国が支配する日本」を築き上げてきた。

しかし、2009年にこれを打破された。

これが日本支配者である米国と、その支配下にある自民にとっての「悪夢」なのだ。

「悪夢の民主党政権」の意味はこのことである。

二度とこの過ちを繰り返してはならない。

これが彼らの基本認識だ。

そのための方策が共産党攻撃である。

「共産党は怖い」というイメージを流布して、日本における革新勢力の連帯を潰す。

このことが実践されてきた。

しかし、次元は次の段階に移行している。

日本の二大政治勢力を自公と第二自公にする策略が張り巡らされている。

米国は「第三極」と称して、第二自公勢力の創設に力を注いできた。

「みんなの党」、「維新」、「希望の党」、「国民民主党」はすべて、この目標に沿う動きである。

2017年から2021年まで立憲民主党が革新勢力の旗頭になりかけたが、米国支配勢力はここにも工作の手を伸ばした。

立憲民主党を「革新野党共闘」から引きはがす工作が展開された。

2021年の衆院総選挙で立憲民主党が惨敗した理由は野党共闘を否定したことにある。

「野党共闘路線に傾いたから立憲民主党が負けた」という虚偽情報が流布されているが事実に反する。

2021年10月、枝野幸男氏が野党共闘を否定したために立憲民主党は惨敗したのである。

ところが、その後の立憲民主党代表には野党共闘路線をより強く否定する泉健太氏が就任し、2022年参院選でさらに大惨敗を喫した。

その延長線上に今回の立憲民主党代表選があるが、立候補者が泉健太氏、枝野幸男氏、野田佳彦氏ではお話にならない。

2012年に民主党を完全破壊したのが野田佳彦氏である。

野田佳彦氏を浮上させたのもメディアだ。

メディア情報誘導でA級戦犯の野田佳彦氏を再浮上させている。

その背景に、日本政治を自公と第二自公の二大政治勢力体制に移行させようとするCIAの目標が存在する。

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ぜひご高覧賜りたい。

http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/378.html

記事 [政治・選挙・NHK295] 小泉進次郎氏の能登被災地視察は自民総裁選への政治利用…意味不明の“新構文”「動き」連発(日刊ゲンダイ)

小泉進次郎氏の能登被災地視察は自民総裁選への政治利用…意味不明の“新構文”「動き」連発
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/359598
2024/08/26 日刊ゲンダイ


石川県輪島市の鹿磯漁港を視察する小泉進次郎元環境相(C)共同通信社


小泉進次郎元環境相は30日に出馬表明へ(C)日刊ゲンダイ


小泉進次郎元環境相は30日に出馬表明へ(C)日刊ゲンダイ

 妙なタイミングだ。自民党の総裁選に出馬予定の小泉進次郎元環境相が23日、能登地震の被災地である輪島市を視察した。

 元日の地震以降、視察は3回目。海岸の隆起などの被害状況や復旧工事の進捗を確認し、こう感想を語った。

「こうやって重機が動いているように、復旧の工事が動きだして生業の再生に向けて動きだしたことを感じることができて、そこはすごく明るい兆しと希望を感じる動きです」

 何を言いたいのかイマイチ判然としないが、やたら「動き」を多用しているあたり、“進次郎構文”の新たな可能性を感じる動きだ。

 自身の初当選と同日にあたる30日に総裁選出馬を表明する予定。注目を集める中、被災地への視察とは「政治利用」のそしりは免れまい。

 かつて復興政務官だった2014年3月、国会で3.11からの復興について聞かれた際、「(復興が)進んだ点をアピールしなければいけない立場にある」としつつ、「声高に『進んだ進んだ』と叫ぶほど、そういった(仮設住宅に暮らす)境遇にある皆さんとの心の距離が広がるんではないかという思いがある」と吐露していた。

 能登では先月時点で8000人超が応急仮設住宅に暮らす。被災者との「心の距離」が広がる動きは感じていないのか。

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 バツグンの知名度を誇る進次郎氏の総裁選出馬表明は、後出しジャンケンになるとみられていたが、その思惑を揺るがしたのは「コバホーク」こと小林鷹之前経済安保相の存在。●関連記事『【もっと読む】大慌てで自民総裁選出馬へ…“後出しジャンケン”やめた小泉進次郎の思惑と「アキレス腱」』では詳報している。

http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/379.html

記事 [政治・選挙・NHK295] 店に行ってもコメが買えない! 日本の食糧危機はすぐそこ 気づいたときには後の祭り 輸入に依存し国内農家潰したツケ到来(長周新聞)
店に行ってもコメが買えない! 日本の食糧危機はすぐそこ 気づいたときには後の祭り 輸入に依存し国内農家潰したツケ到来
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/31495
2024年8月22日 長周新聞



