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2024年7月29日02時20分 〜
記事 [政治・選挙・NHK295] 日本はなぜここまでおかしくなったのか? そのシンプルな理由 適菜収 だから何度も言ったのに(BEST TiMES)


日本はなぜここまでおかしくなったのか? そのシンプルな理由【適菜収】
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/3025593/
2024.07.25 適菜 収 だから何度も言ったのに 第68回 BEST TiMES

国家の根幹が完全に壊れた。「法律では禁止されていない」と言いながら、グレーゾーンを利用して汚いことを続ける連中が、社会の第一線でやりたい放題やっている。典型的なのは維新の会だ。ついには愛知県で裁判所によるガサ入れが発生。兵庫県知事の座にしがみつくパワハラの「おねだり野郎」に関しては、兵庫県警も動き出した。新刊『自民党の大罪』(祥伝社新書)で「日本の悪の構造」に言及した作家・適菜収氏の「だから何度も言ったのに」第68回。


兵庫県知事・斎藤元彦

■「日本ってこんな国だったっけ?」

 最近、かなり疲れてきた。毎日、暑いし。かといって絶望するわけでもない。今さら絶望するほど、おぼこでもない。日本が完全に狂い始めたのは、正常な人間なら誰もが気づいているが、小手先の対応でなんとかなるようなものでもない。

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 ぬるい浴槽のある銭湯によく行くが、変な客もいて「日本ってこんな国だったっけ?」と思うことが多い。浴槽で顔や頭を洗ったり、タオルを入れたり、ひどいのになると濡れたタオルを絞ったりする。子供が浴槽で泳いだり、潜ったりしているのに、目の前にいる親は注意をしないどころか一緒になって遊んでいる。脱衣所どころか浴槽でスマホを使っている奴もいた。老人のマナーもひどい。あまりにもひどい奴には注意したこともあるが、そいつが仮に反省しても、次から次へと変な客が湧いてくるし、逆切れされるケースもあるので面倒臭い。かといって、見て見ないフリをするのも精神的に疲れる。

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 脱衣所に店員の若者がいたので、「顔や髪の毛を浴槽につけるな、タオルを浴槽に入れるな、浴槽で泳ぐなという注意書きの張り紙をしたほうがいいんじゃないかな」と言うと、その後、新しい張り紙があった。その店員の対応は素晴らしいが、問題はその後である。たしかに浴槽で泳ぐ子供は減った気がする。気になったのは、父親が子供に「ここで泳いではだめだよ。あそこの張り紙に書いてあるだろ」と注意していたこと。

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 モラル、公共、マナーの問題ではなく、「張り紙に書いてあるから」という理由で禁止するのは、逆に言えば、「張り紙に書いてないことはやってもいい」という発想につながる。既視感があったが、「法律で禁止されているわけではない」と言いながら、グレーゾーンを利用して汚いことを続ける連中だ。こうした連中の台頭も、国の衰退と密接な関係がある。

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 4月30日、日本維新の会の愛知県総支部がおかれるビルに、裁判所の「ガサ」が入った。ガサ入れを行うのは基本的に警察や検察であり、裁判所によるガサ入れは異例だという(「現代ビジネス」)。これは衆議院議員の岬麻紀のパワハラ問題を巡って、元維新の市議が、愛知維新の会代表の浦野靖人を訴えた件に関連するもの。岬といえば、選挙公報に虚偽の経歴を記載したいわくつきの人物だが、市議のもとには、岬の秘書、運転手らから「パワハラ」「公私混同」「机をたたき相手を追い込む」といった苦情が寄せられたという。この市議も岬から土下座を強要されたという。

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 都合の悪い指摘をされると、気が狂ったかのように怒鳴りだし、机をバンバン叩くような奴はたまにいる。昔知り合いにそういう人がいたが(某大学院教授)、あまりにもアホなので縁を切った。

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 維新のパワハラと言えば、「おねだり」で話題になった兵庫県知事の斎藤元彦だ。吉村洋文の元部下で、選挙では維新が推薦した。

