「紅麹問題」で会長&社長辞任も脱一族経営は見せかけ…小林製薬の再建が厳しいこれだけの理由
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2024/07/25 日刊ゲンダイ
辞任をしても自社株12.46%を保有する小林章前社長(C)共同通信社
トップ2人が事実上の解任となった。
健康被害の報告が相次いでいる小林製薬の紅麹問題。死亡との因果関係が調査されている死者は90人を超え、全容の解明はまだまだ先だ。
23日には創業家の小林一雅会長(84)と、その長男である小林章浩社長(53)が辞任を発表。後任の社長は山根聡専務(64)となり、初めて創業家以外がトップになる。
同日に発表された外部弁護士による調査報告書では、杜撰な実態が明らかになった。1月中旬には健康被害が疑われる事例が医師から報告されていたにもかかわらず、自主回収を発表したのは、2カ月後の3月22日と、初動が大きく遅れた。製造ラインでは、以前から培養タンクに青カビの付着が確認されていたのに放置するなど、品質管理体制の問題も指摘された。
持ち株手放さずして改革なし
内部の人間を昇格させただけ(小林前社長=左2)/(C)共同通信社
事件発覚から半年、やっとトップ2人が辞任したが、小林製薬の再建は進むのか。
もともと、財務は盤石だが、今回ばかりは会社経営への影響は計り知れない。金融ジャーナリストの森岡英樹氏はこう話す。
「小林製薬はユニークな商品を世に送り出し、その開発力が支持されています。そのため、あれだけの不祥事にもかかわらず株価は2割程度の下げ幅で収まっています。無借金経営で債務の返済がないため、財力もあります。とはいえ、今回は人の生死に関わる深刻な問題です。企業の信用やブランド価値の低下は避けられない。今後さらに被害者が増えれば、莫大な損害賠償が経営の足かせになる可能性もあります。まだ全容を解明している最中ですが、再建に向けた不安要素は大いにあります」
トップ2人が交代したとはいえ、会長だった一雅氏は特別顧問になり、社長だった章浩氏も取締役を続ける。
結局、元凶とされる2人は会社に残っており、ガバナンス改革という点で疑問が残る。
「社長が退いたとはいえ、内部の人間を昇格させただけ。創業家の人間は社内に残ったままで、改革が中途半端です。何より、小林製薬の筆頭株主は章浩氏です。持ち株を手放さない限り、会社は小林家の持ち物のまま。株保有にメスを入れないと現在の体質は改善されず、また同じような問題が起きてしまうことも考えられます」(森岡英樹氏)
膿を出し切ったわけではなさそうだ。
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小林製薬は安倍元首相の政党支部に2022年までの10年間で計280万円、国政協には22年までの34年間で計1391万円を献金していたという。毎年欠かさずだ。●関連記事【詳しく知る】は必読だ。
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