※2024年6月19日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
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※2024年6月19日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
死に体……(C)日刊ゲンダイ
任期満了に伴う東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)で、3選を目指す現職の小池知事と、「小池都政のリセット」を訴える蓮舫参院議員が18日、そろって公約を発表し、2週間余りの事実上の“選挙戦”に突入した。
都の2024年度一般会計の予算規模は約8.5兆円。特別会計と公営企業会計を合わせた全体の予算規模は約16.6兆円(単純合計)にも上り、北欧スウェーデンなどの国家予算にも匹敵する。
地方首長選とはいえ、一国の宰相並みの絶大な権限を持つ都知事を選ぶ重要な選挙であることは間違いないだろう。
今後、激しい舌戦が展開するとみられ、都民の関心も高まっているが、それと同等か、否、それ以上に国民が注目しているのが、23日の会期末まで1週間を切った国会の行方だ。いわゆる岸田不信任案をめぐる与野党の最終攻防と言っていい。
ANNが15〜16日に実施した岸田内閣の支持率は政権発足以降、最低の19.1%。内閣支持率が2割を切るのは、2012年に自民党が政権復帰してから初めてだ。時事通信社の6月の世論調査でも岸田内閣の支持率は16.4%となり、FNNの世論調査では、「岸田首相にいつまで総理大臣を続けてほしいか」という問いに対し、「すぐに交代」と「9月の総裁任期まで」との答えが合計で8割に達したという。
岸田も麻生も茂木も裏金のムジナ仲間だ
党内からも“岸田降ろし”の声が公然と出始めている。横浜市議、長野県議……と、これまでは地方議員から「総裁の責任を問う」といった程度の批判だったが、ここにきて斎藤元総務政務官が自身の政治資金パーティーに出席した際、「責任は最終的に誰かが取らなければいけない」と言い、続けて「私自身は次の総裁選において、真に自民党を改革できる総裁候補を応援したい」と断言。岸田に明確に「NO」を突きつけ、退陣を求めたのだ。
総裁退陣を求める声が身内の自民党内から続出していることについて、立憲民主党の青柳議員は17日の衆院決算行政監視委で、「これはもう政権末期ではないか」と指摘。答弁に立った岸田は「謙虚に受け止めなければならない。今後も車座対話をはじめ、地方に出向いて意見を伺い、どういった責任を果たしていくべきか考えたい」なんて答えていたが、内心穏やかではいられないだろう。
大メディアは斎藤が麻生派所属だったため、「退陣要求は麻生副総裁の指示か」との見方を示し、さらに岸田がブチ上げた派閥解散や政治資金規正法改正案の修正内容がそれぞれ独断専行だった、として、麻生と岸田の関係に溝が生まれたと報道。
麻生が岸田の食事の誘いを拒否し、茂木幹事長と食事をしたエピソードを挙げて、「岸田降ろし」の背景として「麻生、茂木の暗躍説」を盛んに流しているのだが、ちょっと待て。しょせんは麻生も茂木も裏金維持のグルではないか。
麻生は政治資金で連夜のように銀座の高級クラブに通い、茂木は政治資金を使途公開基準の緩い後援会組織に移動するという“マネーロンダリング”に手を染めていた。そんな連中が「岸田じゃダメ」なんてエラソーに足並みをそろえたところで、国民から見れば「ムジナ仲間が何を言っているのか」とドッチラケだろう。
元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
「支持率を見ても分かる通り、岸田首相、自民党を国民は信用していないのです。その信用されていない総理がいい加減な規正法改正案について国会でノラリクラリ答弁している。これは異常であり、民主主義の崩壊です。そもそも80人超の与党国会議員が違法、脱法行為で裏金をつくっていたこと自体がメチャクチャなのに、誰も責任を取らない。日本の戦後政治もいよいよ底が抜けたとみるべきです」
国民生活に対する思いが完全に欠落している
今ごろ……(C)日刊ゲンダイ
イケイケドンドンなのが野党・立憲だ。泉代表は16日、横浜市で記者団に「(自民の)政治改革案は落第点だ。(首相の答弁)次第で不信任案を検討したい。解散を迫る」と断言。さらに岸田政権下で初となる、19日の党首討論をヤマ場と位置付け、内閣不信任案を「武器」に首相を追い込みたい考えだ。
「中身は『ザル法』で、プロセスは邪道。国民に信を問うべきだ」「常に矮小化して乗り切ろうとする意思を感じる」
17日の衆院決算行政監視委でも、立憲の野田元首相は自民の政治資金規正法改正案はデタラメとして、解散で国民の審判を仰ぐよう要求。これに対し、岸田は「各党の意見は今後も丁寧に聞く」と答えていたが、自民は18日の参院政治改革特別委で改正案をシレッと採決する日程を提案していたから何をかいわんや。
各党の意見を丁寧に聞いていないから「ザル法」と批判されているのに、「そうですね」と聞くフリをして採決を強行しようとするなど卑劣極まりないだろう。結局、同日の特別委で改正案は採決され、自公の賛成多数で可決。
意見や要求をのむそぶりを見せながら、コッソリと騙す手口は自民の常套手段。改正案の衆院審議の段階でも、自民は公明、日本維新の会の修正要求を受け入れて協力を取り付けたにもかかわらず、維新が求めていた月額100万円の調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の「立法措置を講じる」という改正をスルー。
維新の音喜多政調会長は参院特別委で「うそをつくなら(改正案)賛成はあり得ない。内閣不信任案(採決)にも厳しい姿勢で臨む」とカンカンだったから、このままだと終盤国会の大混乱は必至だ。
「古い政治」にまんまと騙され大慌ての維新
もっとも、維新も維新だろう。維新は今年、新たな政治活動用ポスターを発表。「古い政治を打ち破れ。」とのキャッチフレーズを掲げていたのに、早々に「古い政治」にまんまと騙されてしまったからだ。
維新は新たなPVでも、「『建前』から『本音』へ」「『保身』から『挑戦』へ」「『微修正』から『大変革』へ」とカッコつけていたが、政治から「建前」がなくなったのが、自民の裏金事件ではないのか。つまり、裏金づくりは違法、脱法という「建前」ではなく、「皆でやっているからいいじゃん」と、そろって「本音」をむき出しにしていたのだ。
抜け穴だらけの規正法案だって、維新は「微修正」でOKしたわけで「大変革」には程遠い。
旧文通費の約束反故を受け、慌てた維新は参院では改正案に反対し、岸田に対する問責決議案を参院に提出することを決めたが、心ある有権者から見れば、いかがわしい体質は自民と相違ない。
いずれにしても今後、岸田内閣の不信任案が提出されても否決される可能性は高いだろうが、否決によって、改めて盗人集団の自民が何ら反省していないこと、相変わらず国民を愚弄し続けているという実態、本性が可視化されるのは間違いない。自民はますます国民を敵に回し、ガンジガラメになるわけだ。
政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「国民の負担を強いる増税などはあっという間に決めるのに、自分たちの利権に関すること、身銭が切られるようなことはグダグダしてやる気もない。自民党は国民生活に対する思いが完全に欠落しているのです。仮に不信任否決の展開となれば世論の怒りは今以上に強まるでしょう」
政界大混乱の幕開けに期待だ。
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