 おねだりというより「たかり」。コーヒーメーカー、トースター、ロードバイク、ゴルフのクラブ、スポーツウェア、ワインなどを受け取ったとされるが、他にも多数の疑惑が噴出。側近の県幹部職員4人が選挙期間前から事前運動を行い論功行賞で昇任したとか、プロ野球の阪神とオリックスの優勝を祝し計画したパレードに関し、信用金庫の補助金を増額し、キックバックで寄付させた疑惑、政治資金パーティーの券を、県補助金の減額をちらつかせて関係団体を脅して買わせた疑惑……。典型的な維新しぐさ。

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 しかし、「おねだり」って発想が古すぎる。日活ロマンポルノかよ。


小沢一郎

■小沢一郎の「大罪」

 自民党の堀井学が選挙区内の有権者に秘書らを通じて香典を配った件。堀井は所属していた安倍派から5年間で計2196万円の還流を受けたが、政治資金収支報告書に収入として記載していなかった。その裏金が香典の原資になっていた可能性があり、悪質性が高いと東京地検特捜部は判断し捜査を開始したという。

 なんだかよくわからない。裏金の還流自体が犯罪であり、悪質なのだから。トカゲの尻尾切りというやつですかね。

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《小沢一郎『日本改造計画』 今こそ読みたい日本改革構想 牧原出/東京大学先端科学技術研究センター教授》(「日経BOOKプラス」)というネット記事を読んだ。リードによると、「日本の政治に絶望している人に読んでほしい本」とのこと。勘弁してほしい。政治に対する絶望を生み出したが小沢ではないか。

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 牧原は言う。

《冷戦という国際環境の下で作られた戦後日本をどう変えていくべきか。小沢は冷戦終結を明治維新、第2次世界大戦に続く変革期と捉え、日本を「普通の国」にするための「第3の改革」を訴えました》

《米国人は自分で自分の身を守ろうとするのに対し、日本人は自分の身さえ国や規制によって守ってもらおうとする。だから、小沢は日本人には「自己責任」、地方には「自立」、政治では同調圧力に負けない「強いリーダーシップ」が大事だと説き、大久保利通、伊藤博文、原敬、吉田茂といったリーダーの名前を挙げます》

《政治家として日本の将来をしっかりと見据えよう、新しい日本の政治ビジョンをきちんと作り上げようという気迫が伝わります。その背後には、冷戦終結後、世界中で起きた改革の波がありました。単に社会主義国が崩壊しただけでなく、諸外国でも、例えば司法権の強化、憲法における人権擁護の強化、地方分権化、さまざまな民主化や透明化の動きがありました》

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 では、その小沢の「新しい日本の政治ビジョン」とやらは何を生み出したのか。「司法権の強化」「憲法における人権擁護の強化」「透明化」が進行したのか。まったくの逆である。

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 私事で恐縮だが、この度、『自民党の大罪』(祥伝社新書)を上梓した。そこでは『日本改造計画』が日本凋落の大元にあることも説明した。新自由主義的な経済改革、首相官邸機能の強化、軍事も含めた積極的な国際貢献、政権交代のある二大政党制を可能とする政治改革(小選挙区制の導入)……。小沢はこれらを「民主主義的革命」と呼んだ。熟議や合意形成を重視した保守政治をぶち壊し、権力を集中させ、一気に日本を「改造」しようとしたわけだ。この流れは、小泉純一郎政権、民主党政権、安倍晋三政権を経て、日本を終焉に追い込んだ。

文:適菜収

適菜 収 てきな おさむ
1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/180.html

記事 [政治・選挙・NHK295] 岸田首相は自民党総裁再選に内心ビクビク?「落選危機議員」支持取り付け画策の姑息(日刊ゲンダイ)

岸田首相は自民党総裁再選に内心ビクビク?「落選危機議員」支持取り付け画策の姑息
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/358269
2024/07/29 日刊ゲンダイ