コメが残りわずかとなっているスーパーの商品棚

 過剰、過剰といわれてきたコメが突如、「足りない」と騒ぎになっている。今年の新米がほぼ出そろう10月までまだ2カ月近くあるが、6月末時点の民間在庫量は前年に比べて41万d少ない156万dと過去最低水準を記録しており、商品棚がほぼ空になったまま「いつ入荷するかわからない」というスーパーも出ている。流通関係者らはコメ確保に奔走しているが、「まったくない」という。品薄にともなって価格も上昇中だ。政府は「昨夏の猛暑による不作」を理由にしているが、根本的な要因は田んぼを潰し続け、農家の赤字を放置してきた結果、高齢化で離農が加速していることにある。さらに各地で毎年起こる災害がそれに拍車をかけている。だが、現状を踏まえてなお政府は、「需要は減少する」として来年度も生産量を増やさない姿勢を示している。「今年がもし不作なら来年はコメ騒動だ」という現場の危機感とは乖離した悠長さだ。

いびつな食料輸入依存体質への警告

 西日本のある大手ディスカウントストアでは、コメの商品棚がほぼ空の状態が続いている。「現在、お米の原料不足により新米まで原料が保てない商品がございます」として、ほとんどの商品で「1家族1点まで」と販売制限をかけている。それでも5`袋から2`袋にいたるまで、ほとんどが売り切れ状態だ。1`700円近くする商品や、無洗米など少し高めの2`袋がわずかにあるだけ。この店舗では週に2回入荷する予定だが、入荷日に本当に商品が入ってくるかどうかは不明だという。

 別の大手ディスカウントストアでは、入荷の見通しがなく、コメの販売はほぼなくなっている。コメのコーナーには、白米の2`袋が数袋残っているだけで、もち米や玄米などの売り場になっている。西日本で大手のスーパーの店頭でも並んでいる商品はごくわずか。空いた商品棚にパックご飯をずらりと並べていた。ある消費者は、コメを購入したくて店員に入荷時期を尋ねると、「注文しても入荷しない状態で、いつ回復するかわからない」という返答だったと話していた。このスーパーでは10`袋は取扱いが中止になっているという。

 日頃の取引状況もあるのか、チェーンによっては西日本産米の5`袋が入荷されているところもあり、ばらつきはあるものの多くの店頭で品薄状態になっている。「お米の原料不足のため、供給がひっ迫しております」「欠品・品薄が発生しております」「供給状態が不安定なため、商品が入荷しない場合があります」など、各店舗のコメ売り場にはポップが並び、消費者にコメ不足を訴えている。

 小・中学校はまだ夏休みで、家に子どもたちがいる分、いつも以上に食料が必要な時期。「今日はコメを買って帰ろうと思っていたが、2`を買ってもすぐになくなるし、どうしようか…」とわずかに残った商品の前で悩む家族連れや、「コメがない!!」と驚いてしばし立ち止まる家族連れの姿も見られる。

 価格も上昇している。スーパーでいつも同じ銘柄を購入しているという女性によれば、以前は5`で1980円ほどだったものが2080円になり、2800円まで上がっていたという。別の男性も「いつも買う5`袋は1500円くらいだったのが、2700円になっている。“政治改革”などといっているが、まずみんなの生活を何とかしてほしい」と怒りを込めた。

新米の価格高騰は必至 流通業界も戦々恐々

 コメ不足がニュースになり始めたのは5月以降だが、コメ流通業界では、今年に入ったころから不足が騒がれ始めていたという。

 業界関係者は「すべての銘柄でコメがない。コシヒカリの新米が本格的に出始めるのがあと1カ月後くらいで、ヒノヒカリになると11月頃になる。コメがひっ迫しているから売上を上げるチャンスだが、売る物がない。主要なお得意さんの食堂やホテル、施設、病院などに納品する在庫を切らしてしまうと、取引を打ち切られてしまうので、スーパーや米穀店からの注文を半分くらい断り、新米が出そろって品不足が解消されるまでは在庫を温存するようにしている」と話した。

 「今、在庫を持っている農家があれば業者は言い値で買いとる」というほど、現場では不足感が増している。しかしコメ不足を報じるニュースの最後には必ず政府の「ひっ迫していない」というコメントがついている。「ひっ迫していないから政府備蓄米は放出しない」という意味だ。あまりにも乖離した感覚に、現場からは「その情報はどこから得たのか?」「ということは、価格引き上げのためにだれかが持っているということなのか?」との声も上がっている。

