騙される人間がいる限り化かす…それが小池百合子 適菜収「それでもバカとは戦え」
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2024/06/14 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
「私は負け戦には乗らない」(出馬会見をする小池百合子都知事)/(C)日刊ゲンダイ
小池百合子の口癖は「私は負け戦には乗らない」である。
〈異端か、正統かを決めるのは「時代」以外の何物でもない。その時代に、どちらがマジョリティーを占めたか、だけの話である〉(「異端のススメ」)
この究極のニヒリストにとって事実やモラルは一切関係ない。騙される人間がいる限り、徹底して嘘をつき、世の中を「化かし」にかかる。先週の定例会見を見て、改めてそう思った。
小池は2016年の知事選初当選時に掲げた公約「七つのゼロ」の達成が不十分との批判に反論。「七つのゼロ」とは、「都道電柱」「待機児童」「ペット殺処分」「残業」「満員電車」「多摩格差」「介護離職」の7項目をゼロにするとの公約だ。
小池は「皆さん、ネガティブキャンペーンなのか、こればかりおっしゃる」と不満を表明した上で、「都道電柱ゼロ」について「(都市防災機能の強化に向けて重点的に整備する)『センター・コア・エリア』は、もう100%達成しております」と発言。
これが小池のいつものやり方だ。「センター・コア・エリア」に限定して、話をすり替えるわけだ。こんなデタラメが通用するなら、政治家のあらゆる公約は実現可能だ。
「待機児童ゼロ」については「言うまでもありません。ほぼ達成している。だからこそ、次の(都内在住の18歳までの子どもたちに月額5000円を支給する)『018サポート』などの提案につながっている」と説明。
意味不明にも程がある。待機児童ゼロも大嘘(カウント方法にカラクリがある)だが、「だからこそ」ってどのように文章がつながるのか。小池の目的はただひとつ。記者をけむに巻くことである。
「ペット殺処分ゼロ」についても「皆さんご承知の通りで、達成しております」。これも大嘘。18年度には犬や猫が約150匹殺されている。カラクリも単純。殺処分ゼロに含む対象は、譲渡ができる状態にある動物だけ。基準や定義を変えれば、なんでもゼロにできる。残業ゼロや満員電車ゼロについては、テレワークが拡大しつつあると指摘し、「流れは進んでいる」とのこと。反論するのもアホらしい。
多摩格差ゼロ、介護離職ゼロについても、すべての説明がこの調子。すでに尻尾が飛び出ている古狸にわれわれ人間は一体何回騙されるのか。
適菜収 作家
近著に「安倍晋三の正体」「ニッポンを蝕む全体主義」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も発行。本紙連載を書籍化した「それでもバカとは戦え」も好評発売中。6月28日には第2弾「続 それでもバカとは戦え」が発売予定。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/618.html