※2024年4月12日 日刊ゲンダイ6面 紙面クリック拡大
川勝平太・静岡県知事辞任…リニア建設めぐり今後はJR東海と県側で相互に譲歩か 政官財スキャニング
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2024/04/13 日刊ゲンダイ
「リニアが区切り」と川勝平太静岡県知事(C)共同通信社
財界通(以下=財) 静岡県の川勝平太知事が自身の発言に批判を浴びて突然、辞意を表明した。これで、知事の静岡工区への着工反対で7年は遅れる見通しになったJR東海のリニア中央新幹線の東京・品川-名古屋間の開業は、早まるのか?
政界通(同=政) 発言は、県庁の新入職員に対する1日の訓示で県庁はシンクタンクで農業や畜産業、製造業とは違うと、差別と受け取られかねない内容だった。官庁街の反応はどうだ?
官界通(同=官) 発言もだが、驚いたのは知事が辞任を表明したことだ。10日に退職届を県議会議長に提出したが、辞めてもリニア建設がすぐに動き出すわけではない。
「わだかまり」消えれば空気変わる
財 そうだ。知事は県北部の地下を通るリニア新幹線が、水資源や自然環境へ悪影響を与えることを懸念して「待った」をかけてきた。このため、JR東海は3月29日に国交省であった専門家会議で、2027年の開業目標断念を表明した。静岡工区の工事は10年かかるとされ、開業は早くて2034年か。
官 でも、両者にあった「わだかまり」が消えれば、空気は変わる。
政 ある国会議員に聞いたが、静岡県が新空港をつくろうとしたとき、空港の下に新しい駅をつくってほしいとJR東海へ要請したが、JR東海を率いていた葛西敬之氏が「そんな離れたところに無理」と断り、県を落胆させたそうだ。
財 リニアも静岡県はトンネルで通過するだけで、地元に何の恩恵もない。リニアに対する静岡県民の冷ややかさは有名だ。
官 でも、JR東海幹部のなかに「静岡県へ何かメリットを提供してもいいのでは」と思ってきたむきもいる。葛西氏は亡くなり、リニア建設に反対してきた知事も去れば、歩み寄りが出ておかしくない。
政 あり得るな。関係市町村には、観光誘致などでJR東海と連携を望む声が多い。県庁職員たちも同様だ。次の知事にどういう人がなるかだが、もう互いに譲り合うべきだと考えるのではないか。
財 それが地元経済には一番だ。JR東海がいい譲歩案を練ることを、期待したいね。
(構成=竜孝裕/ジャーナリスト)
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