 こうしたなかで農家の元には「コメがないか」という問い合わせがあいついでいる。ある農家は「ここ最近、知人から連絡が入ってくるのは、すべて“コメはないか”という話ばかりだ。合計すると50袋(1袋30`)近くになる。直売をしているので保管している量は決まっている。この時期になるとないものはない。これでまた、緊急輸入のような話にならないかと心配だ」と話した。

 全国で最初に出回る宮崎県産の新米が盆前に出始めたが、その時点で1俵(60`)8000円値上がりしていたという。宮崎県産の新米は1俵2万4000〜2万5000円で取引されており、山口県産の新米も1俵2万円をこえると見込まれている。

 業界関係者の一人は、「新米がすべて出そろう10月になれば物がない状態は一応解消されるが、新米は10`当り1000円以上上がる見込みだ。これからはスーパーの店頭でも10`5000円が当たり前の世界になって、特売で2980円などはなくなると見ている」と話した。

 米穀店の店主も「銘柄などにこだわっていないので、今のところなんとか注文分は入荷しているが、宮崎の新米は高すぎて仕入れていない。新米は2万円前後の取引になりそうだという。コメ屋としては新米が出てきた後が怖い。値上げするしかないが、お客さんにどれだけ価格転嫁できるだろうかと不安だ」と話した。

米国産米への置換えも 増産せず輸入増やす政府

 この状況にあっても政府には生産強化に舵を切る姿勢も、政府備蓄を強化する姿勢もみられない。

 それどころか昨年度の補正予算では「田んぼを潰せば手切れ金を出す」(1回限り)という政策を打ち出し、それに750億円を計上している。まだまだ田んぼを潰すつもりだ。そのなかで見逃せない動きとして指摘されているのが、国産米の不足に乗じてカリフォルニア米への置き換えが進んでいることだ。

 コメ流通関係者は「大手の総菜企業がカリフォルニア米を使い始めたということだ。円安なので価格はあまり変わらないが、味自体は悪くない。大手が使い始めれば追随してそちらに流れていく企業も出てくるのではないか」と指摘した。米菓(あられ・せんべい)の原料不足で業界団体がMA(ミニマム・アクセス)米を低価格で安定的に供給するよう要望する動きもあり、米国産うるち米の成約状況は、23年4〜6月の103dから、24年4〜6月は2839dへと28倍も拡大している。相当量がMA米に切り替わっていることを示している。

 それはすでにスーパーの店頭にも流入している。70代の女性は「先日、コメを探して数店舗回ったが、国産は5`3000円をこえる物ばかりなので手が出ず、あるスーパーでカリフォルニア米が4`1680円で売っているのを見つけて2袋買った」と話した。4`1680円ということは、5`に換算すると2100円。国産米が5`で3000円前後の水準になっているなかで割安だ。近年、米国産米の輸入価格は国産米より高値になっている。それが国産より低価格で販売されているのはなぜか? である。

 農業関係者の一人は、「これまで買い叩かれてきた国産米の価格水準が上がることは、赤字で農業を続けてきた農家にとって喜ぶべきことだが、もし輸入米がそれにとってかわれば、ますます国内農業が疲弊していく」と警戒感を語っていた。

 そもそも、「日本人のコメ離れ」「過剰在庫」を騒いで国内の作付け面積を減らしながら、MA米77万d(玄米換算)を毎年輸入し続けてきたのが日本政府だ。本来は低関税を適用して、輸出機会を保障するというだけの約束であり、他国は全量買い入れなどしていないが、アメリカの要求に従って日本政府だけが「最低輸入義務」だといい張って全量買い続けている。そして、入札にかけてもだれも買わないので飼料用に回し、差損を埋めるために毎年税金を700億円も投入してきた。

 1993年の凶作を契機に、国内増産に向かうのではなく輸入が自由化されていった経験を踏まえて、この動きへの警戒感は高まっている。

農業経営体20年で半減 コメ不足の要因とは


稲刈りをする農家。農機具から肥料まで生産資材が高騰しても価格転嫁できず、高齢化も加わって各地で稲作農家の戸数は減少している。

 今回のコメ不足の原因として、昨夏の猛暑でコメどころの新潟や福島をはじめ東北・北陸地方で高温障害が発生し、小粒になるなど収量・品質が低下したことがあげられている。

 業界関係者によると、とくに業務用に回る価格帯の安い「中米」の量が少なかったという。その一方でコロナ禍が明けて訪日外国人が押し寄せており、東京や大阪などの都市部の外食産業でインバウンド需要が増大したこと、すべての食品が値上がりするなかで比較的上昇幅が緩やかだったコメを食べる人が日本国内で増えていることも要因の一つとされている。令和5年産だけを見れば、主食用生産量661万dに対して需要量は702万d。41万d足りなかったことになる。

