※2024年4月8日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2024年4月8日 日刊ゲンダイ2面
日米首脳会談で「死のビジネス」 こんな首相を訪米させていいのか
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/338617
2024/04/08 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
まるで「裏金問題」の日本から逃げ出すように米国へ(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
支持率1割台のレームダック首相──多くの国民が岸田首相のことをそう見ている。裏金問題を巡る党内処分でも、いい加減さを露呈。党内外からボロクソに叩かれている。
で、退陣論が急速に広まりつつあるのだが、国民は自滅を待つだけでは駄目だ。
岸田という男は、保身のためには何でもする。そのために国を売り、憲法をぶっ壊しても、平気の平左。安倍晋三元首相以上のスピードとタカ派ぶりで、平和憲法をないがしろにしてきたのが岸田なのだ。その目的はただ一つ、米国にすり寄り、「愛いやつ」とほめてもらいたいからだろう。2022年暮れに安保関連3文書を閣議決定、敵基地攻撃能力の保有、防衛費倍増に舵切りしたのは記憶に新しいところだ。
国民は目を剥いたが、岸田の暴走はそれにとどまらない。トマホークを爆買いし、沖縄の島々にミサイル基地建設の計画をすすめ、英国、イタリアと共同開発している戦闘機の輸出も閣議決定で決めてしまった。今や日本は米中に次ぐ世界3位の軍事大国になりつつある。平和憲法をかなぐり捨て、米国とともに「死の商人ビジネス」をすすめている。それをあろうことか、国民から総スカンの首相が行っている。あり得ないような倒錯なのだ。
米国が国賓待遇で歓迎する思惑
そんな岸田が8日から訪米する。国賓待遇で安倍以来9年ぶりという米議会上下両院での演説やバイデン大統領との公式晩餐会、首脳会談、フィリピンのマルコス大統領を交えた三者会談などが組まれている。
国内では袋叩きの岸田にしてみれば、久しぶりの晴れ舞台で、この訪米には並々ならぬ執念を燃やしてきた。裏金問題の党内処分を急いだのも、訪米日程からの逆算である。
国賓待遇訪米すれば、随行記者がわんさか詰めかけ、報道もそれ一色になる。支持率下落に歯止めがかかる。そんな思惑なのだろうが、そのためにどんな“貢ぎ物”を渡すのか。これほど危険な男の、危険な外交は見たことがない。
「岸田首相は早くも、裏金問題なんて忘れたかのように舞い上がっていますよ。公式晩餐会には米国でもファンの増えている音楽ユニット、YOASOBIや著名なスポーツ選手も呼ばれる。首相は輪島塗のお土産を渡す予定で、国会答弁でも“強固な日米関係を世界に示す有意義な機会になる”と浮かれていました」(国会関係者)
落ち目の岸田相手に「米国はなんで、そこまで?」と不思議だったが、その裏には当然、思惑がある。
「米国だって、岸田政権が国内でどれだけ窮地に陥っているかはよく知っていますよ。知っていて、国賓待遇で歓迎する。貸しをつくる。軍事同盟の強化を目論んでいるのはもちろんですが、米国は昨年末、韓国とも核戦力の運用を巡る協議を始めるなど、軍事協力のレベルを上げています。そうした枠組みに日本も取り込み、日米の軍事協力体制を米韓並みに引き上げたい。そんな思惑があるのでしょう」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)
岸田は「飛んで火に入る夏の虫」ということだ。だからこそ、国民の監視が必要なのである。
いつの間にか日米軍事同盟は次のステージへ
日米韓の軍事同盟も強化へ(日米韓首脳会談)/(C)ロイター
実際、今度の首脳会談を前に米国のキャンベル国務副長官は講演でこう明言している。
「日米が根本的に新しい段階に入り、双方が新たな能力と明確な責任を持つようになる」
国民がまったく知らない間に、軍事同盟のステージが変わろうとしているのである。今度の首脳会談は、その幕開けセレモニーということだ。具体的には2つの合意が発表される段取りだ。
ひとつは自衛隊と米軍の指揮統制の連携、もうひとつは防衛装備品の共同開発、共同生産だ。
「現在、東京にある在日米軍司令部は基地の管理など行政・管理分野を担っていて、指揮・作戦面はハワイにあるインド太平洋軍司令部が担っている。米国は在日米軍司令部の機能を強化させたい意向で、現在は“中将”格の在日米軍司令官を“大将”に格上げし、作戦・指揮の権限を付与したり、増員して、日米の軍部の運用調整を担う事務所を新設する案などが検討されているとの報道もありました。首脳会談で大枠合意し、細部を日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で協議する運びになるのでしょうが、こうなれば、情報、作戦面で圧倒する米軍がすべてを主導していくことになりますよ」(政界関係者)
バイデン政権で国家安全保障会議(NSC)東アジア担当部長を務めたクリストファー・ジョンストン氏は朝日新聞のインタビューでこんなことを言っていた。
「日米首脳会談でこうした方向性を示すことは、日米同盟が変化し、日本が新たな日本として米国の真の防衛上のパートナーとなったことを示す強いメッセージになります」
安倍政権の集団的自衛権の容認で自衛隊は米国の戦争に自動的に巻き込まれることになったが、そのための準備がいよいよ、具体的に整うことになるわけだ。
着々と進む「死の商人ビジネス」の協力
もうひとつの防衛装備の日米協力強化も国民不在でトントン拍子で進んでいる。
防空ミサイルなどを念頭に日米での共同開発、生産の話が進んでいるほか、米英豪の安全保障の枠組みであるAUKUS(オーカス)においても、サイバー空間での戦闘など最先端分野での協力を深める新体制が発足、発表の段取りだという。
要するに、今後は米国だけに頼らず、同盟国の間でガンガン、武器を生産し、軍拡に励みましょう、ということだ。岸田政権がシレッと次期戦闘機輸出を決めて、国民を驚かせたのはつい先月のこと。しかし、これは露払いのようなもので、本命はこちらなのだろう。一気にきな臭くなった世界で、日本は「死の商人ビジネス」に活路を見いだすつもりなのか。それが国賓待遇訪米の“条件”だったのか。だとしたら、まさしく亡国の所業だ。
岸田訪米は憲法破壊の総仕上げ
それにしても、安倍政権の安保法制の強行採決からまだ9年弱だ。それなのに、あれよあれよで、憲法破壊が進み、今や、欠片すら残っていないありさまだ。軍事評論家の前田哲男氏が言う。
「安倍政権からスタートした一連の平和憲法の破壊行為は、今度の岸田首相の訪米で総仕上げになるような気がします。これまで日米安保の在り方では主導的な提言を行ってきたアーミテージ元米国務副長官らのグループは直近の報告書で、日米の司令部間の連携強化を提言しました。日米は一緒の軍隊になっていく。この流れは止まらないでしょう。これまでも憲法と日米安保の在り方はねじれてきました。それでも、まだ憲法の精神は生きていた。専守防衛に徹し、武器の輸出もしなかったのに、支持率2割程度の政権が閣議決定という乱暴な手法で全部をひっくり返してしまった。三権分立に反するのは言うまでもありませんが、その政治センスも疑います。岸田首相は米国に忠誠を尽くすことで、政権維持のお墨付きを得たいのかもしれませんが、米国はイスラエルでもウクライナでもうまくいっていない。米国に無条件に従っているのは世界でも岸田首相くらいのものですよ」
改めて、こんな首相に外交をやらせてはいけない。訪米なんて、側近が羽交い締めにしなければ嘘である。
http://www.asyura2.com/24/senkyo293/msg/831.html