策を巡らせている(C)日刊ゲンダイ

 9月末の自民党総裁選での再選に向け、ヤル気満々だとされる岸田首相だが、不安があるようだ。

 先週26日の総務会で総裁選の選挙管理委員会のメンバー11人が決定。総裁公選規程によると、選管は総裁が指名した党所属国会議員で構成され、中立性の観点からメンバーは総裁選候補の推薦人にはなれない。今回は無派閥が5人で安倍派3人、麻生、茂木、二階各派から1人ずつが選ばれた。一方、岸田派から誰一人起用されなかったことが、物議を醸している。

「岸田派から選管メンバーに入れれば、総理はその分だけ推薦人を確保できなくなります。自派からの起用を避けたのは、推薦人確保に不安があるからではないか、と臆測を呼んでいる。今回は候補者が乱立して推薦人を集めづらくなる恐れがあるため、事前に手を打ったのではとみられているのです」(官邸事情通)

「解散後ろ倒し」を条件に…

 さらに、岸田首相は議員票を獲得するための奇策も検討しているそうだ。総裁再選後、「来年10月末の衆院議員任期満了ギリギリまで解散しない」と約束することで、次期衆院選で落選危機にある議員の支持を取り付ける戦略である。

「普通は、世間の注目が集まる総裁選直後に解散総選挙に打って出るのがセオリーです。しかし、裏金づくりに手を染めていた安倍派議員は少しでもほとぼりが冷めるまでの期間が欲しい。衆院選を後ろ倒しにして時間を置いてもらいたいのが本音で『しばらくは解散しない』という総理の提案は願ってもない好条件。総理としては、そうした心理を逆手にとって、議員の支持を取り付けようと画策しているわけです」(永田町関係者)

 実際、策略が効いたのか「岸田支援」を打ち出している安倍派議員がいるという。

「党内から岸田さんの退陣論が続出する中、ある安倍派議員が地元の会合で『今回の総裁選は岸田さんを支持する』と明言し、支援者は困惑。その議員は衆院選で毎回苦戦しているため、地元で『解散後ろ倒しを条件に総理と握ったのでは』と噂されています」(同前)

 岸田首相としては、そこまでしないと再選は厳しいわけか。今後、裏金議員がこぞって岸田支援に流れるかもしれない。

  ◇  ◇  ◇

 ●関連記事『【もっと読む】語るに落ちる岸田首相の最側近…講演で堂々と語っていた自民党のインチキ経済政策』では、1年前に官邸を去ったはずが、以前にも増して黒光りする岸田首相最側近・木原氏の発言をもとに“自民党のインチキ政策”について詳報している。

http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/181.html

記事 [政治・選挙・NHK295] 日本経済低迷と株価乱高下(植草一秀の『知られざる真実』)
日本経済低迷と株価乱高下
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2024/07/post-a828a0.html
2024年7月29日 植草一秀の『知られざる真実』

ウクライナやパレスチナで戦乱が続き、日本では酷暑と水災害が国土を覆い尽くすなかでパリ五輪が開催されている。

パレスチナのみならずイスラエルやウクライナも五輪に招待されているのにロシアだけが排除されている。

平和の祭典と言いながら政治と打算の産物でしかない側面が浮かび上がる。

柔道の角田夏実さんが日本人として夏季五輪500個目のメダルを金メダルで獲得すると、岸田首相が祝福の電話をかけ、これをNHKが報道する。

五輪の政治利用そのもの。

スポーツの醍醐味を損ねる興醒めな演出。

五輪は平和の祭典、スポーツの祭典で国威発揚の場でも政治利用の場でもない。

国ごとの獲得メダル数競争は五輪精神に反するもの。

五輪に力を注ぐ前に戦争を終結することに力を注ぐべきだ。

JTB調査によると本年の夏の旅行者数は昨年比減少の見込みだという。

コロナ統制が解除されて2年目の夏。

観光が活発化しておかしくない状況だが、活発なのは外国人の訪日だけで日本国民の消費活動は振るわない。

史上空前の日本円暴落で海外旅行は高嶺の花になった。

各地は訪日観光客で溢れ返るが訪日の最大の原因は日本円暴落である。

観光業者は潤うが一般市民は過剰な訪日観光客の影響で生活に支障を来している。

岸田内閣は年初の能登半島地震後に「北陸応援割」と銘打った旅行への利益供与策を実施したが、もっとも被害を受けた能登半島の観光地は除外されたまま。

倒壊家屋は放置され、いまだに水道すら復旧していない家庭が多数存在する。

「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」さえ守られていない。

水族館を再開するよりも被災地住民の生活を回復させることが優先されるべきである。

酪農などの一次産業が崩壊することに対する公的支援も十分に施されているとは言えない。

こうしたなかで株式市場で株価乱高下が観察されている。

私は、昨年初に

『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社)


