「宗教迫害」アピールを続ける統一教会は要警戒だ 鈴木エイト カルトな金曜日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/358541
2024/08/02 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
宗教法人にあってはならない法令違反を行ってきたにもかかわらず…(C)日刊ゲンダイ
統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への解散命令請求をめぐり、東京地裁において非公開での審理が続く中、教団サイドは解散命令を逃れようと、さまざまな動きを見せている。
全国各地で信者がデモや街頭演説を行っているほか、「基本的人権と信教の自由を守る」などと銘打った集会を開き、開催地域周辺の宗教団体へ参加を呼び掛けるポスティングや訪問も行われている。集会では「宗教への偏見による宗教差別と迫害」に対する抗議文を採択。首相官邸や文科省に届けているという。
教団は7月中旬以降、全国の宗教団体に不審なアンケート用紙を送り付けている。アンケートに添えられた田中富広会長の手紙には、こんな文面がある。
〈さて、ご存知のように、安倍首相殺害事件の後、当法人は批判的報道や歪められた報道による激しい攻撃にさらされました〉
報道によって教団側が被害を受けたとの前提である。
アンケートの内容にも教団の意図が透けて見える。解散命令や、解散要件の法令違反に民法も含まれる解釈についてどう思うか、といった設問のほか、解散命令とは無関係なマスコミ報道や、拉致監禁による強制改宗被害をアピールする設問がある。
同封資料を読んで感じたことを書く欄もある。資料といっても、教団系の「世界日報」の記事や教団フロント団体が発行した学者などのお手盛りコメントが載った冊子、あるいは教団顧問弁護士が書いた解散命令に反対する冊子といった偏りのあるものばかりだ。
宗教社会学者の塚田穂高氏(文教大学)はX(旧ツイッター)でこう指摘している。
〈回答結果に影響を与える可能性のある資料とともに質問紙を送るなんて、このアンケートの結果は信頼できないものになりますと、あらかじめ言っているようなもの〉
アンケートには使用目的についての説明すらない。
このほか、信者が寺や教会を訪問して解散に反対する署名への賛同を求めているとの情報もある。
宗教法人にあるまじき法令違反を行ってきた統一教会に対する解散命令請求にもかかわらず、教団側は宗教界全体を巻き込んで「国による宗教迫害」という構図に持っていきたいのだろう。
各宗教団体はこの手の動きに利用されないよう注意すべきだ。
鈴木エイト ジャーナリスト
1968年生まれ。日大卒。日本ペンクラブ会員。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」主筆。日本脱カルト協会理事。「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」「『山上徹也』とは何者だったのか」などの著書のほか、共著・編著多数。
http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/210.html