 しかし、一番の原因は減反を続けてきて、もともとの作付けが少ないことであり、加えて農家の高齢化で年々、生産者が減少していること、というのはコメにかかわる人たちの共通認識だ。

 今になって「不作だった」と猛暑のせいにしているが、令和5(2023)年産米の作況指数は101で平年並みだった。猛暑の影響があったにせよ、とりたてて不作だったわけではない。ただ、農水省が人口減少などを理由に、主食用米から飼料用米などに作付け転換を進めており、そのせいで23年産の主食用米の収穫量が過去最低レベルだったのは確かだ。生産縮小策に加え高齢化で生産量が急減していくなかで、わずかな需要の増加、というよりコロナ以前の規模に需要が戻ったことで混乱が生じたといえる。

 70年代から「コメが過剰だ」「米価を安定させるためだ」といって減反政策を続け、2018年に減反政策を終了した後も、主食用米から他の作物への転作を推進し続けており、水稲の作付け面積は1961年の約313万fから、2023年には約153万fと、60年前と比べると2分の1まで減少している【グラフ@参照】。



 農業従事者の平均年齢はすでに68・7歳(2023年)。農業経営体数は2005年の約200万経営体から、2024年には約88万経営体へと半分以下にまで減少【グラフA参照】しており、生産基盤崩壊のスピードが加速している。

 主食のコメは食料安全保障の要であり、戦後すぐには、食管法の下で政府が農家から生産費に見合う価格で買い上げ、消費者には安い価格で販売するという仕組みをとっていた。その当時を知る農家に聞くと「1俵1万8000円から2万円だった」という。

 しかし、93年の「冷夏による凶作」を理由にした韓国やタイからの緊急輸入、同年のガット・ウルグアイラウンドでのコメ輸入自由化をへて、95年に食管法を廃止し、米価に市場原理を導入した結果、米価の下落が続き、ひどいときには1俵8000円程度という年も発生し、そのたびに農家が廃業していった。

 「農業は手厚く保護され過ぎている」という言説とともに、長年にわたる農家の苦境が放置され続けてきたところに、コロナ禍やウクライナ戦争という世界的な状況の変化が襲い、農業の実態はいよいよ厳しくなっている。電気代、肥料・農薬、運賃などすべてが値上がりしており、稲作でみると、2020年では稲作農家が1年働いて手元に残る所得は1戸平均で17・9万円、時給は181円だった。それが2021年、22年は所得は1万円、時給10円というところまで来ている。国民の命の根幹を支える主食でありながら、政府による価格保障もないなかで、多くの農家は赤字状態でも代々受け継がれてきた農地を荒らさないために、なんとか踏ん張っている状態だ。

 今年、コメの作付けをやめた高齢農家も多く、「地域内で元気な農家が一手に引き受けているが、それも70〜80代。1人で請け負うには限界の面積だ。あと1人でもやめたら山に返すほかない」「今、地域内の農家数を考えると、あと五年もすれば数人しか残らないのが目に見えている。コメの自給率を維持し続けることができるとは思えない」といった声が各地で語られている。

 それに追い打ちをかけているのが、毎年起こる豪雨や台風、地震による災害だ。農地の災害復旧は、あくまで私有財産ということで、補助は出るが自己負担が発生するため、「今からお金をかけてまで農業を続けられない」と高齢農家が農業をやめていく契機になっている。災害復旧に時間がかかり過ぎ、1年後にようやく本格的な復旧工事が始まるという状態のなかで諦める農家も出ている。

 ある農家は、「毎年どこかで災害が起こるが、復旧にお金と時間がかかる問題はどこも同じではないか。もともと農業は赤字で、最近は肥料や農薬が値上がりし、食管法の時代と比べると感覚的に倍近くになっていると思う。それなのにコメ代は1俵1万2000〜1万3000円と昔より低い。そんな状態で続けてきた高齢農家が今から資金を投じてまで復旧できない。今年はコメどころの山形県などが被災しているが、こうして全国で農家がやめていくのを放置すれば、いざというとき本当に食べる物がない日本になるのではないか」と語っている。

 世界的には食料危機が現実的なものになっている。中国などは有事に備えて政府備蓄を増大すべく世界の穀物を買い占めている。この深刻な状況のなかで、農家への支援策は出さずに潰れるに任せ、有事には罰則付きで強制的に増産させるとしているが、そのころには生産する農家がいないのが現実だ。

 今回のコメ不足は、現在の日本がわずかな変化で食料の供給が滞る危うい状態にあることを改めて浮き彫りにするものとなっている。

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