https://x.gd/8MnQp

本年初に

『資本主義の断末魔』(ビジネス社)


https://x.gd/xIij4

を上梓した。

昨年年初、日経平均株価は2万5000円台だったが、金融波乱を乗り越えて3万6000円に上昇するとの予測を表紙に明記した。

予測通り、日経平均株価は本年1月に3万6000円に到達した。

本年初の『資本主義の断末魔』では、日経平均株価の史上最高値更新、4万円達成を予測したが、あっさり3月に実現した。

経済金融市場分析レポートである会員制レポート
『金利・為替・株価特報』=TRIレポート
https://uekusa-tri.co.jp/report-guide/

を月に2回発行して金融市場変動予測を提示しているが、このレポートでは3月以降、日経平均株価が38000円から41000円のボックス相場を軸とする変動に移行するとの予測を示してきた。

このなかで、日経平均は5月30日37617円から7月11日42426円まで1ヵ月強で4809円の急騰。


※チャート、クリック拡大

この点について7月16日発行のレポートで、

「日経平均は5月30日37617円から7月11日42426円まで1ヵ月強で4809円の急騰を演じたため、スピードに対する調整が入る
可能性を否定できない。7月中旬以降の株価調整圧力に警戒が求められる。」

と記述した。

7月30−31日に日銀政策決定会合が開かれ、ここで日銀政策の修正が決定される可能性があり、その思惑が広がるために7月後半に日本株価が下落する可能性が高いことを予測したものだった。

このことは6月25日開催のTRI政経塾でも明言した。

「日銀は政策修正すべきでない」

「日本株価は暴落する」

との主張が散見されるが、いずれも妥当でないと思われる。

日銀の最大責務は物価安定。

そのために、適切な政策修正を断行するべきである。

株価の行き過ぎたスピードでの上昇には当然のことながら自律修正が生じるが、この変化は想定の範囲内のもの。

企業集積動向から得られる主要株価指標において日本株価が理論値からかけ離れた高値を形成しているとは言えない。

冷静に金融市場変動を解析する必要がある。

気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が販売開始になった。

『沈む日本 4つの大罪
経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!』
(ビジネス社)


https://x.gd/3proI

ぜひご高覧賜りたい。

http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/182.html

記事 [政治・選挙・NHK295] 安倍派会計責任者から不記載中止の進言を受けた幹部は誰か…マスコミは真相解明を諦めるな 特別寄稿(日刊ゲンダイ)
安倍派会計責任者から不記載中止の進言を受けた幹部は誰か…マスコミは真相解明を諦めるな 特別寄稿
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/358250
2024/07/28 日刊ゲンダイ


堀井学議員も元安倍派(C)日刊ゲンダイ

 事件は「生もの」。とはいえ、昨今の事件の「足の早さ」は驚くばかりだ。ついこの間まで世間を騒がせていた自民党の裏金事件である。18日には、安倍派の裏金議員のひとり、堀井学衆院議員が裏金捜査の中で判明した公職選挙法違反(有権者への違法な香典提供など)容疑で東京地検特捜部から議員事務所の捜索を受け、大々的に報道されたが、本筋の裏金事件報道はすでに「過去のできごと」扱い。都議選で自民党が2勝6敗と惨敗したように、裏金問題に対する市民の怒りは深い。簡単に終わらせていいはずがない。

 安倍派の幹部政治家が不起訴となり一身に罪を背負う形となった同派の「金庫番」、松本淳一郎被告の5月10日の初公判。検察側が冒頭陳述で真相の一端を明らかにするのではないかとの期待は見事に裏切られた。

 起訴状を補足説明するだけの木で鼻をくくった内容。関与した政治家名や事件の構造的な背景、誰がいつ、何のために始めたのか、22年8月の還流復活の経緯などは一切、明らかにしなかった。

 もっとも、起訴事実の立証に不必要な捜査情報の開示をしないのは検察の伝統。まして国会開会中なら一層、不訴追議員のスキャンダル情報で審議を止めてはならないという忖度が働く。金丸信・元自民党副総裁の5憶円闇献金事件など過去の政治家事件でも同様の検察側の忖度があったことは、上梓したばかりの『自民党と裏金 捜査秘話』(日刊現代/講談社)の中でも指摘した通りだ。

 さすがに、初公判を受けて読売新聞の社説(11日)は「被告は法廷の場で真相を語らねばならない」と求めた。

 それが背中を押したか、自民提出の政治資金法改正案の強行採決が行われた6月18日に開かれた第2回公判で、松本氏は弁護団の質問に対し、22年8月の還流再開は「ある幹部から求められ、8月の幹部会議で継続が決まった」と証言した。

 政治倫理審査会や会見で同様の説明をしたのは安倍派座長だった塩谷立・元文部科学相だけ。下村博文・元文科相、西村康稔・前経済産業相、世耕弘成・前党参院幹事長の3議員は「8月の会議では結論が出なかった」と答えており、説明の食い違いが浮き彫りになった。

各紙は地味な扱い、フォロー報道もなし


安倍派の「金庫番」だった松本淳一郎被告(C)日刊ゲンダイ

 しかし、規正法改正案の強行採決で予定通り国会閉会の流れとなったためか、各社の扱いは概して地味。裏金事件をリードしてきた朝日の扱いは社会面2段だった。

 読売はその幹部は下村氏と実名で報じ、共同通信はこれに先立つ6月はじめに下村氏が松本氏に再開を要求したと派閥関係者が特捜部に供述していたと報じていたが、下村氏は否定した。

 エポックは国会閉会後の7月9日の第3回公判の証言だった。

 松本被告は、検察側から政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分を政治資金収支報告書に記載しない運用をやめようと提案したことはなかったかと問われ「19年以降の派閥幹部に(やめた方いいと)何度か話したことがある」と述べたのだ。

 安倍派の幹部政治家が、松本被告から進言を受け同派が政治資金規正法違反を犯しているとの認識を持った可能性を示す重要証言だった。しかし、検察側はその幹部の氏名や反応を尋ねることはなく、詳しい経緯は明らかにならなかった。

 立件対象にならなくても重大な政治スキャンダルだ。しかし、各紙の扱いは朝日が社会面2段など総じて地味な扱い。フォローの報道もいまのところない。

 検察側はどういう意図でその質問をし、松本証言を引き出したのか――。国会閉幕で審議に影響がなくなったため、真相の一端を明かすヒントを提供した、と考えるのはうがちすぎか。

 松本証言を素直に受け取れば、状況から見て安倍派会長だった細田博之、安倍晋三両氏のいずれかとの見方もできるではないか、ということになるが、いかんせん2人とも故人。検察も追及のしようがない。

 ただ、いきさつはどうあれ、国民が知りたい事実のひとつであることは間違いない。マスコミ各紙は是非とも真相を掘り起こしてほしい。


村山治 ジャーナリスト

1950年、徳島県生まれ。1973年に早稲田大学政治経済学部を卒業し毎日新聞社入社。1989年の新聞協会賞を受賞した連載企画「政治家とカネ」取材班。1991年に朝日新聞社入社。東京社会部記者として金丸事件、ゼネコン汚職事件、大蔵省接待汚職事件などの大型経済事件報道に携わる。2017年からフリー。著書に『特捜検察vs.金融権力』(朝日新聞社)、『検察 破綻した捜査モデル』(新潮新書)、『安倍・菅政権vs.検察庁 暗闘のクロニクル』(文藝春秋)『工藤會事件』(新潮社)など。最新刊は『自民党と裏金 捜査秘話』(日刊現代/講談社)

http://www.asyura2.com/24/senkyo295/msg/183.html

   

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